Oral Calislar コラム:視覚障害者リハビリ・センターへの強制執行を問う
2007年06月11日付 Cumhuriyet 紙

これは、短期間にイスタンブル広域市のカーディル・トプバシュ広域市長宛に私が書いた書簡の二通目である。一通目の文面では、ヤロヴァを発着する海上航路の廃止決定の凍結を求め、(航路に当たる)島民やヤロヴァ市民の要望を伝えた。ご返答はいただけなかった。

今日の書簡のテーマは視覚障害者である。行政当局が、アルトゥ・ノクタ視覚障害者協会(アルトゥ・ノクタは「6点」の意。世界的に一般的なブライユ式点字が各文字を「6つ」の突起の組み合わせで表記する「6点式点字」であることに由来する:訳者)が管轄するリハビリ・センターを接収する決定を下したとされている。

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「2007年5月30日付で、在エミルガン・アルトゥ・ノクタ視覚障害者協会リハビリ・センターに対して、イスタンブル広域市当局によって、センターが所在している用地を7日以内に原状回復することを求め、実行されなかった場合には警察力による(強制)執行が行われる予定である旨が文書で告知されました。

中途失明者に対するリハビリ分野における先駆であり、また現行の2施設のうちのひとつでもあるアルトゥ・ノクタ協会リハビリ・センターでは、33年間にわたり、視覚障害者に対して、(音声式)パソコンの操作やひとりひとりに応じた対応、つまり、彼らが自立して活動できるための教育や、マッサージ、点字習得、テレフォン・オペレーション業務といった分野での教育が提供されており、(視覚障害者の)就業や社会生活(実現)に積極的な貢献を行っています。

センターは、昨今、全盲の方々が就業でき、また国際的な舞台で貢献できる「コール・センター」事業のための技術的準備を完了させるのも近いという状況であります。常々、障害者(支援)対策に熱心な公正発展党系の首長を戴く市当局が、アルトゥ・ノクタ視覚障害者財団と社会福祉・児童保護総局との間で交わされた覚書に従って取り組みを続け、かつ、現在までにおよそ2000名の視覚障害者を助けてきたセンターを、警察力を行使して排除すると警告しておられる。

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1950年にミトハト・エンチ博士と同僚らによって設立されたアルトゥ・ノクタ視覚障害者協会は、1958年、閣議決定によって「公共の利益に尽力する組織」と認定されました。同協会は、1970年には、視覚障害者の就業と社会的生活に積極的な貢献を果たすため、リハビリ・センターの創設に取り組み始め、その取り組みの結果、イスタンブル市は、レシトパシャとエミルガンにある約1万平方メートルの用地の使用権を、30年の期限付きでアルトゥ・ノクタ視覚障害者協会に与えたのでありました。

イスタンブル市と協会の主導的役割によって、視覚障害者のリハビリテーション分野で活動するための財団の設立が決定され、イスタンブル市は財団設立者として財団(設立)証書に署名したのでした。(そして)その他に、当時の市長であったファフリ・アタベキ、ヴェファ・ポイラズ、スナ・クラチといった人々や、イスタンブル県、『ミッリイェト』新聞社、各種のライオンズ・クラプやロータリー・クラブといった団体を設立者として、アルトゥ・ノクタ視覚障害者財団が設立されたのです。

財団設立に名を連ねた『ミッリイェト』新聞社は、リハビリ・センターの建設に必要な財源を確保するため、全国規模での(募金)キャンペーン活動に取り掛かりました。人々の広範な(募金への)参加によって集められた資金によって、リハビリ・センターは完成し、1974年に保健省と財団の間で覚書が交わされたことで、アルトゥ・ノクタ視覚障害者リハビリ・センターはその活動を始めたのです。

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当時の覚書は現在でも効力を保っており、ニメト・チュブクチュ氏をトップとする国の対策省庁が財団と共に運営しております。西暦2000年を迎え、用地使用権の30年は満期となりました。(その後の)協会と財団による(用地使用権)期限延長の働きかけは実を結ばないままです。にも関わらず、リハビリ・センターと財団は、今日までその取り組みを中断することなく続けているのです。

33年にわたって、多くの中途失明者が必要な知識と技能を身に付け、彼らの生活を保証してきたリハビリという職務は、どうあっても、犠牲にされるべきものではないと我々は考えています。そして、公的に所有される用地は、公共の利益のために運用されれねばならないと今一度申し上げます。1970年当時と比べたときに(当該)用地の価値が非常に高騰しており、(その結果として期待される)賃料収入こそが、人々の両の眼をふさぎ、人々の欲を煽っているのです。我々はこの活動が一瞬たりとも滞ったり中断されることを望んではおりません。アルトゥ・ノクタ視覚障害者財団が、こういった活動が始められるにあたって先駆けとなったことを、また、こういった取り組みの普及継続に関して明らかに重要な役割を担ってきたことを、我々は知っております。我々の知っていることと考えていることは明白であります。つまり、視覚障害者向けのリハビリ活動に用いられる限りにおいて、この分野における重要な知識と経験を備えたアルトゥ・ノクタ視覚障害者財団に対して、用地がいま一度、今後30年間割当てられることを我々は求めるものであります。」

この訴えが、カーディル・トプバシュ広域市長の耳に届くことを、私は願っている。

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:11121 )