ポップスのコンサート、上演許可が得られず中止に:チケットの購入者たち、途方に暮れる
2007年09月11日付 Jam-e Jam 紙
【文芸部:メフディー・ヤーヴァルマネシュ】日曜日の夜、テヘランの「ケシュヴァル大ホール」には、ポップ音楽のコンサートのチケットを手にしながら、公演を観ることができずに、閉じたままのホールの入場口の前でたたずむ人々の姿が目撃された。
彼らは同日夜、最後の瞬間になって初めて4人の歌手によるポップ音楽のコンサートが開催されないということを知ったわけだが、もし彼らがその数日前に新聞に目を通していたならば、ケシュヴァル大ホールの入場口が閉じたままになっていることにも、さほど驚きはしなかったことであろう。
話はシャフリーヴァル月13日〔9月4日〕にさかのぼる。その日、4人によるポップス音楽のコンサート公演のお知らせが、ある朝刊紙に掲載された。このお知らせはその2日後にも再度掲載され、多くのファンがチケット売り場に並ぶことになった。これに対し、文化イスラーム指導省の音楽・詩担当局からは、このコンサートに対して否定的な反応が出たのである。
同局のモハンマド・ホセイン・アフマディー総局長は、ジャーメ・ジャム紙との会見の中で、コンサート開催を否定した上で、ポップ音楽のコンサートを開く計画について、これまで文化イスラーム指導省には何の申請もなされていないことを明らかにした。しかしこのような報道にもかかわらず、〔コンサート当日に〕ケシュヴァル大ホールを訪れた人々の間では、それについて知っている者は少数であった。
チケットの販売、最後の瞬間まで
日曜日の夜19時、ケシュヴァル・ホールに本紙ジャーメ・ジャムの記者とカメラマンが向かった。そこには、チケットを購入しながらもコンサートがキャンセルされてしまった事実にとまどう、多数のファンに出会った。
会場に出向いていた人たちの多くは、土曜日や日曜日に、紹介された窓口からチケットを購入していた。そしてその中でも多くの人が、チケットを日曜日当日、しかも開演予定3時間前にケシュヴァル大ホールの窓口から購入していた。実際、コンサートを行うための許可は下りていないことを伝える報道が多数あったにもかかわらず、最後の瞬間までチケット販売が中止されることはなかったのだ。
ジャーメ・ジャム紙は、同日夜に現場にいたケシュヴァル・ホールの責任者・関係者たちから情報を得ようと努力をしたが、望ましい結果は得られなかった。そればかりか、新聞カメラマンであることを示す身分証が、ホールの守衛に一時的に没収されてしまう始末であった。
チケット購入者も、コンサートの開催者である「ハフト・ホナル」社の責任者に問い合わせたが、返ってきたのは「購入した窓口ですぐに返金してもらってほしい」という回答であった。この返金の約束が果たしてこれまで実現されたのかは、不明だ。
返金の代わりにサイン
昨日朝も、ケシュヴァル・ホールには多くの人々が問い合わせに来ていた。このホールの窓口からチケットを購入し、返金のために訪れていた人々だ。しかし彼らが受け取ったのは、この会社の責任者がチケットに書いたサインだけであった。
月曜日、本紙記者がケシュヴァル・ホールに出向き、再三要請したにもかかわらず、同社の責任者・関係者たちは質問に応じようとはせず、事実関係の提供については後日に先送りにした。
その他のチケット販売センターでも状況は似たり寄ったりで、「ハフテ・ティール」広場にあるコンサートの主催者の会社事務所にも多くの問い合わせが来ていたが、ここに問い合わせた人々も満足のいく説明を聞くことはできなかった模様だ。
本紙記者はこれらの人々に、文化イスラーム指導省の音楽・詩担当局からこのコンサートが無許可であることが発表されていたにもかかわらず、何故チケットを購入したのか訊いてみた。彼らの回答の多くは、「ケシュヴァル大ホールに連絡したところ、コンサートが行われることは確かであり、問題はないとの回答を受け取った」というものだった。
コンサートを主催する会社の責任者も、本紙記者とのインタビューの中で、公演許可は得ていたと強調していたが、そのことを示すような文書などは一切見せてもらえなかった。彼らは、この件に関してケシュヴァル大ホール側が、直接文化イスラーム指導省の関係者と文書で連絡する手筈であったとも言及した。そこで、われわれはこの主張の真偽について、文化イスラーム指導省の音楽・詩担当局に訊いてみた。
疑問の多い出来事
文化イスラーム指導省の音楽・詩担当局で本紙の質問に答えてくれたのは、モハンマド・ホセイン・アフマディー総局長と同局の監督・評価部のモハンマド・アリー・ダシュトゴリー部長であった。モハンマド・ホセイン・アフマディー総局長は、コンサートの告示が行われてから同局が取った行動について、次のように説明する。「私たちはシャフリーヴァル月15日〔9月6日〕に、メディアを通じて必要な情報提供を行いました。シャフリーヴァル月16日及び17日には、コンサートの主催者の会社に対して、許可を取得することなく公演を行わないよう、警告しました」。
ダシュトゴリー部長もまた、「許可を取得するための申請は、ケシュヴァル・ホールの側から音楽・詩担当局の監督・評価部にはなかったのか」との質問に対し、次のように答えている。「われわれの立場は、シャフリーヴァル月17日〔9月8日〕にメディアに公表されましたが、その後になってホール側からわれわれに書面が届き、当日〔9月9日〕及び二日後にポップス歌手一人のコンサートを開演するための許可が申請されました」。
アフマディー総局長にコンサート公演許可申請はどのような手順で検討されるのか、訊いてみた。「検討を行い、見解を発表するまで、1ヶ月は欲しいところです。24時間で回答を出すことは不可能です。最初に詩や音楽は二つの別個の審議会で、検討が行われます。専門的な検討が行われ、承認されると、申請は次の段階に移り、文化イスラーム指導省の芸術局に送られます」。総局長はさらに続ける。「〔‥‥〕私たちは調整役を担い、申請を支援する立場です。さまざまな過程を経た後、最終的に音楽・詩担当局の肯定的見解が、治安維持軍の公共地域局に送られ、さらにその他の関係当局と調整を行います」。
アフマディー総局長は、さらに「今年の夏は、過去30年では類をみないほどの多くのコンサートが開催されました。このような出来事が起きてしまったことは実に不可解です。なぜこのコンサートの開催者は、通常の手続きに反し、適切な時期に公演の申請を文化イスラーム指導省の音楽・詩担当局に提出しなかったのか、そして許可を申請せずに新聞各紙に宣伝してしまったのか」と首をひねる。
アフマディー総局長は最後に、「この局にいる私たちは、あらゆる種類の音楽を支援しています。音楽に区別を設けるといったことはしていません。実際、ポップ音楽のコンサートも、ここ数週間の間に何度か開かれています。私たちとしては文化イスラーム指導省の法律局を通じて、この疑問の多い事件について調査することを決定しました」と語っている。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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