セゼル大統領、それはあなたのことでしょう
2007年05月27日付 Yeni Safak 紙

大統領を国民が選ぶとする憲法改正案を拒否したセゼルの理由に、誰もが驚いた。国民が選ぶ大統領は中立的ではありえず、政党の影響下にはいると述べたセゼルだが、(そうした発言は)自身の7年間の執政を想起させた。

大統領が国民に選出され、5年の任期を2期に務めることを可能とする憲法改正法案は、大統領官邸からつき返された。セゼル大統領が新傾向に倣ってインターネット上で発表した拒否の理由は、誰もを驚かせた。セゼルは、議会には国民の代表としての正義が存在していないと主張する一方で、大統領が国民によって選ばれることに反対していると明言した。セゼルは、その理由として大統領は(政治権力上で)中立と均衡をはからねばならないと強調し、自身の7年の任期と矛盾するような発言をした。

大統領は安定と均衡をはかる力であり、中立的であらねばならないと述べたセゼル大統領だが、拒否権の理由を挙げる際に、共和人民党(CHP)党首のデニズ・バイカルが暫く以前に用いた発言を顕著に反映させていたのは、注意を引いた。

■ 昨日の主張を今日は忘れ・・・

「議会は選挙線に向かっており法律の制定はできない」と述べる一方で、自身は任期を終えたにもかかわらずなお大統領の座に居続けて、任命をおこない、法案に拒否権を行使しているのは、「矛盾」していると思われる。大統領が国民に選出されることで、「均衡をはかるための」権限が「行政」権的なものへと変化するとし、すでに強化されている権限に、国民の意思による直接選出が付与する力が加われば、大統領を政治システム上で優越的要素としてしまう可能性がある、との見解を強調した。

大統領に憲法上与えられた権限を挙げたセゼルは、「大統領とは、憲法体制を機能させ、守るために、選挙で選ばれ、立法と行政を担当する権力に対して、均衡と安定をもたらす権限を与えられ、強化された職なのだ」と述べた。しかし、この同じ人物は、憲法裁判所長官在任時には、大統領に議会を超える権限が授けられることに同意していたのだ。

■ 政府とは常に衝突

5月16日で任期を終え、紛糾する大統領のいすに座り続けるセゼルは、任期中、常に政府と衝突していた。自分を大統領に指名した第57代首相のビュレント・エジェヴィトとかつて争った。憲法(の冊子)をエジェヴィトに投げつけたセゼルは、共和国史上最大の危機に引火した。

7年間の任期中、政治論争の焦点であったセゼルは、任期中は717の共同決議を拒否した。任期中、ジュムフリーエット紙の発刊周年を祝い、カナル・チュルク局の開設記念の式典には参加したが、大国民議会の設立記念式典には参加しなかった。

■ バイカルと同じ表現を用いて

「政党が支持する人物は中立的ではありえない」との共和人民党のバイカル党首が暫く前に発言したものに似た表現を使用したセゼルは、「政治的宣伝をせずに選出されること、政党組織を利用せずに政治的宣伝することは、ことの性質上ありえない。選挙キャンペーンは当然ながら、国民が二派あるいはそれ以上の派に分かれる状況となり、そうして選出される大統領は国民の一体を代表することは不可能だ」と述べた。

■ 「EUに注意を払わずに、似たような制度はない、と発言」

アフメト・ネジュデト・セゼル大統領は拒否の理由について、議会制をとっているトルコで大統領を国民が選べば、前例がないシステムを導入することになる、と主張した。

法学者は、ヨーロッパ諸国でさえ議会制であるにもかかわらず、大統領が国民により選出されていることに注目している。オーストリア、ポルトガル、アイルランド、アイスランド、フィンランドでは、議会制であるにも関わらず、大統領は国民により選ばれている。これらの国々では国民に選出された大統領は、(我が国の)1982年憲法と同様、広範な権限を与えられていないことが注目される。

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( 翻訳者:松岡聡美 )
( 記事ID:10995 )