【アリー・アラヴィー:バンダル・アッバース】「ガソリンが自由価格で提供されることはないだろう」。これは内相がマスコミに述べていたことだ。しかし、内相がこのようなことを述べていたまさにそのとき、ペルシア湾岸にほど近いバンダル・アッバース旧市街の「裏町」地区では、ガソリンが公然と、1リットル当り600~800トマーン(約79~105円)で売られていた。
〔訳註:現在ガソリン配給制の下で正式に売られているガソリンは、
1リットル100トマーンである〕
20リットル14,000トマーン(約1800円)
バンダル・アッバースの「裏町」地区の大通りでは、誰に尋ねても自由価格のガソリンがどこで売られているか知っている。通りに着くや否や、一部の人々が20リットル入りのガソリン容器を手にしているのを見ることができ、ここが密売場所だと分かる。ガソリン容器は、多くの家々や一部の路地から運ばれてきている。
密売人のところに行って価格を尋ねると、20リットル14,000トマーンで売られていた。売り手に、このような高いガソリンは外国産なのか国内産なのかと尋ねると、国内産で、これが彼の最後の20リットルなのだという。
少し離れたところから、ガソリンの容器を手にした若者が目の前にやってきて、記者に次のように言った。「20リットル12,000トマーン(約1580円)だよ、いかが?混ざり物無しのとっても純度が高いやつだよ」。
私はまとめ買いをする業者のふりをして、20リットル入りのガソリンを100本、あと数時間のうちに欲しいと彼に言った。彼は初めのうちは、私が取り締まりの役人かもしれないと疑っていたが、少し話をしていると、彼の心配はなくなったようだった。
彼は夜には大丈夫だと請け合い、「夜までにこの量を用意できるよ」と言った。時刻は午後5時だった。私は彼に、本当に夜までに用意できるのかと尋ねると、彼はこう言った。「心配しないでよ、どうやったらこの量のガソリンを用意できるのか、僕らはよく知っているんだから」。ガソリンが欲しかったらまた声をかけるといって、私たちは分かれた。
もう少し南に降りていくと、海岸の近くには、数人の漁師が座っていた。私は彼らのところへ行くことにした。私は新聞記者だと言うと、明らかに彼らはすべての質問には答えたくないようだった。
そのうちの一人は、記者に次のように語った。「3シリンダーのモーターボートなら1艘で、毎日少なくとも80リットルのガソリンを使う。それなのに、1艘当りのガソリンの割り当ては60リットルしか考慮されていないんだ。こんな量のガソリンじゃ誰も海へ出ないし、自分の割り当て分のガソリンを売るに決まってる。あんたがここで見た闇市は、もう海になんか出ることのないモーターボートに割り当てられたガソリンを売るためのものなんだ」。
〔中略〕
割り当て分売却で35,000トマーン(約4600円)の利益
漁師たちの一人がようやくインタビューに応じてくれた。彼は自分の割り当て分を毎日売っており、いまの状況で海に出ても利益にならないと考えている。
彼は次のように語ってくれた。「ある人が車で、モーターボートのガソリン割り当て分を漁師のために運んで来てくれるのだが、この人物はガソリン代に加えて1リットル当り25トマーン(約3円)の手数料を受け取っている。俺たちはこうして受け取ったガソリンを、1リットル当り400~600トマーン(約53~79円)で卸売業者に売っているんだ。この仕事で毎日25,000~35,000トマーン(約3200~4600円)儲けている」。
この漁師は外国産のガソリンについては、次のように話した。「ミーナーブでは、大型のモーターボートが「サブズ」や「スーパー」というガソリンをドバイから入れていると友人から聞いたことがあるが、自分では見たことがないな」。
このバンダル・アッバースの漁師は、さらに約1500艘の漁師のモーターボートが〔バンダル・アッバースには〕あると指摘し、さらに次のように述べた。「ボートを持っている者の70%近くが、自分に割り当てられたガソリンを売っている。その根本的な原因はこうだ。俺たちは漁をするためにラーラク島辺りまで行かなきゃならないし、良い漁場を見つけるためには〔それだけで〕60リットルのガソリンを使わなきゃならないこともある。今の〔割り当て量である〕60リットルじゃ、俺たちが漁をすることは不可能だ。自分の割り当て分を毎日売るのも、致し方ないってわけさ」。
この漁師はこう付け加えた。「もちろん、自分の船の船員に仕事がなくならないように、自分の2日分の割り当てを貯めて漁に出る人もいるけどね」。
〔後略〕
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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:11406 )