トルコ総選挙、海外メディアの報道ぶり -軍の政治介入に国民はNO
2007年07月24日付 Zaman 紙

トルコにおける総選挙を取材していた外国メディアは、公正発展党(AK)の勝利を、軍、司法、官僚そして第一野党(共和人民党)に対する強いメッセージとしてとらえた。

7月22日の選挙を、トルコにおける民主主義と、軍事的圧力に支えられた世俗主義勢力との間の抗争として見ていた外国各メディアは、今回の選挙結果は「軍の政治介入に対する国民の反発である」という意見で一致した。外国各メディアは紙面トップで選挙結果を伝え、公正発展党は世俗主義を危機に至らしめるようとはしていないということを明らかにし、「公正発展党政権の立憲政治は国の内外で認められた」と解説した。世界中の各メディアの選挙に関する見方は以下の通りである。

『ガーディアン』(イギリス)
「選挙結果は軍の圧力に対する答えである」との見出しをつけた『ガーディアン』紙は、公正発展党が軍の無言の脅しにもかかわらず、大勝利をおさめたと書いた。「首相に反対する軍上層部や政治的ライバルたちが政府にどうにか墓穴を掘らせようとした試みは大失敗に終わった」と評した同紙は、「大勝利は、エルドアン政府の立憲政治を内外にもう一度認めさせ、有無を言わせないものにした」と表現した。

『インディペンデント』(イギリス)
「公正発展党が重要な選挙勝利を手にしたこと」に注目する『インディペンデント』紙は、選挙結果を「国民が軍の政治介入に反発して示した最後通告」であると論評した。

『タイムズ』(イギリス)
「公正発展党がイスラム主義的国家体制を築こうとする恐ろしい計画を練っているのでは、という国民の不安を払しょくし、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相にもう一度政権を担う権利を与えた」と書いた。新聞の解説では、「選挙の影響力は国外にも及び、この選挙がムスリム世界にとって政治的イスラムという観点から一つの例として受け止められた」と評された。

『フィナンシャルタイムズ』(イギリス)
「トルコの有権者は圧倒的多数で公正発展党に支持を与えた」との見出しを付けた同紙は、「今回の結果は世俗主義者と軍にとって大打撃となった」と強調した。

『ルモンド』(フランス)
投票の結果はエルドアン首相に対する「信任票」であると解説した。公正発展党が「世俗主義的色彩の濃いイズミルから南東部まで」すべての地域で勝利を収めたことを伝える同紙は、産業界もキリスト教諸勢力もひそかに公正発展党を支持したと伝えた。

『フィガロ』(フランス)
選挙結果を「イスラム主義者の圧勝」との見出しで伝えた右派の新聞『フィガロ」は、公正発展党の勝利を、「宗教的保守主義」の「世俗的保守主義」に対する勝利として論評した。さらに公正発展党が勝利しても、公正発展党と軍との緊張関係は終わらないであろうと強調した。

『ドイチェ・ヴェレ』(ドイツ)
ドイツの放送局であるドイツ・ヴェレは「公正発展党は我々を驚かせた」という見出しのニュースで、トルコでこの50年で初めて、政権政党が支持票を増やし、新たな政府を設立することに関心を寄せた。

『エルムンド』(スペイン)
「エルドアンは選挙の場で軍との腕相撲に勝った」

『ニューヨーク・タイムズ』(アメリカ)
同紙は、有権者は「旧式の銃」に厳しい試練を与えたとのべ、「非常に多くの有権者は、公正発展党はトルコの民主主義にとって脅威ではないとのメッセージを伝えた」と表現した。

『ワシントンポスト』(アメリカ)
「世俗主義と軍が強く非難された」とした同紙は、公正発展党は穏健派イスラムと急速な経済発展の両方を体現するもの論評を加えた。

『アル・ジャズィーラ』(カタール)
アラブ世界最大の視聴率を誇るアル・ジャズィーラテレビは、ニュースで、イスラム的色彩の濃い国としてトルコが、民主主義において示した成熟さを強調する一方、公正発展党に与えられた票は、単に宗教勢力からだけではなく、リベラル派、アタテュルク主義者そしてその他のトルコの様々な勢力からもたらされたものであると伝えた。

トルコにおける議会選挙が、最大の関心となっていた中東では、主要なテレビ局がトルコから生中継を行う一方、多くの新聞も、公正発展党の大勝利を第一面で伝えた。

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( 翻訳者:石丸由美 )
( 記事ID:11466 )