ワッハーブ派のファトワー(教令)にシーア派最高権威らが強く反発
2007年07月24日付 Jam-e Jam 紙

〔訳注:下記記事は、先日サウジアラビアのワッハーブ派のムフティー(ファトワーを出す法学者)がカルバラーのイマーム・ホセイン廟やアッバース廟、シリアのゼイナブ廟といったシーア派の重要な聖廟の破壊をスンナ派信徒に呼びかけたことを受けて、マルジャエ・タグリード(シーア派最高権威)が声明を発出したことを報じた記事である。なお、ワッハーブ派は偶像崇拝や聖者崇拝を徹底的に排除することを掲げるスンナ派法学派で、19世紀初めにホセイン廟を破壊した前歴がある。サウジアラビアはこの宗派の法的意見を基礎にして建国されている。〕

【政治部】マカーレム=シーラーズィー、ヌーリー=ハメダーニー、サーフィー=ゴルパーイェガニーなどの大アーヤトッラーたちはそれぞれ声明を発表し、その中で一部のワッハーブ派のムフティーがシーア派の聖廟破壊に関して出したファトワー(教令)を非難した。

 マルジャエ・タグリード(シーア派最高権威)の一人であるアーヤトッラー・ヌーリー=ハメダーニーは自身の声明で、イスラームの統一に打撃を与え、分裂せしめんとするワッハーブ派の企みに対し遺憾を表明し、次のように述べた。「シーア派とスンナ派のウラマーが著書や声明の中で、彼ら〔ワッハーブ派〕の間違った考え方を暴いてから、すでに何年も経っている。さらにこの間、彼らを何度も討論に招待してきた。しかし、彼らはいまだに、逸脱した道を歩み続けている」。

 アーヤトッラー・ヌーリー=ハメダーニーはこの声明で、これらのイスラーム法学者たちに自らのファトワーを撤回させるよう、サウジアラビア政府に要求した。

 大アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーも声明を発出し、その中でシーア派の聖地破壊に関するワッハーブ派のファトワーを非難すると同時に、次のように明言した。「もしサウジアラビアのウラマーとの対話が現実的でないならば、国連の場でサウジアラビア政府を非難するべきであり、経済制裁や政治的制裁によって同国に圧力を加えるべきだ」。

 同師はさらに、次のように付け加えた。「一部のサウジアラビア国民がのうのうと、殺人やテロ、破壊のファトワーを出し、世界を危険にさらしていることを、どうしてサウジアラビア政府は許すのか。この種の連中の汚れた思想が存在する限り、平穏な世界など期待できないということを、イスラーム教徒は知らなければならない」。

 大アーヤトッラー・サーフィー=ゴルパーイェガーニーも声明の中で、「サウジアラビアはテロの学校であり、〈テロリストのイスラーム〉の輸出国である」と強調した。

 同師はさらに、国の責任者にこの件に関して必要な措置を講ずるよう要求した。

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( 翻訳者:富山彩 )
( 記事ID:11503 )