「トルコの政治危機は民主主義のテスト」-中東諸国が注目
2007年05月16日付 Zaman 紙

イスラーム世界は、大統領選挙の行き詰まりで浮上してきたトルコの政治的危機を興味深く見守っている。専門家は、今回の危機はこれまで見られなかった関心を中東諸国に呼び起こしたと述べている。そして穏健イスラーム派が「民主政治受け入れの利点をはかるテスト」と位置づけてトルコでの成り行きをみていると指摘している。 

フィナンシャル・タイムズ紙はトルコでの危機が周辺地域へ与える影響について調査した。そして同紙は、事の成り行きを注意深く見守る穏健イスラーム派が、民主政治を取り入れる利点を検証しているという見方を示した。

エジプトにおけるムスリム同胞団上層部のひとりイッサム・エル・エリアン氏は、ローラ・カラフ記者(フィナンシャル・タイムズ紙)に対し、トルコにおける 政争が周辺地域のイスラーム運動の発展に大きな影響を与える可能性があると指摘し、「急進派は民主主義を目指すことは無益であるという確信をより深めていくだろう」と述べた。

■公正発展党は「成功モデル」

イスラーム運動の専門家でフランス人研究者のオリヴィエ・ロイ氏は、選挙によって危機が解決をみない事態に陥った場合、西洋的民主主義がイスラーム主義者には「非寛容」で、「権威的世俗主義を望んでいる」裏づけと解釈される可能性があると述べた。
サウジアラビアのアル・ヴァタン紙の編集者ジェマル・カショギ氏は、「トルコでの試みが不成功に終われば、それは現代のイスラーム運動にとって不幸な出来事であり、西洋のイスラーム世俗化奨励構想にとっても災いとなる」という見方を示した。

アル・ヴァタン紙は、中東における穏健派が近年、公正発展党を「成功モデル」と見ていることを指摘した。そしてモロッコで公正発展党と名乗り、今年の選挙で良好な結果を見込まれている穏健派政党が、トルコの経験に感化されていると述べた。モロッコ公正発展党に所属する国会議員ムスタファ・ラミド氏は、「トルコでの成功は、民主化を目論むイスラーム政党を勇気づけるものとなるだろう。しかし不成功の場合にもなんらかの影響を及ぼすことになる」と述べた。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:10904 )