イスラエルが新和平案:難民の帰還権否定、入植地残存と代替地提供など
2007年08月08日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ イスラエルの和平計画:難民の帰還権を否定し、入植地残存
■ アラブあるいはパレスチナの旗をハラム・シャリーフに掲揚、アラブ系町村を48年の地域[※イスラエル領]からパレスチナ自治区に移管
■ ハニーヤ首相、「国民合意の代償として」自らの辞任を提案
2007年08月08日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ナザレ、ガザ:本紙ズハイル・アンドゥラウス、アシュラフ・アル=ハウル】
イスラエルの消息筋によると、イスラエルは新和平計画を打ち出した。シモン・ペレス大統領が就任後数日の間もなく、同案をエフード・オルメルト首相に提出した。この計画は占領下にあるヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地群を残存させ、その代わりにグリーンライン内にある同等の面積の町村をパレスチナ自治区側に編入することを基本的な考えとしている。またパレスチナ難民の故郷への帰還の権利を拒否し、グリーンライン外で解決策を見出すこととしている。
イスラエル首相官房は昨日公式声明を発表し、オルメルト首相はこの計画の内容をまだ承知しておらず、この計画についてのイスラエルのハアレツ紙の報道は正確なものではなかったと強調した。これに対してイスラエル軍ラジオ放送のインタビューでこの記事について言及したアキヴァ・エルダール記者は、掲載された内容は全て正しかったと述べ、オルメルト首相は自らこの計画について報告を受けたが、この計画を採用するかどうかについて公表していないだけだと強調した。エルダール記者は、イスラエル政府において政策決定の権限を有する人々と強いつながりがあることで知られている。
ハアレツ紙の報道によるとオルメルト首相は新たな和平の道筋を検討しており、それによるとイスラエルは1967年に占領した地域の面積の100パーセントに相当する土地をパレスチナ国家に対して移管することになる。ヨルダン側西岸地区の約5パーセントに相当するユダヤ人入植地群と引き換えに、イスラエルはパレスチナ側に対して48年の地域[※現在のイスラエル領]から相応の代替地を提供するための交渉を提案する。政界関係者によれば、イスラエル政府とパレスチナ側が全ての項目について相互理解に達すれば、少なくとも70パーセントの議員がこの合意を支持すると予想される。
(中略)
いっぽう、解任されたパレスチナ自治政府内閣のイスマーイール・ハニーヤ首相は昨日、国民合意がその代償となるのであれば首相を辞任する用意があるとの立場を表明した。ハニーヤ首相は地元記者との会見において、パレスチナ内部合意の代償が首相の地位であるのならば、自分はこの地位を放棄する用意があると述べた。
ハニーヤ首相は、パレスチナにおける現状の政治的解決のプロセスのためには、政治体制における挙国一致、合法的な組織および制度の尊重、国民のための実務的な治安機関の確立、パレスチナ解放機構を全パレスチナ人民を結集させる組織として再生すること、民主主義的な選択と政治的多元性の尊重、外国の介入を許さないこと、パレスチナ人の正統な権利として抵抗運動を保護することが必要だと述べた。
またハニーヤ首相は、ファタハとハマースはパレスチナの政治体制を支える二大組織であると強調し、ヨルダン側西岸地区とガザ地区で起きている政治的分断の状況は一時的なものであると述べ、「ファタハとハマースを基礎としない政治体制はありえない」として、パレスチナ人民全員のために真の政治的パートナーシップが生まれることに希望を表明した。
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( 翻訳者:玉井葉子 )
( 記事ID:11641 )