麻薬にギャング・・・子どもたちの生活は危険と隣り合わせ
2007年03月12日付 Radikal 紙
「子どもと暴力」調査で分かったこと:麻薬を手に入れるのは子どもの仕事!/犯罪を犯した子どもと身寄りのない子どもは施設で隣り合わせ/ギャングの支配下にある子どもひったくり師が足を抜けるのは難しい。
「年長だったりスーツ姿だったりしたら譲ってくれないかもしれない。でも俺たちが行けば買えるよ...」
これは、トルコ大国民議会校内暴力調査委員会の委員たちがイズミルである子どもたちのグループに向けた「今欲しいと思うなら麻薬を手に入れられるか?」という質問への答えである。委員会の調査は、麻薬が子どもにとって容易に手に入るものであることを明らかにした。委員会は、各県の幹部や市民社会組織からヒアリングを行い、学校や刑務所、寮、インターネットカフェで検査をしながらディヤルバクル、イズミル、アンタリヤでの調査を終えた。
■「1人入って3人出て行く」
ディヤルバクルでの調査は、同委員会のハリデ・インジェカラ委員長(AKP=公正発展党)とムスタファ・アタシュ報道官(同)が行った。社会福祉・児童保護協会(SHÇEK)の担当者はインジェカラとアタシュに苦言を呈した:「子ども保護法によって、犯罪に手を染めた子どもたちもうちの施設に収容されている。ディヤルバクルには別の部署がないため、犯罪を犯した子どもたちは他の子どもたちと同じ場所で寝泊りしている。犯罪者の子どもが施設に1人来ては3人出て行く状態だ。なぜなら他の子どもたちを騙して犯罪に向かわせているからだ」。
警察幹部の情報によれば、ディヤルバクルで刑務所に収容されている82人の子どものうち2人はテロリスト、その他の子どもたちの多くは窃盗やひったくりの犯人という。幹部は、「学校警察」のプロジェクトによってディヤルバクルでは暴力事件と犯罪発生率が25パーセント減少したと話した。
■年長だからあなたには売れない
イズミルへはメフメト・ユクセッキテペ(AKP)、ハカン・タシュチュ(同)、ハサン・アイドゥン(同)とムスタファ・ガザルジュ(CHP=共和人民党)の各委員が向かった。委員団は、エーゲ大学青少年アルコール物質依存研究・リハビリセンター(EGEBAM)で治療を受けている16~17歳の薬物依存の4人の若者と会って話をした。若者たちは、友達のせいで麻薬中毒になってしまったと話した:「全てがあっと言う間だった。俺たちにタダでくれたんだ。(麻薬の売人は)『吸った後には恐れなんかなくなる』と言っていた。依存症になると今度はお金を取り始め、『他の奴を連れてくるともっと安く分けてやるよ』と言った。麻薬は本当に簡単に手に入れることができる。みんなどこで売ってるのか知っている。特に大麻とエクスタシー(※合成麻薬の1つ)をよく売っている。いくつかの地区があって、そこは警察が入って来れない。麻薬をそこから手に入れることができる。麻薬を吸い始めると、強盗や泥棒がもっと簡単にできるようになる。俺たちは後悔している。誰も知らない奴らと友達になっちゃだめだ」。
委員たちは、「今欲しいと思うなら麻薬を手に入れられるか?」という質問に対する子どもたちの答えに驚愕した様子だった。なぜなら彼らは麻薬の手に入れられる地区について説明する際に、「年長だったりスーツ姿だったりしたら譲ってくれないかもしれない。でも俺たちが行けば買えるよ」と話したからだ。委員たちも子どもたちが話した住所を警察に伝え、必要な措置を講じるよう求めた。
イズミル警察の幹部は、国民教育局との共同プロジェクトである「特別学校チーム」のおかげで、学校での暴力事件が大幅に減少したことを明らかにした。プロジェクトにより、志願した警察官から成る学校特別チームには特別な教育を施されている。校長が(事件が)疑われる場合には国民教育局に連絡を取る。このチームに所属する警察官は民間人の格好で学校を訪れ、事件を解明する役目を果たす。
■インターネットカフェでの状況
委員会は任意に選んだインターネットカフェでも調査を行った。対象となったカフェでは、「禁止されているウェブサイト」に入れないようにするために必要なフィルタリングシステムがないことが確認された。
委員たちは2つのプロジェクトに感銘を受けた。1つはイズミル市の「兄弟-お兄さん-お姉さん」プロジェクトである。このプロジェクトに基づいて奨学金を受けた大学生は、週末に小学6~8年生(※トルコの小学校は8年制)の子どもが家で宿題をするのを手助けしている。もう1つのプロジェクトは9エイリュル大学のアッバス・テュミュクリュ準教授が提唱し、ゲジェコンドゥ地域(※不法占拠した土地に建てた家が立ち並ぶ地域)のある学校で試験的に導入された「仲裁役」プロジェクトである。30人ほどの生徒を「仲裁役」に選び、特別な教育を施す。生徒たちの間でいざこざが起こったら、この仲裁役が双方の当事者を集めて問題の解決に努める。仲裁役は問題が解決すれば、必要に応じて両方にその印としてサインをさせる。
アンタリヤではハリル・オズヨルジュ(AKP)とアリ・ジュムフル・ヤカ(CHP)の両委員が活動した。彼らもまた麻薬中毒の子どもたちが治療を受けている施設を訪問した。ここの子どもたちもまた、委員たちに麻薬を手に入れるのに苦労はしなかったと話した。
■「出てもまた同じ仕事をすることになる」
刑務所内で子どもたちに割り当てられた区域にも足を運んだ委員は、ここに収監されている60人の子どもの内、55人はアンタリヤ出身ではないことを伝えられた。
働くため、あるいは家族ととも移住せざるを得なくなってアンタリヤにやって来た子どもたちの大半は、強盗や窃盗の罪で刑務所に収容されている。子どもたちの言葉には、刑務所を出てもまた刑務所に戻ってくるきざしが見られた:「俺たちもこの仕事から足を抜けたいと思っている。でも刑務所から出るとギャングが俺たちを待っているかもしれない。そうするとまた同じ仕事をやらざるを得なくなる」。
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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10391 )