Ilhan Selcuk コラム:PKK(クルド労働者党)は帝国主義の手先である
2007年05月26日付 Cumhuriyet 紙

凡人が抽象的な概念を理解するのは容易ではない。
例えば「帝国主義」がそうだ。

一般人に「帝国主義」を理解してもらおうと思っても困難だ。
しかし、その抽象的な概念が具体化し、目の前の現実となることがある。



帝国主義は中東において手を伸ばせば掴めるほど具体化している。
イラクを見よ!
アメリカ帝国主義が隣国を食い荒らしている。
片方の手をイスラーム教徒のアラブ人の首にかけ、
もう一方の手を油田のバルブにおいている。

帝国主義は無知なアラブ人を仲間どうしで喧嘩させている。
シーア派だの、スンナ派だの、クルド人だの、トルコ人だの、帝国主義にとっては何の差異もない。ひとつの肩を持ち、別の集団を攻撃する。
貧乏な民は、互いにやりあわせておき・・・
互いの首を絞めさせておく・・・
帝国主義は中東でうろつきまわっている。

中東やアナトリアにおいて帝国主義はもはや抽象的な概念ではない。生活の中で、目に見えて、手に取れるようなものだ。



アメリカは周知の軍事雑誌のなかで新たな中東地図を公開した。(注1)
この地図によればトルコが分断されている。
ローザンヌ条約は破き捨てられ・・・
セーブル条約がよみがえってきている。

東部アナトリア地方は、アルメニア人とクルド人で山分けされている。
ではこの地図は、どれくらいの人間が血を流すかを計算して描かれたのだろうか?そのことはきちんと知られているのだろうか?



PKK(クルド労働者党)は、アナトリアにおけるアメリカ帝国主義の攻撃部隊となった。
しかし、PKKが人命を奪うたびにアナトリアのトルコ人とクルド人が慌てふためいている姿が見てとれる。
「お互いに敵意を抱くことのないようにしましょう」
これは無用な心配だ!



アナトリアの民の意識、良識、慣習、経験が身体の隅々まで浸透している。

平和で共に暮らすという美徳の力によってトルコ人であることもクルド人であることもなくしてしまうほどに人間的に振舞うことが、アナトリアの民の伝統的な知恵なのだ。

アンカラのウルス(国民)広場での爆発の後、トルコ人とクルド人が帝国主義の悪事をより深く理解し、より近しくなったことを私は確信している。

(注1)
米国の軍事雑誌ARMED FORCE JOURNAL誌2006年6月に発表されたRalph Peters氏のエッセイを指している。このエッセイはトルコで大きな論争を引き起こしたため、米国のラムズフェルド国防長官が「公式見解ではない」と発言せざるを得なかった。

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( 翻訳者:イナン・オネル )
( 記事ID:10992 )