ギュル大統領就任を世界はこう伝えた
2007年08月29日付 Yeni Safak 紙
トルコの第11代大統領がアブドゥッラー・ギュル氏に決定したことは、世界のメディアに大きくとりあげられた。世界の主要なメディアのギュル大統領評は以下の通り
トルコの第11代大統領にアブドゥッラー・ギュル氏が就任したことは、世界のメディアに大きくとりあげられた。イギリスからアメリカ、マレーシアからカタールまで世界の主要な出版メディアやテレビは、ギュル氏の大統領就任と選挙プロセスに大きな紙面と時間を割いた。これらのメディアの一部を取り上げると、
『スコッツマン』:ギュル氏の選出はイスラム主義者らの勝利
スコットランドで発行されている『スコッツマン』紙は、「信心深いイスラム教徒のギュル氏が大統領となったことを、イスラム的政治運動にとって大きな勝利」と位置付けた。同紙はギュル氏がトルコにおける最初のイスラム主義者の大統領であると強調した。また同紙はギュル氏が、トルコの英雄アタテュルクを踏襲することになると評価した。
『ユーロニュース』:「トルコの新大統領は世俗主義を支持」
フランスの報道専門チャンネルである『ユーロニュース』は、トルコ共和国大統領にギュル氏が選ばれるや否や、彼の最初の公式行事である「アタテュルク廟訪問」を行ったことに注目した。「トルコの新大統領は世俗主義を支持している」と伝えたニュースで、アタテュルクが80年前に宗教と国家を分離する近代的で世俗的な国家を築いたことが伝えられた。
『ザ・スター』:彼の妻はスカーフにより宗教心を示すことが認められた。
マレーシアで発行されている『ザ・スター』紙は、アブドゥッラー・ギュルの妻ハイリュンニサ・ギュル夫人がスカーフを着用していることは、宗教性が現れる前触れであると考えられる、と書いていた。
『インディペンデント』:「公正発展党(AKP)は文民政治を支配下に置いた」
イギリスの『インディペンデント』紙は世俗主義勢力の反対にもかかわらず、イスラム主義勢力から出てきたアブドゥッラー・ギュル氏が、大統領となったことを伝えた。記事では公正発展党(AKP)は事実上、トルコの文民政治をコントロールすることになると書かれている。
『テレグラフ』:「ギュル氏に幸運を」
イギリスの『デイリー・テレグラフ』紙は、ハイリュニサ・ギュル夫人がスカーフを着用することで、世俗主義勢力の気分を害する可能性があるが、かつての外務大臣アブドゥッラー・ギュル氏はトルコをイラン式の神政国家にはしないであろうと、結論付けている。記事で「トルコのアブドゥッラー・ギュル氏に幸運を」と書かれてあった。
『ニューヨーク・タイムズ』:「軍関係者の反応は冷たかった」
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、軍関係者のギュル氏に対する無言の反応がかなり冷たかったと評した。同紙はギュル氏が軍の最高責任者であるにもかかわらず、軍関係者がだれ一人として宣誓式に参加しなかったことに注目している。
『ワシントン・ポスト』:軍はクーデターか、あるいは政治的イスラムに自らを合わせていくかである。
『ワシントン・ポスト』紙は、「ギュル氏の勝利は、軍にひとつの選択を強いることとなった。すなわちギュル政府をクーデターで転覆するか、あるいはイスラム世界の中の、最も強硬な世俗主義国家で拡大した政治的イスラムに自らを合わせていくかである」と分析した。
『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』:84年にわたる世俗主義体制の崩壊
ギュル氏が大統領となったことで、84年にわたる世俗主義体制が崩壊したと評した。同紙はギュル氏がトルコという枠の中で、イスラム色の濃い中間層から出て、国家の長にまで登りつめたと書いた。
『タイム』:「トルコをイスラム主義的な未来が待ちうけているのだろうか」
『タイム』誌は、イスラム主義派のジャーナリストは、大統領選によってトルコは政治的(危機)限界点をどうにか脱したとみているとしている。「トルコをイスラム主義的な未来が待ち受けているのだろうか」という記事で、軍もギュル氏の勝利を認めていると伝えた。
『アル・ジャズィーラ』
『アル・ジャズィーラ』は、ギュル氏の宣誓式に軍と第一野党である共和人民党(CHP)が出席しなかったことを取り上げた。ニュースではスカーフを着用しているギュル氏の妻が宣誓式に出席しなかったことも強調している。
『ドイチェ・ヴェレ』:世俗主義トルコにとって初めてのイスラム主義者としての経歴をもつ大統領。
『ドイチェ・ヴェレ』はニュースで、アブドュッラー・ギュル氏が、世俗主義トルコの最初のイスラム主義者としての経歴を持つ大統領であると伝えた。ニュースではギュル氏に、EUとドイツから祝電が送られたことが取り上げられた。
『ヴォイス・オブ・アメリカ』:「アメリカはギュル氏を祝福」
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はジョージ・ブッシュアメリカ大統領が、トルコの第11代大統領アブドュッラー・ギュル氏に電話で祝福を伝えたと報道した。『ヴォイス・オブ・アメリカ』はホワイトハウスの報道官による発表として、アメリカ国務省とアンカラのアメリカ大使館がそれぞれ祝電を送ったと伝えた。
『ガーディアン』:「かつてのイスラム主義者にヨーロッパは信頼を寄せている」
イギリスの『ガーディアン』紙は、イスラム主義者としての経歴ゆえにトルコ軍はアブドュッラー・ギュル氏に不信感を抱いているが、トルコの外務大臣としてEU内では各国代表から尊敬を勝ち得ていたと評価している。
『タイムズ』:「イスラム主義大統領から世俗主義体制堅持の約束」
イギリスの『タイムズ』紙は、トルコ史上初のイスラム主義勢力出身のアブドュッラー・ギュル氏が、トルコの世俗主義体制を堅持することを約束したと伝えた。報道ではギュル氏の選挙が「世俗主義パラノイアを誘因した」との解説がなされた。
『フィナンシャル・タイムズ』:「トルコはギュル氏を選び、軍に異議を唱えた」
『フィナンシャル・タイムズ』紙は、トルコはギュル氏を大統領に選び、軍に異議を唱えたと強調した。記事では、ギュル氏の立候補がかつて政治的危機を引き起こしたことも伝えられた。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』:「イスラム主義的な勢力から生まれた政府にとって大きな勝利」
『ウォール・ストリート・ジャーナル』はギュル氏が大統領となったことは、イスラム主義的な勢力から生まれた政府にとって、大きな勝利であると評価している。
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:石丸由美 )
( 記事ID:11774 )