6フッ化ウランガス、3000基の遠心分離器に注入:ラーリージャーニー書記が明かす
2007年04月10日付 E'temad-e Melli 紙
アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は、ナタンズのウラン濃縮施設で行われた《核技術国民記念日》の式典終了後、「3000基の遠心分離器への6フッ化ウランガスの注入作業は行われたのか?」との記者の質問に対し、「3000基の遠心分離器へのガスの注入はすでに行われた」と答えた。
しかし、ラーリージャーニー書記は《3000基の遠心分離器》へのガスの注入に関しては肯定したものの、その一方でこの過程で何基の遠心分離器が設置されたのか〔3000基からなる遠心分離器のカスケードが何系列設置されたのか〕との記者らの矢継ぎ早の質問に対しては、明言を避け、イラン原子力庁関係者に訊いてほしいと答えるにとどまった。
他方、イラン原子力庁国際問題担当次官は、「ウラン濃縮が産業段階に入ったとは、3000基の遠心分離器が設置されたことを意味するとの主張がなされているが、それは正しくない」と明言した上で、「これまでのところ、〔イランにおけるウラン濃縮は〕164基の遠心分離器2系列によるパイロット段階にあったが、この段階を過ぎることが《ウラン濃縮の産業化》の意味するところである」と付け加えている。
ハヴィエル・ソラナEU共通外交・安全保障政策上級代表との協議について記者から質問を受けたラーリージャーニー書記は、「協議の中で、ヨーロッパ側から相互理解を図る用意があるとの表明があり、電話会談のセッティングを行うことになっている」と述べ、さらにイランとの対話に向けたヨーロッパ側の提案について、「彼らは核問題を巡る協議の場で、相互理解に達することを望んでいる旨、言明した」とした。
平和的な原子力エネルギーをイランが保有する権利を、今後の協議の中でヨーロッパ側が正式に認める可能性はあるかとの記者の質問に対して、ラーリージャーニー書記は「彼らはわれわれに対して、原子力エネルギーを保有する権利を正式に認める旨、すでに述べている」とし、その上で「イランは平和的テクノロジーの開発という、自らの平和的な計画を今後も継続する所存である」と強調した。
ラーリージャーニー書記はさらに、「彼らはNPTを勝手に改変すべきではない。われわれはそのようなことが今後も続けられたり、ヨーロッパ側から乱暴な発言や強要的な主張が繰り返されたりするのを好ましく思っていない。そのようなことが続けられるならば、IAEAとの協力を縮小せよとの国会の圧力に、われわれは晒されることになろう」と牽制した。
IAEAのカメラはいかなる根拠で〔核施設に〕設置されているのか、との記者の質問には、ラーリージャーニー書記は「包括的保障措置協定を越えてカメラが設置されるというようなことはあり得ない。われわれは国会が認めたことの枠組み内で行動している」と回答した。
核問題の責任者であるラーリージャーニー書記はまた、「今日イランは核燃料の産業生産段階に到達したと発表しておきながら、なぜイラン原子力庁の責任者も、大統領も、あなた自身も、ナタンズの施設に設置された遠心分離器の数を公表しようとしないのか」との質問には、「設置された遠心分離器の数については、アーガーザーデ氏〔原子力庁長官〕に訊いていただきたい」と答えるにとどまった。ラーリージャーニー書記はその上で、「われわれには自らの核の権利のすべての可能性を利用するよう求める、国会の決議がある」と強調した。
同書記はまた、今後のイランとヨーロッパの協議によって、イランが一時的に濃縮活動を停止する可能性はあるかとの質問には、「そのような結果はあり得ない」との認識を示した。同書記はまた、「〔以前の協議の中で〕ヨーロッパ側は建設的な話し合いを継続することに関心を示していた」とし、さらに「表面的なものに終わらないこと、正しい枠組みの中で話し合いが行われること、相互理解に到達することを話し合いの目的とすること、これらが実現したときに初めて、話し合いは有効なものとなろう。以前行った話し合いでのソラナ氏の発言も、同じ認識に基づいたものであった」と述べた。
これまでの経緯に鑑みると、今後の話し合いも不調に終わる可能性があるのではないかとの質問には、ラーリージャーニー書記は「未来を予測することなど、私にはできない。これまでの協議でも、ソラナ氏は努力してくれたと考えている。しかし国際舞台には、迷惑な人も少なくない」と答えた。
次回のイラク周辺国会議でイランとアメリカが直接対話を行う可能性はあるかとの質問には、ラーリージャーニー書記は「この種の話し合いを行う予定は、われわれにはない。〔イラク周辺国会議での〕協議には、それ用の議題というものがある。この会議はイラクおよび地域問題の枠組みで行われるべきであろう」と語った。
