米国シンクタンクの最悪シナリオに、与党公正発展党反発
2007年06月16日付 Milliyet 紙

アメリカの保守的な研究機関である(シンクタンクの)ハドソン研究所で行われた集団思考(ブレインストーミング)会議で、トルコに関して、憲法裁判所長官が暗殺の被害者となる最悪のシナリオが議論され、反発を招いた。会議では、准将クラスの2人のトルコ軍要人も同席していたことが明らかとなった。このことに関するニュースがアンカラに伝わった後、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相も「このシナリオが誰のために奉仕しているものなのか理解するのは困難だ。これらはとても想像的で・・・」と述べながら、不快感を口にした。

ハドソン研究所という(研究)機関で行われた非公開の会議に、アメリカの一群の要人と分析家と共に、参謀本部内の戦略調査と研究センター(SAREM)の所長スハ・タンイェリ准将、在ワシントンの防衛武官ベルタン・ノガイラロール准将、ユーラシア政治センターのゼイノ・バラン局長、さらにクルド地域政府のワシントン代表にしてイラク大統領ジャラール・タラバーニーの息子クバード・タラバーニーも参加していたことが判明した。

■ 50人の死者を招くPKKのテロ

入手した情報によると、会議では研究所の専門家たちによって作成されたシナリオが机上で議論された。

問題のシナリオは、イスタンブルのベイオールで50人の死者を招くクルド労働者党(PKK)のテロと、憲法裁判所の元長官テュライ・トゥージュが暗殺された後、トルコ国軍が、エルドアン首相の指令により北イラクへ5万人の兵士を擁して、国境を越え軍事行動を起こす、という可能性を取り上げている。

このほか伝えられたことは、北イラクにいるクルド労働者党の指導者たちがアメリカ側に捕らえられトルコへ引き渡されることに関し、会議で評価がなされたことである。こうした議論の枠組みで、会議に参加したあるシンクタンクの分析家が、現段階でアメリカが同党指導者をトルコ側に引き渡すことは、総選挙前に与党公正発展党(AKP)への支持のように認識されることにつながるとの評価をおこなったことが、判明した。

■ 公正発展党議員の反発

議論された最悪のシナリオと、クルド労働者党の指導者が総選挙前にトルコへ引き渡されることに関する評価がワシントンの裏舞台で行われたことは、首都ワシントンを訪問中である公正発展党の国会議員団の激しい反発を招いた。同党のイスタンブル選出のエゲメン・バウシュ議員は、一昨日(14日)ワシントンで行った記者会見でハドソン研究所という(研究)機関で議論された最悪のシナリオを知り、次のように声明を出した。

「上級の裁判官ばかりか、あらゆるトルコ市民の生命に関わる悪意を、シナリオの導入部として描くあらゆる試みを非難する。トルコ国家の一体性、トルコの国家安全保障は、(他国の)政党や、あるいは国外でトルコの政治の分析に努める者、トルコ国内で一連の社会計画を専門的に分析する者が口を挟む問題ではない。」

■ バウシュ:この議論は祖国への反逆である

記者会見でエゲメン・バウシュ議員に「会議で一連の専門家と関係者が、現段階でクルド労働者党指導者を北イラクでアメリカが捕えることが、政治的観点から、トルコで注意を要することになろうと発言しました。このことにどのようにお答えになられますか」という形で質問が向けられた。

バウシュ議員はこの質問に次のように答えた。

「この主張を口にした人々が、我が国で生まれ育った者だと聞き、トルコで連日軍人や一般市民が命を失う中、トルコで(自らが抱く)一連の政治的期待のため「こうした死が続きますように、もう少し待とう」という形の態度をもつことを憎み、激しく非難する。

こうした議論は、政治を飛び越え祖国の反逆に相当する態度である。トルコで少し前に述べたように、必要とあれば国会議員を我々は辞すつもりである、一滴も死者の血が注がれないというのなら。」


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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:11166 )