■ イラクにおける国連の役割拡大
■ イラクのマーリキー首相、8月20日にシリア訪問
2007年08月12日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【AFP、ロイター、AP】
国連安全保障理事会は金曜日(10日)、対立する宗派間の和解ならびに近隣諸国との対話の促進に向け、イラクにおける国連の政治的役割を拡大させる決議を採択した。イラクのヌーリー・アル=マーリキー首相はこのところ近隣諸国に対する訪問を相次いで行っており、トルコ、イランに始まり、今月20日にはシリアを訪問する予定。
安全保障理事会理事国15ヶ国は、金曜日に期限を迎えた国連イラク支援団(UNAMI)の任務を拡大する米英提出の決議を全会一致で採択した。
米英両国の高官は、イラクの政治的問題を国連に任せて自国の軍隊を撤退させることによってその問題から逃れることを目的としているのではないと主張しており、イラク支援に向けて近隣諸国を結集させるため、国連がより大規模に参加することを望んでいるのだと述べている。
安全保障理事会のアメリカ代表で決議草案者のザルマイ・ハリルザード国連大使は、安全保障理事会が2003年のアメリカ主導のイラク攻撃に反対していたことを指摘し、今回の全会一致の決議採択は、「イラクにおける安全保障理事会の役割に関する一局面の終わり」を表していると述べた。さらに、「この決議は、イラクで起こっていることがイラクだけではなく全世界に戦略的な影響を引き起こす問題であるという一般的な確信を強調するものである」と述べた。ハリルザード大使は、安全保障理事会が各政治勢力間の会合を呼びかけ、「調停に向けた方策を提案する」ことによって、確実に「イラク近隣諸国がイラクに対して、直面している困難を克服するための支援を行うようになる」ことに希望を表明した。
過去数年間、イラクにおける国連の政治的役割は小さいものであった。しかし、安全保障理事会の決議によって国連は、イラクで対立する諸勢力の統一に向けた努力を主導するためのより明確な権限を得ることになる。
しかしイラクのホシャール・ズィバーリー外相は、国連の潘基文事務総長へ書簡を送り、国連側のいかなる行動においても、イラク政府の事前許可が必要であることを明確にした。いっぽう潘事務総長は、「イラクのさまざまな派閥や民族、宗派間の対話や政策上の便宜を支持し推進することは、国連の義務の一部である」と明言した。
今年後半にはパキスタン人であるアシュラフ・カーディー国連特別代表がイラクでの任期を終えるが、現在のところ後任の人事については発表されていない。ハリルザード大使によればレバノン駐在の国連代表として勤務した経験のあるスウェーデン国籍のステファン・デミストラ氏が「選出される可能性の高い人物」だというが、決定権を有するのは潘事務総長である。国連の高官らによれば、中東各国において特使を務めたルーマニアのラド・オノフリ氏も候補に挙がっているという。
ハリルザード大使が先週述べたところによれば、イスラーム教シーア派の大アーヤトッラー(宗教指導者)であるアリー・アル=シスターニー師を含むイラクの主要な勢力の一部は国連と話し合う意向を表明しているが、米英と話し合う意思は示していないとのことである。
(後略)
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( 翻訳者:千鳥伊久美 )
( 記事ID:11646 )