ラーリージャーニー書記はまた、「イランが核燃料の産業生産段階に入ったとの情報は、すでにIAEAに通達済みであり、IAEAにとっては真新しい事柄ではない」と述べた。
今こそ西側と相互理解を図るべき時
「今日、われわれは核燃料サイクル技術を完全にマスターした。‥‥今こそ、相互理解を図るべき時である」。国家安全保障最高評議会書記は、ナタンズで《吉報》が発表された《核技術国民記念日》に、マシュハドの《ナッヴァーブ・サファヴィー宗教学院》に赴き、同市の神学生や宗教指導者の一団を前に、次のように述べた。「イランに対して決議が次から次へと出された結果、われわれのIAEAとの関係は縮小してしまった。その一方で、われわれは今や、核燃料サイクル技術を完全にマスターしている」。
アリー・ラーリージャーニー書記はその上で、「核燃料サイクル技術が完成した今、われわれは相互理解を目的として、対等な関係で協議を開始する用意がある。もし西側がイランとの相互理解を望むならば、まさに今がその時である」と強調した。
同書記はまた、「われわれは、核〔技術〕保有国イランに対する西洋諸国の懸念を取り去ることを目的に、西洋諸国と話し合いを行い、相互理解を図る用意がある。しかし、科学的進歩を止めるつもりはない。もし西側が地域において、イランと同じパラダイムを追求しているというのであれば、相互理解に向けた合理的な基盤を築くべきだ」と言明した。
イラン国営通信(IRNA)の報道によると、ラーリージャーニー書記は欧米諸国に向けて次のように語りかけた。「われわれは決して争いを好むような国民ではない。しかしだからといって、騙されやすい訳ではない。われわれはすでに核技術を完全にマスターしている。もし〔イランとの〕相互理解を望むのなら、今がその時である」。
同書記は続けて、「この相互理解というのが意味しているのは、われわれが〔核兵器を開発しないという〕国際的な約束から逸脱しないこと〔を確認しあうこと〕である。われわれはあなた方の懸念の払拭に努める用意がある」と付け加えた。
メフル通信の報道によると、ラーリージャーニー書記はまた、「国連決議によってイランと相互理解を図ることなど不可能であるということを、西洋諸国は知るべきだ。もし協力の代わりに相も変わらず緊張を選ぶならば、イランもまた真剣な対応を示すことになるということ、彼らの現在の政策が継続されるならば、NPTもまた深刻な問題に直面する可能性があるということを、彼らは自覚すべきである」とした。
同書記はまた、将来の〔核〕燃料を巡る問題は、多くの国にとって戦略的に重要なものとなるだろうとの見方を示した上で、「西側は〔核〕燃料の供給については、芳しくない前歴を有している。彼らには革命後、われわれとの原子力協定を反故にし、ブーシェフル原発を完成させずに放置した過去がある。このような負の前歴がありながら、彼らは今頃になって、われわれに将来の〔核〕燃料は彼らが提供するので安心するよう要求している」と不信感を露わにした。
ラーリージャーニー書記はまた、「ここ2~3年、西側は何度もわれわれを策略に陥れようとしてきたにもかかわらず、われわれは〔辛抱強く〕彼らに付き合ってきた」と述べ、さらに「この間、IAEAは何度も、われわれが某軍事施設にて〔核〕爆弾を製造しているなどと言いがかりをつけてきた。われわれはそのたびに、われわれの国家安全保障政策には核兵器の製造は含まれていないということを理解してもらうために、査察を許してきた」とした。ラーリージャーニー書記は「軍事施設への査察は禁じられている」と指摘した上で、「これ〔イラン側の努力〕にもかかわらず、同じようなことがこれまで27~8回も繰り返されている。もうたくさんである」と不満を表明した。
イラン学生通信(ISNA)の報道によると、ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記はまた、一部にはわれわれに妥協を勧める専門家もいるとした上で、「問題は妥協の是非ではない。もし国益にかなうならば、それに応じてわれわれは適切な決定を下すであろう。しかしこれは、妥協するとか、そういった類の話ではない」と指摘し、さらに「彼ら〔欧米の?専門家〕が議論しているのは別のことである。彼らはイランが地域の中心になることを恐れているのである。彼らは別のことを考えているのであって、われわれを助けようなどと考えている訳ではないのである」と述べた。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10627 )