お粗末なハイジャック―喜劇映画をみているよう・・
2007年08月19日付 Hurriyet 紙

昨日(18日)の朝、136名の乗客と6名の乗員を乗せたレフコシャ発イスタンブル行きのアトラスジェット航空の飛行機が、トルコ人とパレスチナ人の2名のハイジャック犯によって、ハイジャックされた。彼らは子ども用粘土を爆弾の形に模って脅した。アトラスジェットがワールド・フォーカス航空からクルーごと賃借し、MD83型、KK1011便、TC-AKNと呼ばれていた飛行機は、6時45分に北キプロスのエルジャン空港からイスタンブルに向けて出発した。飛行機がトルコ領空に入った頃、後ろの席に座っていた犯人2人は即座にコックピットへ向かった。その2名はパレスチナ系エジプト人モーメン・アブドゥル・アジズ・ターリクとトルコ国籍のメフメト・レシャット・オズルと後に判明した。

ひとりはナイフを手にし、もうひとりは爆発物であると告げた小包を所持していた。ハイジャック犯はドアをノックせず、開けろと要求した。セキュリティーがかかっていたドアが開けられる気配がないのを知るや、ハイジャック犯は、乗員の一人を人質に取った。乗客に対し「われわれは神の使者である、誰にも危害をあたえるつもりはない」と話し、ハイジャックの目的をアメリカへの抗議であると語った犯人は、飛行機をイランかシリアに向かわせるよう要求した。この間に短時間ではあったが騒動がおこり、また飛行機がゆれたため一瞬パニックとなった。

ハイジャックされたことを信号で知らせたパイロットは、犯人に対し、「燃料補給をする必要がある、アンタリヤに着陸しなければならない」と伝えた。8時5分に飛行機はアンタリヤ空港に着陸した。機長のファルク・チャアンルと副操縦士ジェマル・ドーアナイは、着陸するやエンジンを停止させ、全システムも停止させてコックピットから飛び降り、飛行機から逃げた。厳戒態勢に入っていたアンタリヤ空港の安全対策チームもすぐに機体を包囲した。パイロットがシステムを停止させていたため飛行機の空調システムも作動せずしばらくすると酸素が薄くなった。過度の熱さと低酸素状態から体調不良者が出たので、ハイジャック犯は飛行機前方のドアを開かざるを得なくなった。

乗客にムスリムであるものは手を上げるよう命じたハイジャック犯は、しばしば「あなたがたはムスリムだ、われわれもだ。あなた方が私たちに危害を与えることがあっても、私たちはあなたがたには危害を与えない」と述べ、乗客に不安にならないようにと語った。この間犯人のひとりが15番座席に、手にもっていた黒のバントでバツ印の形をつくり、「爆発は最大でもここまでしか影響しない、こわがるな」と述べた。犯人は飛行機が空港に着陸して1時間半後、両翼付近の非常口のドアを開けさせ女性と子供を釈放しようとすると、後方に座っていた乗客の一部が飛行機の後方に備え付けられている、「尾翼円錐」と名づけられている非常口をあけることに成功した。飛行機からすぐに乗客が逃げ出すや、犯人は、最初は脱出を妨害しようとしたが、その後はなすがままにした。そのかわりに客室責任者ベルナ・ベヤズと客室乗務員1名と乗客3名を人質にした。ハイジャック犯の手から逃れるため2メートルの高さから飛び降りた131名の乗客のうち6名は負傷し、救急車で病院に搬送された。他の乗客はすぐにアンタリヤVIPサロンに案内され、ここでカウンセリングが行われた。

説得の試みに対し、人質にとっていた5名を解放しなかったハイジャック犯は、飛行機に機長を連れてくることを要求した。この要求に応じなかった安全対策チームは強行作戦に出ることを決めた。この間、犯人らに航空機後方の非常口をあけて整備上の点検をすることが必要であると告げ、時間を稼いだ。強行作戦のために、アンカラの公安局で編成された20名の特別強行作戦チームが、12時ごろ2台のヘリコプターでアンタリヤに到着した。この間ハイジャック犯はまず2名の乗客を解放した。しばらく抵抗していた犯人は、特別チームが機内に突入するのを知り、投降することを伝えた。アンタリヤ空港で8時5分に始まった恐怖の時間は、13時に、2名のハイジャック犯が人質にしていた乗客1名と乗員2名を解放し、両手をあげ飛行機から降りてきたことで、5時間に渡ったハイジャック劇に終止符を打った。

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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:11687 )