キリスト教関連出版社殺害事件、海外メディアの報道ぶり -ナショナリストの犯行
2007年04月20日付 Radikal 紙

マラトゥヤでの事件は海外メディアにも広く取り上げられた。

■ 米国

『ニューヨーク・タイムズ』:トルコでは、国家の民族的宗教的単一性を守るためには殺人も辞さないと考えるナショナリストが範囲を広げて暴力に訴えかけている。フラント・ディンク氏も犠牲者の一人であり、カトリックの聖職者も同様である。最近のナショナリストによる襲撃はトルコの「過去」からやって来た亡霊なのだ。

『ワシントン・ポスト』:この事件は、EU加盟を目指すイスラム国家であるトルコが、マイノリティー保護ができているかどうかについての新たな懸念を生んだ。

『ロサンゼルス・タイムズ』:恐怖を与えたこの事件は、トルコに住む人口も僅かなキリスト教徒コミュニティに衝撃を与えた。政府は歴史的にも、殺人まで犯す過激なナショナリスト集団を押さえつけることができなかった。

■英国

『フィナンシャル・タイムズ』:これは宗教的な少数派に対する殺害事件の最も新しい事件である。マラトゥヤは広くアルメニア人コミュニティが存在する、いわば、彼らの家、故地であったが、ほとんどが追放され、殺された。

『ザ・タイムズ』:マラトゥヤは保守的な東部の都市である。トルコでは改宗した者たちには社会からの厳しい反応が待っている
『ザ・ガーディアン』:トルコにおけるマイノリティーに対する最新の襲撃事件。ディンク氏殺害から二ヶ月が経つ。ディンク氏もマラトゥヤ出身であった。

「BBC」:トルコにおけるキリスト教徒マイノリティーは抑圧に不満を抱いている。アージャ(註)の故郷でもある、マラトゥヤはナショナリズム的色彩の強い町である。

■フランス

『エル・パイス』:この襲撃事件は、エルドアン政権にとって非常にぴりぴりした政治状況の中、つまり大統領選前に、引き起こされた。

『ル・モンド』:トルコは困難なプロセスの中にいる。EU加盟国は単なる傍観者のように黙って見すごすことはできない。トルコは2005年に加盟交渉を開始したが、そのトルコの前にフランスが立ちはだかるという困難に直面しており、EUのこの態度がトルコでの政治的環境悪化につながっている。改革がだめになった時点で、暴力がさらにエスカレートする。これらはトルコ人だけの問題ではない。

■スペイン

『ABC新聞』:襲撃で三人の宣教師が殺された。出版社は以前から脅迫を受けていた。ヒズブッラーがこの件に関与したか、調査されている。

■ドイツ

『シュピーゲル』:トルコで約12万のキリスト教徒が暮らしている。理論上は自由であるが、実際はずっと弾圧を受けている。

『フランクフルター・アルゲマイネ』:聖書の出版はトルコで国家の一体性を脅かす恐れがあると見られている。

『ビルド』:憎悪がキリスト教徒に向けられ、彼らは容赦なく殺害された。
■イタリア

『コリエーレ・デラ・セラ』:トルコでキリスト教徒への攻撃。聖書出版社で大虐殺が行われた。マラトゥヤはアージャが所属していた極右組織『灰色の狼』の勢力下にある町である。

『イル・ジョルナーレ』:イスラムはヨーロッパを毛嫌いしている。殺人はヒズブッラーあるいは『灰色の狼』により行われたと考えられている。

『ラ・スタンパ』:過激なイスラム教徒らが三人のキリスト教徒を殺した。これはトルコで初めてのことではない。1915年-16年の間にも100万人のアルメニア人が殺された。

『イル・マニフェスト』:アージャの故郷で三人のキリスト教徒が殺害された。

註 メフメト・アリ・アージャ(1958年1月9日トルコ生まれ)1981年5月13日にバチカンのサンピエトロ広場でローマ教皇ヨハネ・パウロ2世を銃撃した。彼は極右組織『灰色の狼』のメンバーであったとされる。

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( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:10690 )