論説:イラクの占領に対する武装抵抗について
2007年07月28日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ イラク抵抗闘争の選択とその敵の選択

2007年07月28日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP論説面

【ジャマール・ムハンマド・タキー】

イラクの抵抗は、侵略者に立ち向かいその占領に挑戦する事を責務としている点で、イラク国民の崇高さと精神的活力を代表している。イラク解放の目的は何ら達成されず、独立主権国家としての権利の回復も成されていない状況で、抵抗闘争は、帝国主義の撃退に参画している。

過熱した情勢の中でこのように言われるのは、特に目新しい事ではない。しかし実際は、アメリカの国内事情、全般的に停滞しているその対外プロジェクト、苦境にあるイラク情勢の影響によって現状がもたらされている。イラクに占領を押し付ける政策は失敗する運命にあり、米政権はイラクとその周辺をコントロールする事ができず、後退せざるを得なくなっている。

アメリカによるイラク占領が5年を迎えて猶、抵抗は拡大し米軍を圧迫しつつある。抵抗に勝利が囁かれ占領は敗退し、米国内でさえ侵略に対する後悔の声が上がっている。しかし、国の尊厳と利益に関わる事であるので、アメリカの政策決定者たちにとって、敗北を受入れるのは容易なことではない。従って、損失を最小に抑えつつ、徐々に視界から消え去り、側面から影響力を行使する段階に移行するための手段が採られる。

これが正に、ディック・チェイニーが栄誉ある撤退と名付けた事であり、現在ブッシュ政権がそのために腐心している。その任期終了が近づく毎に、米国は譲れないレッドラインを維持する方途を模索してきた。第一のレッドラインは、イラクを域内の勢力バランスから脱却させ、国際的、つまりアメリカの庇護を必要とする従属国にする事。国内に不和の種をまき、外国の庇護なくしては存続も危ういような国にする事である。豊かな石油資源並びに人材を有するイラクから多大な可能性を奪い無力にしておくことは、アメリカとイスラエルによる中東支配を容易にする。第二に、この混乱に乗じて上述の目標を固める事。アメリカは、完全撤退の後、新勢力が勃興するのを遅らせようとしており、新生イラクの成長には有益なはずの人材、物理的精神的インフラの破壊に努めている。

2008年の末までの段階的撤退と、イラク情勢を国際的に取り扱う事を進言したベーカー・ハミルトン委員会の案は、アメリカが自ら実現できなかった目標を間接的に実現するためのものであったが、ブッシュ政権はそれに従って任期を終了することを望まず、しかし同時に、それを完全に無視できなかった。そのためアメリカは、未だ勝利を目指していると言い続け、兵力の増員が成される一方で、イランとの協議を行い、イラク政府には、敵対的民兵組織と戦うよう圧力をかけ、また、抵抗勢力を抱き込む事によって国民和解を適切なレベルで実現させようとしている。

更にブッシュ政権は、新石油法を通じてイラクの石油から利益を得る事、イラクを対イラン用の基地とする事などにも関心を示している。しかし、アル=カーイダは撲滅されず、テロの脅威は無くなるどころか大きくなり、そして、戦争の引き金となった大量破壊兵器は全く偽りの口実である事が確かになった今、米市民は、この戦争のコストを払い続ける事に満足しないだろう。民主党はこの状況を選挙戦に利用し、議会からは、米軍がイラクに留まる間にアル=カーイダはアフガニスタンで勢力を回復しているとして、兵力をイラクに充てる事の危険性が指摘されている。

ブッシュ政権は、石油権益と戦略的利益を確保し、また、その支持者達の支配を固めるため、イラクに拠点を残しながら快適に撤退しようと画策している。そのために、イラク抵抗勢力と交渉し、北部あるいは中央に米軍基地を残す事に彼らが合意する見返りとして、政権へ参加させるという事にした。米大使が上院委員会への説明で、「イラク軍はまだ、我々が充てにできる段階に至らず、無条件撤退はアル=カーイダに最適の環境を作ることになる」と述べたのはこのためである。

抵抗勢力がその正当な目的を達した後に、彼ら同士の間で武力を行使するようになれば、この武装グループほど抑圧的なものは無い。もし、目的を達する以前に、このような武装グループが登場すれば、彼らは、占領と略奪に苦しむ人々を救済しているとはとても言えない。世界中の民の抵抗の試みから、我々はそのように学んできた。身内の不和は占領者、略奪者に利用される。特に、方策が尽きると、彼らは、このような内部の緊張を利用する事をためらわない。

こちらと交渉してあちらとはしない、交渉を通じ相手方を互いに競合させる、各々矛盾した提案をする、噂を流して互いの信頼関係を左右する、等々で彼らは漁夫の利を得ようとする。イラクにとって意味のある抵抗勢力全ての共通の要請、つまり無条件の完全撤退をこそ優先させるべきであるのに、互いの不和を相手に利用されているだけである。

抵抗勢力が度々妨げているが、占領側は策を弄することをやめようとしない。軍事、政治他様々な局面で抵抗活動のレベルを引き上げる必要がある。同時に、米国内の様々な声と連帯し得る市民の声を如何に創出するかも考える必要がある。

武装抵抗勢力各派のメンバーや旧イラク軍の人員を団結させるイラク解放軍の創設も、急を要する国民的抵抗として行われるべきである。解放後は、これが政府に属する軍事部門となる。それと並行して、政治面でも、占領者からイラクを解放することを第一としたプロジェクトが合意されるべきである。内外の全ての勢力が合同し国民戦線となって、市民的抵抗勢力による政治部門の中心となる。

英国紙が伝えたところによれば、20年革命の例にならい、7つの武装勢力を代表する政治事務局が開設され、占領に抵抗する勢力の参加を呼びかけている。占領者の放逐、真の国民の意思による国家体制の確立を目指すプロジェクトとの事であるが、彼らの歩みがアメリカとの交渉とは関わっていないのが頼もしい。抵抗勢力の攻撃から自軍を救済しようというアメリカの選択に左右される事なく、無条件撤退以外、交渉の余地は無いと宣言できる。これこそが元々のイラク抵抗勢力にとってのレッドラインであったはずだ。

問題は、最早、アメリカが敗北したか否かではなく、抵抗勢力が自らに打ち克つことができるかどうかだ、というのは、イラク・ウラマー協会事務局長の発言だそうだが、ここでの議論の雰囲気に近いと言える。現状がここまで悪いとなると、我々が真の勝利に至るには未だ長い道のりを要する。勝利はアメリカの敗北によってはもたらされない。我々が互いに権力闘争を繰り広げる以上、それは我々の敗北である。真の勝利は、占領者を引き上げさせ、国と民を邪悪な内戦から守りえる国家を創出することである。この破壊が残した悲劇を癒し、復興に向かうため、安定した民主主義的国家体制により、イラク国民の活力、イラクの地位と権利を取り戻すために、それが必要である。国を犠牲にしてさもしい利益を追求する者、抵抗勢力を引き込んで不正な利益を得ようとする占領者に追従する者は、つけを払うことになるだろう。過去の如何なる時にも増して、あらゆる抵抗勢力には、団結し、足並みを揃え、利己的になるのを止めてイラクとその国民のために活動する事が求められている。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11507 )