【文化部】新年に入っても、反イラン映画『300』に対する国内外からの抗議の声は止む気配を見せていない。
イラン・イスラーム共和国国連常駐代表はファルヴァルディーン月2日〔2007年3月22日〕、声明を発表し、同映画に対して抗議した。声明はまず、「この映画はイラン人を邪悪であるかのように想定し、悪・悪徳・破壊の権化であるかのように描いている。これはイランの誇り高き歴史、及び気高きイラン人民に対する明白かつ由々しき侮辱である」と述べた。
同声明は続けて、「この映画はテレビのドキュメンタリーではなく、その内容は主に作り話、フィクションに属するものである。それは過去の歴史に関する一種の想像に過ぎない。さはさりながら、なぜこの映画が、イランの歴史に関する最低限の事実にすら注意を払うことなく、虚偽に基づき、悪しき存在としてイラン人を描き出すといった暴挙に出たのか、その理由を探ることが賢明である」と強調した。
同声明の別の箇所では、次のように述べられている。「実際、この映画がイラン人を虚偽に基づいて描き出したことは、イラン国民を悪に見立てようとする西洋の特定の一部の利益団体による、現下の組織的かつ広範囲な企みと切っても切り離せない関係にある。このような利益団体の反イラン的言説が、この映画の隠れた旋律と分かちがたく絡まり合っており、この映画はそのような反イラン主義を盲目的に模倣することで、故意に悪質なプロパガンダを流そうとしていることは間違いない。このようなプロパガンダは、イラン国民が大切にしてきた感情に対して、いかなるの敬意も払おうとしていない」。
最後に声明は、次のように明言した。「歴史とは、教育的目的に資せられるべきものである。しかるに、映画の力を悪用して、歴史的事実を文化的攻撃に用い、イラン人民のイメージを悪化せしめて、より多くの収益を得るようと企むことは、教育の理念にもとる行為であり、メディアとしての、またプロの映画制作者としての倫理に反するものである。古代史を悪用して、半ばあからさまな攻撃をイランの歴史とアイデンティティに加えようとすることは、正義に背くものであることに疑う余地はなく、さらに何らかの怪しげな目的を隠しもっているとも推測される」。
他方、公益判別評議会議長は、1386年〔2007年3月21日〜〕最初のテヘラン金曜礼拝で、反イラン映画『300』を批判して、人類の歴史に対する抑圧的攻撃であるとした。
ハーシェミー=ラフサンジャーニー議長は、昨日のテヘラン金曜礼拝での説教の中で、侮辱的映画『300』について、次のように語った。「ハリウッドはこの映画を制作することで、イラン人のイメージを邪悪なものとして描いている。これは、歴史的事実に反するものだ。その一方でこの映画では、当時イランを占領した者たちが犯した数々の犯罪行為—われわれはその痕跡をいまだペルセポリスの遺跡に見ることができる—には、まったく触れられておらず、事実に反することだけが演じられている」。
〔*ラフサンジャーニーがここで言及しているのは、アケメネス朝を滅ぼしたアレクサンドロス大王が、同王朝の都であったペルセポリスに火を放ったとされることを指している〕
同議長はさらに、「残念ながら、このような歴史的・文化的犯罪行為は、人類にとって極めてマイナスである。われわれはこのような問題に対しては、文学や芸術といった手段によって、理性的かつ正確に答える必要がある」とした。
在フランス・イラン大使館もまた声明を発表し、ワーナー・ブラザー社による映画『300』の制作を批判、一部のパリの映画館に配給されたことに抗議した。
在フランス・イラン大使館は声明の中で、「自らの職業倫理から意図的に距離をとり、人類の偉大なる遺産である文明を侮辱するような不快な政策に奉仕するべく、芸術を利用しようとしている者が一部にいることは、誠に残念である」と強調した。
その一方で、NGOのメンバーらもテヘランのユネスコ事務所前で集会を開き、映画『300』の制作・上演に抗議の声を上げた。
ISNA(イラン学生通信)の報道によると、イランの文化遺産に関心を抱く集会参加者らは、集会の中で、映画『300』を制作した者たちが我が国イランの歴史と文明を歪曲して非難していることに抗議し、本件に対して真摯に対応するよう〔ユネスコの〕文化担当者らに求めた。
また、芸術家イスラーム委員会も、映画『300』の制作・上演に抗議の声を上げた。
先週末、問題を起こした映画『300』を制作したワーナー・ブラザー社は、イラン人からの非難を受けて、「本映画の制作によって、われわれはいかなる文化、国民、人種・民族に対しても、侮辱する意図はない。この映画は歴史ドキュメンタリーとしての性格を有するものではない」との声明を発表した。
ファールス通信の報道によると、ワーナー社は同社のサイトに掲載された声明の中で、さらに「映画『300』はフランク・ミラー作の連載マンガから取ったフィクションであり、実際の歴史的出来事に基づいて書かれ、制作されたものではない」としている。
同声明はさらに続けて、「この映画の制作者は、本映画を単に想像上の物語を描いたものとして、観客の娯楽を目的に制作したのであり、特定の人種・民族や文化を侮辱する意図は決してない」と述べている。
なお、ワーナー・ブラザー社は同声明の中で、世界中のイラン人の感情を傷つけたことに対して、まったく謝罪を表明していない。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10488 )