アメリカ、ボーイング社の旅客機22機のイランへの売却を妨害:航空機の老朽化問題を考える
2007年07月10日付 E'temad-e Melli 紙

 ハータミー政権で道路運輸相を務めたアフマド・ホッラム氏は、ある航空機墜落事故(彼が道路運輸相だった頃、幾度となく起きていた)を受けて、事故の原因について問い質した第6期国会議員らの質問に対し、事故のもっとも主要な原因はイランへの航空機売却に対する〔アメリカの〕制裁措置にあると明確に回答したことがあった。ホッラム元道路運輸相はこうして、イランで多くの航空機が墜落していることに対する引責を、イランに対する制裁が解除される日まで先送りにしようとしたのだ。

 国会議員らが同元道路運輸相に質問への回答を求めた際、同氏が航空機墜落事故の主要原因をこのように明瞭に述べたことが、同氏解任の一つの原因となってしまったわけだが、しかしながらイランに対する経済封鎖網が日増しに狭まりつつあることが、明らかに我が国が保有する航空機の老朽化の主要原因であることを認めないわけにはいくまい。

 もちろん、政府はこのことを認めようとはせず、ポピュリスト的なプロパガンダによって、制裁が惹起する負の精神的影響を減じようと、毎日多くの努力を払っている。しかし〔単なるプロパガンダではなく現実の問題として〕、今やアメリカはイランに対する経済制裁をより厳しいものとすべく、イラン・エアツアー社による22機の航空機購入契約がまとまるのを阻止する行動に出ているのだ。

 イラン・エアツアー社が購入を検討していた22機の航空機は、ボーイングMD機という機種で、同社はある中国企業からの購入を予定していた。しかし、イラン・エアツアー社の取締役会会長のプールモハンマディー氏によると、「アメリカ政府は自らのイランに対する敵対的政策の延長として、国際法に反し、また自らのかつての約束を反故にする形で、航空機22機のイラン・エアツアー社への売却契約がまとまるのを妨害した」という。

 プールモハンマディー会長はファールス通信とのインタビューの中で、「以前から、イラン・エアツアー社はボーイングMD機をある中国企業から22機購入する交渉をしており、双方の間で合意もできていた」と指摘している。

 イランの航空産業はいつも、航空機の改良によって制裁の負担を軽くすることができるだけの科学的進歩を遂げていると胸を張るが、しかしプールモハンマディー会長は自ら、これまでの〔イラン航空機産業の〕科学的進歩にも関わらず、イランの技術者たちにはこの種の航空機を修理する能力などないということを認めているのである。

 このように、アメリカの最近の動きは、〔イランで用いられている〕航空機の新型化への道を閉ざし、経済制裁をこれまで以上に複雑化させるものなのである。イラン航空機産業の関係者らがアメリカの最近の動きを国際法違反であると批判したところで、アメリカの命令下でイランに対して課せられてきた制裁によって、これまで航空業界は〔他の分野にも増して〕最大の被害を受けてきたという現実は変らない。

 航空業界のスタンスは、アメリカの違法な行為を批判するばかりだが、ここ数年航空機の老朽化に伴う数多くの航空機墜落事故の報道が新聞の一面を幾度となく飾っている現状を考えれば、このような立場を航空業界が取ったところで、この種の事故をなくす解決法とはならないのだ。

 その一方で、イラン民間航空機構の長官は、「国際法に反したアメリカによる航空分野での制裁に対し、イラン航空機構は次回の国際民間航空機関(ICAO)の会合で、全力を尽くして、この問題をアピールするつもりだ」と述べている。

 ホセイン・ハーンラリー長官は、ファールス通信とのインタビューで、アメリカがイランに対して課している航空分野での制裁に言及した上で、「このようなアメリカの行為は、シカゴ条約にまったくもって反している。シカゴ条約では、いかなる国も飛行機の乗客の命を危険に曝すことは、許されていない」と指摘した。

 その上で同長官は、「アメリカは、昨年イランに対する航空分野での制裁解除を口にしたにも関わらず、これまでこれっぽちもそれを実行に移していない」と明言、さらに今年のシャフリーヴァル月下旬〔9月中〜下旬〕にカナダでICAO第36回会合が開かれる予定であるとし、「イラン航空機構はこの会議に、これまでと同様、積極的に参加し、制裁解除を求めるべく、同問題を真剣に追求するつもりだ」と述べている。

 同長官はまた、「ICAOが掲げる方針とは、すべてのフライトの安全の確立である。イランはアメリカによる制裁の結果、この安全が危険に晒されている可能性があり、それゆえ我が国はアメリカに対しICAOに抗議を申し立てる予定だ」とも語っている。

 我が国の経済政策の責任者たちは、アメリカの制裁による国の経済への影響をいつも声高に否定するが、しかし航空機の輸入不可といった事例は、経済制裁によってイランに加えられている打撃なるものを客観的に例証しているのであり、このことを真剣に受け入れなくてはならない。

 たとえ国の航空機業界の責任者たちが、乗客の命の安全を守ることを日頃から口で約束しても、航空機墜落事故が起きれば、最終的に航空機の老朽化を認める他ない。そうだからこそ、アフマド・ホッラム元道路運輸相のような政府責任者が国のおかれた厳しい現状を受け入れることは、難しいことかもしれないが、勇気ある行動であると思えるのだ。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11359 )