北イラク国境地帯レポート:トルコ軍の砲撃におびえる村々
2007年06月16日付 Milliyet 紙
クルド労働者党(PKK)のメンバーが身を潜めている北イラクの山岳地域に向けたトルコ軍の砲撃は、(北イラクの)ザホの国境の村々を恐怖に陥れた。不安を感じている村の1つにはバグダッドから逃れてきた人々が居住している。
トルコ軍の国境沿いへの集結が続く一方で、地域では活発な軍事活動が観察されている。国境のゼロ地点(最前線)に配備された戦車と砲兵ユニットも北イラクの山岳地帯にこの2日間集中砲火を浴びせた。
(シュルナク県)スィロピのチャルシュカン村とギョルムルュ村の上手にある峰からPKKメンバーが活動している山岳地帯に向けた迫撃砲の砲撃は、昨日一日中続いた。砲弾はザホのデルカン、シェラニシュ、スナフト、カスロクの各村近郊の道路と山岳地域に穴を開けたのが確認された。
■バグダッドから逃れたけれど
地域の爆撃によって最も影響を受けている村の中に、国境を流れるヘズィル川のほとりにあるデシュテタク村がある。村に住む家族のほとんど全ては戦争のためバグダッドから逃れてきた人々だ。北イラクへの将来起こりうる(トルコ軍の)軍事行動によって村を放棄することを余儀なくされるだろうという村の人々は、自分たちに被害が及ばないことを望んでいる。
■PKKとは関係がない
バグダッドで味わった恐怖を体験したくないと話す村人の1人、イショ・パトルス・パレは、本紙に次のように語った:
「我々はキリスト教徒として1000年間トルコ国境で暮らしている。サッダームは我々をここから追放した。バグダッドでの生活を余儀なくされた。それに続いて今度はイスラーム組織の標的となった。逃げて村に避難した。PKKは山岳地域にいて、我々は彼らとは関係がない。村に近い道路に砲弾が落ちた。一昨日の夜には激しい砲撃があり、村の全住民が1つの家に集まって神に祈りを捧げた」。
39歳のサリム・ミカイル・ヴェルデも村で平穏な生活を続けたいと願っていると述べる一方、「トルコはPKKを一掃するために北イラクへの軍事作戦を行おうとしている。ただ、国境の村に被害を出さないことが必要だ。何千人もの人々が国境地帯で生活している。我々はバグダッドから逃れてこの村にたどり着いた。落ち着いた生活を続けることを願う一方で、今度は大砲の音で目を覚ましている」と話した。
■600の村がある
シリアからイランに延びる全長300キロメートルの(トルコの)北イラク国境周辺には600の村がある。
越境軍事作戦に対する対策という目的で村の一部がこの一年で無人化された一方で、これらの村に住んでいた住民は(イラク)内陸部の居住地に移住した。国境地帯では100を超える村で人々が生活を続けている。
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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:11164 )