ハサンケイフ遺跡保存へ、一縷の望み・・
2007年07月08日付 Radikal 紙

ハサンケイフを水没させることになるウルス・ダム計画は、12億ユーロ(約2016億6734万円)の融資先が再び見つけられたことでまた動き始めた。ダムが作られる地方で、4つの村の買い上げ作業は、ほとんど完了した。ラマン山のふもとに「新たなハサンケイフ」の建設が始まった。バトゥマンから35 km離れた郡の中心地では、ダム建設が今日明日にも始まろうとしているといわれている。

ハサンケイフには1万2千年前にさかのぼる歴史があり、シュメール、アッシリア、アイユーブ、そしてローマも含む何十もの文明と関わった。ハサンケイフの保存を望む人たちは、腹を立て、次のように述べた。「彼らは、この事業は既成事実ということにしている。しかしハサンケイフにとってはまだなにも終わっていない。」

南東アナトリア・プロジェクト(GAP)の一環として計画されたウルス・ダムと水力発電所は、ハサンケイフの歴史的な重要性から国際世論でも議論を呼び、外国の投資家の1人が手を引いたことで建設は保留されていた。

■ 記憶を失わないように写真を

しかし、ウルス・コンソーシアムを構成するオーストリア・ドイツ・スイスの企業が12億ユーロの融資先を見つけたという情報によって、状況は再び変わった。その後融資条件に関する175ページにわたる「相互合意覚書」が明らかになった。

「同意」の条件には、水没する家々暮らす人々の「記憶喪失」を引き起こさないようにするため、その家の1つ1つを写真に収めることから、ハサンケイフの発掘で近隣の人々が雇用されることまでと、数多くの条項があり、そのうちの1つが「ハサンケイフの歴史的建造物の移築と保護」だった。

自然協会の地方組織の責任者、ヌリ・オズバーダトル氏は、「ハサンケイフは、1つの事実であり、歴史であり、文化である」と述べた。同氏によると、融資者たちが条件として提案したことに応えられる可能性はないという。なぜなら、この地域の遺跡は、土とれんがでできており、触ったらばらばらになり、石の遺跡のように切り取って運ぶことは不可能なためとのこと。

■ 果たされない祈りに願い

オズバーダトル氏は、ウルス・ダム建設が「おそらく」昨年8月5日にエルドアン首相自ら参加した式典でもって始まった、ということに注意を喚起した。同氏は反対して次のように述べた。「この事業はすでに終わったと言われている。そんなことはない。昨年8月5日には単に様子が窺われただけだった。それ以前に融資すると明らかにしていたスイス銀行が手を引いた理由も明らかではない。その理由がはっきりとわかれば、今回融資をすると明らかにした銀行にも影響を与えうるだろう。」

ハサンケイフ保全企画のコーディネーター、ディレン・オズカン氏は、ダム建設についてより「悲観的」であり、しかし同時により「決然として」いる。オズカン氏は、数日中にダム建設が開始するだろうという情報を得た、と述べた。同氏は「ダム建設が行われる予定の村々の買収作業が始まった」と述べ、「闘いは常に続くだろう。署名を集めた書類を作成した。その書類を融資するという国々の大使館に送る予定だ。また代表者も大使館に亡命要請を出すだろう。目的は、『あなたたちは我々の歴史的な場所をなくすために融資をしている。我々もあなたたちの歴史的な地域に住み着きたい』ということです。8月にこの提案を行う予定です」と述べた。

■ 1平方キロメートルが3,000YTL

この地域でこれらのことが話されているが、一方で準備も続いている。ハサンケイフ保全協会の代表者で、「羊飼いのアフメト」のあだ名で知られるアフメト・アクデニズ氏は、ダムの本体と建設現場となる4つの村(ウルス、オメルリ、カラバユル、テメッリ)の買収が完了したと説明した。

「灌漑施設がなく農業が行われている土地は1平方キロメートルあたり平均3,000(約28万8000円)YTLで買収された。灌漑施設をもち農業が行われている場所は水資源局(DSI)と村の人々で調停中である。土地を売った村人は誰にも話さない。ハサンケイフの移動する予定であるラマン山のふもとで居住区が明らかにされている。」

■ 「エシュメカヤのようになってしまう」

ハサンケイフに関係して、欧州人権裁判所の裁判で調停を行っているアトラス誌の総編集長オズジャン・ユクセキ氏によると、ウルス・ダムは、水資源局管轄の、水を供給できないダムのひとつになりうるという。

「ダムが完成したとしてもダムは(水門を)開けることはできない。世論の意識と関係することだ。水資源局は、いくつか放流しないダムをつくった。『コンヤ県にあるエシュメカヤ・ダムはなぜ止まったのか』と問う必要がある。ハサンケイフが水没することは、結果として歴史と自然の災害を招く」(環境保護論者のあらゆる反対意見にもかかわらず、エシュメカヤの自然のアシが生い茂った土地の上に作られていたダムは、何兆も費やしたあと、水の豊かな区域が干上がってしまったため、そのまま放置された。)

■ セゼン・アクスからメッセージ

ハサンケイフにかんする議論に、セゼン・アクスも公式サイトで文章を発表するという形で加わった。アクスは、皆ハサンケイフについて感性を働かして振る舞うように呼びかけ、次のように述べた。

「皆にとって重要なことは、ハサンケイフに所在しています。人であることの特権がもしあるとするなら、その権利を行使する時は、今この時です。このことに気づいたコミュニティの代表者たちは、ハサンケイフを台無しにする役割を担わないようにとすでに手を引いています。環境団体や自分たちの世論の感性に対し、傍観者の位置にとどまらなかったのです。どうか、この人類の罪に加わらないようにしましょう。」

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:11344 )