ビュユクアヌト参謀総長の対北イラク軍事行動肯定発言、外国メディアの反応
2007年04月13日付 Zaman 紙

ヤシャル・ビュユクアヌト参謀総長が「北イラクで軍事行動を行うべきである」と発言したことを受け、外国メディアで大きな反響が起こっている。

■フィナンシャル・タイムズ紙

英国フィナンシャル・タイムズ紙は、ビュユクアヌト参謀総長が北イラクに向けた発言について、最近クルド人指導者とトルコの間に生じていた緊張が“最高潮”に達したものと評した。

同紙はさらに、クルド人指導者とトルコ人指導者間での“言葉の戦争”を発端として、緊張関係がうまれ、ビュユクアヌト参謀総長の発言によりさらに悪化したと報じた。

また、こうした軍事行動が北イラク情勢をさらに不安定化させるとの見解を示しているアメリカが、軍事行動への可能性が高まったことを懸念しており、こうした事態を避けるため努力しているとも報じた。同紙は、ビュユクアヌト参謀総長の今回の発言には、大統領選を控えたトルコの政治指導者およびアメリカ政府に対し、軍事行動を認めさせるための圧力をかける狙いがあったとしている。

同紙は、ブッシュ政権がトルコ政府に対し、軍事行動は有益でないと繰り返し述べていることにも注目し、トルコ軍側からの今回のような過激な発言は、大統領選を前に内政に対し向けられた側面も持つと、アメリカ政府は考えていると報じた。

アメリカはトルコが北イラクに攻め入る可能性についても検討しているが、攻撃は近いうちには起こらないとの予測がなされているという。

同紙によれば、EUもトルコの北イラクに対する軍事行動に対し反対の意を明確に表明していが、トルコのEU加盟交渉で起こった数々の問題が原因で、EUのトルコ政府に対す影響力は弱まっているという。

さらに同紙は、最近続いている緊張状態が、クルド労働者党(PKK)が続けている武装闘争やイラクの各地域の諸勢力間での権限の奪い合いをめぐる論争によるものであるとし、アメリカがメスード・バルザーニ・クルド地域政府代表に対しクルド労働者党(PKK)の脅威を減らすよう圧力をかけたと報じた。

同紙によれば、アメリカのある要人は、バルザーニ・クルド地域政府代表のディヤルバクルについての発言に対し「危険かつ扇動的で、事態をさらに混乱させるもの」との認識を示しているという。

■インディペンデント紙

英国のインディペンデント紙は、ビュユクアヌト参謀総長の今回の発言を「トルコ軍、イラクへの攻撃の意思あり」との見出しで報じている。

同記事は、軍事行動を起こせばアメリカ政府との関係が悪化し、選挙を前に、クルド人国会議員からの反発を買うことになるので、軍事行動はあくまでも“最終手段”と見なされるとの見解を示した。

■ワシントン・ポスト紙

ワシントン・ポスト紙は、北イラクに対し軍事行動が起これば、アメリカを、その同盟国であるトルコと同じく同盟国のイラクのクルド人の間で、難しい立場に追いやってしまうことになると報じた。

トルコでは越境してまでの軍事行動に対し強い要求がある一方で、軍隊に死者が出る可能性が高いことが、選挙を控えた政府を“厳しい”状況に追い込むことになるとした。

■リベラシオン紙

フランスのリベラシオン紙は、トルコとイラクのクルド人指導者らの間でキルクークの支配権をめぐり“激しい”争いがあったと報じた。

同紙では、その理由として豊かな油田があるためだとし、もはやトルコとイラクのクルド人指導者らはこの事実を隠し通すことはできないと述べた。

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:10640 )