カンヌ国際映画祭で反イラン映画にパルムドール授与か
2007年05月21日付 E'temad-e Melli 紙
ファーラービー映画財団はイラン人芸術家マルジャーン・サートラーピーとフランス人協力者ヴァンサン・パロノー制作の映画「ペルセポリス」のカンヌ国際映画祭への出品・上映に、公式に抗議を表明した。その一方、専門家らは同映画がカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作品候補に挙げられており、政治的判断によって同映画をパルムドールに選出するのか、それとも従来通り反イラン映画に対して価値を認めるようなことはしないのかという点で、この問題はカンヌ国際映画祭の今後を占う試金石となるだろうと予測している。
映画「ペルセポリス」がパルムドール受賞候補と言われている一方で、どのコンペティション部門にもイラン映画は出品されていない。多くの専門家は、これまで数々のイラン映画がカンヌ国際映画祭に出品され、同映画祭から歓迎を受けてきたことを考えると、このような事態は政治的なものであり(このようなことは昨年もなかったのだ)、1384年ティール月3日〔2005年6月24日=アフマディーネジャードがイラン大統領に選出された日〕の大統領選挙以降に生まれた状況と関連があるとの見方を示している。
映画「ペルセポリス」は制作者であるマルジャーン・サートラーピー原作のコミックシリーズを基にしており、イランでイスラーム革命が起こったことで困難に巻き込まれた少女の物語が描かれている。この漫画の中で、イランは暗い色調で描かれており、そのような描写は、西洋の出版メディアで一般的なステレオタイプに沿ったものである。そのため、同書は多くの支持を受け、また多くの宣伝がメディアに掲載された。
2000年11月にCiboulette社からフランス語、そしてその後英語で出版されたこのシリーズの第1巻は、西洋メディアの宣伝もあり、短期間で当時のベストセラー本となった。このシリーズは何度も版を重ねており、「ペルセポリス」第1巻はフランスだけで40万部以上、翻訳されたもの(今までで16ヶ国語に訳されている)は世界で120万部以上の売り上げがある。
この漫画はモノクロで描かれており、それは同書の暗い雰囲気と調和している。それはまた、作者の悲観的な考え方を示すことにも成功している。簡潔な文章で書かれた同書では、作者が特別な階層に属しているために、イランで起きた出来事〔イスラーム革命のこと〕が彼女の〔属している階級的な〕視点から検討が加えられ、きわめて悲観的に描き出されている。
作者は、この漫画はイラン政府に対して批判的に描いているが、イランの人々にとっては利益となるよう描いた(!)などと主張している。しかし、このような悲観的な描写は世界という場で、西洋メディアの力を借りてイラン全体を〔攻撃の〕標的とした、というのが現実であり、作者の主張は受け入れられるものではない。
〔後略〕
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( 翻訳者:宮越有紀 )
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