ガザ地区の病院でハマースがファタハ系幹部を罷免、医師らが抗議行動
2007年08月09日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ハマースとファタハの抗争、ガザの病院にも波及
2007年08月09日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ガザ:本紙】
ガザの主要な病院で昨日水曜日、パレスチナ人医師および看護師数十人が、イスラーム抵抗運動ハマースの支配するガザ地区の保健省が競合する組織であるファタハにつながりのある運営責任者2人を罷免するとの決定を下したことに抗議して、しばらくの間勤務を拒否した。
ハマースのために6月にガザ地区での支配権を失ったファタハは、ハッザーウ・アービド博士をシャファー病院の院長に任命していた。するとハマースの側でも院長を任命し、この院長はアービド博士を罷免する命令を出した。またハマースは、ファタハと関係がある病院渉外局長のジュムア・サッカー氏を罷免した。裁判所ではイスラーム主義集団とファタハがそれぞれ事務局長を任命し、それぞれ自分が責任者であると主張するなど、ガザ地区の自治政府機関では混乱状態が広がっている。150万人のガザ地区住民が利用するシャファー病院では少なくとも70人の医師と看護師が2時間にわたって仕事を拒否した。
抗議者たちが壁に掲げた張り紙には「我々は死んでも解任された政府による不当な決定を実行することはしない」と書かれていた。「解任された政府」とは、ファタハの指導者であるパレスチナのマフムード・アッバース大統領が解散させたハマース内閣のことを指している。ハマースは、「占領下のヨルダン川西岸地区でアッバース大統領の組織した内閣は、ガザ地区で市民暴動を起こすように追随者を扇動した」として非難し、「勤務を拒否した医師や看護師たちは病人の生命を脅かした」と述べた。サッカー氏は「シャファー病院での運営責任者2人の罷免の決定は政治的な動機に基づくものだ」と語った。
ガザ地区の保健省の報道官は、「今回の罷免は、病院の運営、財政、倫理上の腐敗への対応として行われたものだ」と述べた。糖尿病患者のアブー・アフマドさんは病院の中で立ち尽くし、医師や看護師が抗議をするようすや、彼らを怒りの目で見ているハマースの執行部隊のメンバーのすがたを眺めていた。年老いたこの患者は杖をつきながら、「ファタハとハマースは私たちのことを本当に気にかけているのか、神のみぞ知る、だ」と語った。
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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:11634 )