ディンク殺害事件の初公判始まる -事件前、警察に情報提供の証言
2007年07月03日付 Milliyet 紙
フラント・ディンク氏殺害事件の初公判での審理で4人の釈放者が出た。キーパーソンであるエルハン・トゥンジェルは、「私はフラント・ディンク氏が殺害されることを警察に知らせた。私が情報提供をしたことを知っている8人の警察官の名前を挙げることもできる。彼らは私の証人だ」と述べた。
フラント・ディンク氏殺害に関しての初公判での審理で、容疑者とされていたイルファン・オズカン、オスマン・アルタイ、ベイセル・トプラク、サリヒ・ハジュサリホウルが釈放されることが決定した。
弁護士の証言によると、マスコミに非公開で行われた審理では、ヤシン・ハヤルとエルハン・トゥンジェルが警察や検察に行った証言を繰り返し、またエルハン・トゥンジェルは供述で、「フラント・ディンク氏がアゴス社の前で、うなじを撃たれるだろうということまで、すべての情報を警察に伝えた。私はやるべきことはやった。私が情報提供したことを知っている8人の警察官の名前を挙げることもできる。彼らはこれに関しての証人だ。ヤシン・ハヤルは情緒不安定だ。トゥンジャイ・ウズンダルと彼の兄弟は精神分裂症である。彼らに精神鑑定がなされるべきだ。」と述べた。またこれを聞いたヤシン・ハヤル氏もこの言葉にたいし立ち上がり「私の健康にはなんら問題はない、ありがたいことに。」と述べたことが明らかにされた。
■ 10月1日に延期
審理を10月1日に延期することを決めた裁判所は、弁護士の要求にそって、トラブゾン県警により記録されたがファイルの中に見当たらなくなっているエルハン・トゥンジェルとヤシン・ハヤル関連の6000件以上の通話記録のすべてを列挙し報告するよう要求した。サビハ・ギョクチェン女史に関する記事の後にディンク氏をイスタンブル県庁に呼び出し、そこで会ったのは誰であるか知らせるよう要求した裁判所は、諜報局によって用意され、検察が調べたのち破棄されたエルハン・トゥンジェルに関する48ページにわたる調査書といくつかの書類も再び提出するよう求めた。さらに裁判所は、審理に加わることのできる弁護士の数を15人に制限した。
ディンク氏の妻のラケル・ディンク夫人は、裁判所に「(審理への)参加」を求める内容を含んだ2ページにおよぶ請願書を提出した。請願書で、「アルメニア」という単語をののしりの言葉として感じたと明らかにしたディンク夫人は、「今日ここに殺人者となった何も知らない無垢なものらがいる。彼らを生んだ暗闇はどこにあるのか。暗闇と私が述べたのは、彼ら一人一人のことではない。この暗闇の一部は、県、憲兵、軍、警察、政府、野党、国会に議席を持たない政党、さらにはマスコミや市民団体のなかにあるのだ。とめどなく敵をつくりだし、無垢なものたちを殺人者とし、これをトルコのためといって行っているのだ。こうした様をアゴス社の前でサビハ・ギョクチェン女史についての記事の後、そして夫ディンクの裁判の時に目撃した。しかしどういうわけか、正義と法はこれらに関わろうとはしないのである。なぜならややもすれば自身の中にもこうしたものがあることを知ることになるからだ。」と述べた。
■ラケル・ディンク夫人は謝罪を要求
「正義は国家の原則であり、私はこの原則を追求している。」と述べたラケル・ディンク夫人は、トルコがこの原則に基づいていることを、そしてこのことを頭の中でではなく、現実社会の中でそして人々が口に出すなかで見てみたいと述べ、「それゆえ、それぞれ任を負うものたち、責任あるものたちすべてには、『君の夫を、我々の国民を守ることができなかった、守りたいとは思わなかった。いや、罪さえ犯した、謝罪する』と発言してもらいたい」といった表現を用いた。
約12時間続いた審理の後、刑務所の車でつれていかれたキーパーソン、エルハン・トゥンジェルは「偏見に気づかない社会は文明社会ではない」と叫んだ。
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( 翻訳者:大田垣綾子 )
( 記事ID:11302 )