ヨーロッパのトルコ人移民4世、アイデンティティーが問題に
2007年06月05日付 Zaman 紙
ヨーロッパ在住のトルコ人移民たちが、欧州連合加盟へのプロセスの中でその存在の重要性が高まる一方で、特に移民3世や4世は、トルコ人としてのアイデンティティーが徐々にうすれはじめていることが明らかになっている。移民先の国の文化にも適応できない移民の子供たちは、宙ぶらりんとなる危険に直面している。
ヤシン・アクタイ教授とネジュデト・スバシュ准教授が宗務庁の支援で行った現地調査では、こうした結果を明白な形で示した。ヨーロッパ諸国で暮らすトルコ人の「アイデンティティーや手本の模索」の研究を行う2人の学者は、特に移民の子供たちの間で、トルコ文化に属するもろもろの価値観が「信じがたい程その影響力を失っている」ことを喚起した。ムーラ大学教員のネジュデト・スバシュ准教授は、調査の結果を、宗務トルコ・イスラム協会がパリで催した会議で公表した。
スバシュ准教授は、特に移民3世や4世になるとトルコ人としてのアイデンティティーがうすれていることに注意を促した。「逸脱、信じられない相違」が生じているとした同准教授は、「分離」は特にトルコ語が話せないという状況により一層拍車がかけられている、と強調した。
またトルコ人は、ヨーロッパ諸国に移住した大部分移民グループのように元植民地だった国から来ているわけでもなく、このため「ひどく扱われていない」ことに注意を促し、こうした状況がとけこむ過程で「阻害要因」となる、と主張した。
スバシュ准教授は、トルコ人が移民先でとけこむことを「同化計画」としてとらえていると述べ、特に移民の子供たちが「二つの価値の間で、いずれを選んでよいかわからない状態」にとどまっている、と語った。
移民第一世代は、「自分たちの文化やアイデンティティーを失う」との恐怖で内にこもり、集住地区を形成したとし、(こうして移民の)トルコ人は、身体的にはパリ、ブリュッセル、ベルリンにいるものの、「精神的にはいまだに母国で暮らしている」ことに注意を喚起した。「この結末は芳しいものではない」と述べ、トルコ人は、移民先よりもトルコに関心を向け続けているとし、トルコを離れて暮らす者は毎日「トルコとともに日夜が明け」、移住国のできごとに無関心となっている、と述べた。
スバシュ准教授によれば、トルコ人を内にこもらせ、宗教集団の周りで組織化されることに押しやった活力は、「精神衛生上の」不安であり、ヨーロッパ諸国で活動する宗教団体(教団組織)は、トルコ移民が市民社会の活力を形成し、団結し力を付けることを阻害しているという。大部分が「悲しい物語」とともに終わりを迎えるトルコからの「嫁・婿取り」もこの「精神を守りたいとの希求」に起因しているという。
フランス在住のトルコ人に調査の重点を置いたスバシュ准教授は、トルコ人は移民先の国で「望まれない者」となっていることについては、「居住国には帰属していないこと」と結びつけている。また「移住先を自分の国だと見ていない。帰属していない。そして土地に親近感を感じていない」と述べる。面談を行ったある移民が「ここを出て行くのは難しい。しかしおそらく亡骸は出て行くであろう」といったことに注意を促しながら、特に移民第一世代が移民先の国にまったくなじんでいない、と強調した。
トルコは長い間ヨーロッパ在住のトルコ人に関心をむけなかったが、影響から抜け出し始めるとそのことに気付いたとし、トルコの(採るべき)新しい政策が「トルコ移民がトルコ人としての根本の価値を残し、しかしヨーロッパの移住先で適応する」ものであるべきと述べた。
トルコのEU加盟に反対する諸国の筆頭であるフランスで凡そ50万人のトルコ人が暮らしている。フランス世論でのトルコのイメージに、フランスで暮らすトルコ人が重要な役割を持つと強調するスバシュ准教授は、フランス国民がフランス在住のトルコ人を通してトルコへの印象を決めていることに注意を喚起した。
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( 翻訳者:大田垣綾子 )
( 記事ID:11073 )