アルメニア教会総主教メスローブ2世、近く参謀総長を訪問
2007年06月04日付 Hurriyet 紙

アルメニア総主教メスローブ2世は、アゴス新聞総編集長フランド・ディンク殺害事件の後、「我々は皆、アルメニア人だ」というスローガンとともにでてきた支持が、民族主義者の圧力で減ってきたと述べた。また総主教は、殺害事件の首謀者たちがかくまわれていると話し、この件で近々ヤシャル・ビュユクアヌト参謀総長と話し合うことを述べた。ドイツのデア・シュピーゲル誌のインターネットサイトで公開された対談で、メスローブ2世は以下のように述べている。

「継続的に脅迫文を受け取っています。これらの手紙には、『お前たちがどこに住んでいるか分かっている。お前たちを殺して、死体を運びだす』と書かれています。これら脅迫文のために先日、アルメニア学校が休校になりましたので我々はイスタンブル県知事に相談しました。県庁側は我々に、セキュリティーのためボディーガードを雇ったほうがよいと言ってきました。これは少しおかしなことです。というのも、国家がまずしなければならないことは、国民を守ることです。おそらく、少数派を追いやりたい人の数がトルコで増えているのでしょう。このため、特に若いアルメニア人達はこの国を去っていきます。大部分が、アメリカ合衆国、フランス、ドイツに行きます。渡航の自由に干渉するつもりはありませんが、若者の海外流出を食い止めたいとも思っています。フラント・ディンク氏の殺害事件後、人々は 『我々みな、フラント・ディンクだ、我々はみな、アルメニア人だ』と書いたプラカードを手に支持を表明したのです。しかしこの結束は最近、民族主義者が声をあげたために減ってしまいました。フラント・ディンク殺害事件の首謀者たちは、かくまわれています。私は近々アンカラに行く予定です。参謀総長に、この問題についてはっきりとした意見を表明する時が来ました」


■オスマン帝国に対して犯した過ち

総主教メスローブ2世は、アルメニア人虐殺に関連するトルコ共和国に対する圧力を、どう考えているかという質問に対し、以下のように答えた。
「この方策は我々の役には立ちません。もちろん1915年の流血事件を黙って認めるわけにはいきません。しかし、アルメニア人もオスマン帝国に対して武器をもち、過ちを犯したことを認めなければいけません。オスマン帝国も、武装したアルメニア人を罰する代わりに、シリアの砂漠に連行し、アルメニア人全員に復讐しました。この恐ろしい時代は、決して忘れられるべきではありません。しかし、たとえ過去にどんなことがあっても、我々は未来に目をむけなければなりません。アルメニア人虐殺を認めるように要請することは、我々には何の解決策にもなりません。この姿勢が原因で、我々はしばしば大虐殺を重視するアルメニア人達に襲撃されているのです。アメリカ合衆国の国内アルメニア委員会は少し前に、我々をトルコとつるんでいると非難しました。しかし当然のことながら、トルコにいるアルメニア人達は、海外にいるアルメニア人達と違う考え方をしていると私は思います。大虐殺を重視するアルメニア人達は、全ての問題が一気に解決することを望みます。しかしこれは、トルコの現実から程遠いものです。 アルメニア人虐殺を認めるように説得するかわりに、我々、トルコ人とアルメニア人は、トルコとアルメニア間の対話促進に励むべきです」


■公正発展党(AKP)に投票する

総主教は、タイイプ・エルドアン政権が自分たちの考えに近いと述べ、このため総選挙では公正発展党(AKP)に投票すると発言した。「正直なところ、我々アルメニア人は共和人民党(CHP)に対抗する公正発展党(AKP)に投票したいのです。公正発展党(AKP)は少数派に対し共和人民党(CHP)よりは民族主義的でない立場ですから。エルドアン政権は、我々の要求に対して偏見のない態度で接しています」

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:11067 )