電話ファトワー相談室―毎日、何百もの宗教的質問にお答えしています
2007年09月16日付 Zaman 紙

断食中に、あなたは錆び付いた釘が手に刺さりました。破傷風の予防接種をしたら、断食は中断したことになりますか?中断した分、あなたは償いの断食をしなければなりませんか?

質問の答えはもちろんイスラム法の本に書いてあるはずだ。けれども、こういった質問がある時に、あなたがたがてっとりばやく答えを見つけ出すのに一番良い方法は、町の宗務局事務所のファトワー電話相談室に電話することだ。イスタンブルの宗教局のファトワー課には、ラマザン期間中、毎日何百もの質問が寄せられる。ファトワー電話相談室に設置された3台の電話に応じる3人の担当者は、8時半から17時まで少なくとも150人の質問に答える。多忙時には局の他の回線にもつなげられるため、質問に答える電話の数は10台にもなる。ファトワー電話相談室の担当者で、宗教相談専門家のネヴィン・メリチさんは、断食している状態で話し続けるためとても大変ですが、一人のムスリムの信仰上の悩みを取り除いてあげることは、自分たちにとって精神的な安らとなる、と話す。メリチは、
「誰にとっても赦しの月であるラマザンは、我々にとって一番忙しいときです。しかし、アッラーはお助けくださっています。あまりに忙しいために、ひと月が過ぎていくのを全く感じません。」と語る。

メリチさんによると、ラマザンで質問が増えるのは、断食が、長期間続く、それも日々の生活の中で起こるすべてのことに関わるような「お勤め」だからだそうだ。

病気や、老いといった前々から分かっていることの他にも、手に釘が刺さったとか、突発的なことに関する質問もある。また、質問は断食に関することに留まらない。ラマザン期間中は、ザカート(喜捨)やラマザン中の喜捨、(義務を遂行できない人が払う)代償金、ラマザン中の夜のお祈り、というような、それぞれ個別的な対応が必要な問題もある。質問の答えは、むろん宗教的な本の中に書かれてある。なぜなら、ファトワーの専門家たちも、まずはコーランとムハンマドの伝承を初めとする古来の文書に依拠しながら答えているのだから。しかし、コーランで我々が読んだことを実際の生活に当てはめることは少々難しい。そのため、一番の解決への近道はやはり彼らに尋ねることだ。彼らは答える前にまず、質問者へプライベートに関する質問をし、もっともふさわしい回答を与えることに努める。たとえば、誓いを破ったことの償いに何をすべきか尋ねた人には、何の誓いをたてたのかを聞く必要がある。このために、電話相談は私的で重要な相談となるのだ。

7年間宗務局で働いてきたネヴィン・メリチさんは、質問の内容を理解するのに、メディアでいろいろ議論されたことがらとつき合わせながら取り組んできた、と明らかにする。テレビで信仰に関することが話されていると、すぐに電話をしてくる人がいるらしい。しかし問題の中身が同じでも、ファトワー相談室の答えは違っていることもある。メディアの流す情報に頭が混乱してしまった人々は、充分に情報を得られなかったためにもう一度ファトワー相談室に電話をしてどうすべきか尋ねたりする。
メディアでは特に、断食を中断してしまう行為かどうかについての議論がなされていると指摘するネヴィン・メリチさんは、
「メディアは視聴率を狙っています。「お勤め」のことを、楽しみを邪魔するものとして示そうとしています。しかし、人は「お勤め」を、喜んでしたがるものです。ところがこれはメディアの方針に反するものであるため、たがいに相容れないものとされるのです。メディアの与える情報と、信仰的な意味で与えられるべき情報は同じではありません。「お勤め」についての情報が与えられる時は、より慎重になるべきなのです。」と話す。

ネヴィン・メリチさんは、断食をする時間が伸びるにつれ、都市で生活する人々が「お勤め」のかわりの代償金を払う傾向にあることに注目する。こうした傾向は、断食の苦しさによるものではなく、生活の苦しさからきていることを述べるメリチさんは、次のように話す。
「人々はいつの時代も働いていました。断食しながら畑で、鉱山で働く者もいます。生活の苦しさが「お勤め」の妨げになってはいけません。健康はいちばん大切なことだが、「お勤め」の現世での意味が考えられなくなったら、「お勤め」からも遠ざかってしまうことになりうる。「お勤め」がアッラーと信徒との関係において果たす役割について人々は知るべきであるし、精神的に豊かになる必要がある。そもそも宗教知識が深刻なほど欠如している。このせいで、健康な一人の人間が断食をしないで代わりに寄付金をだそうとする。『断食できない。せめてお金をだします。』などというのは間違っている。それを言ってしまえばお祈りも難しい事になる。知識不足とこの世の悦楽が、「お勤め」から人を遠ざける原因となっている。」

イスタンブル宗務局の電話番号は02125122320。宗務庁のホームページ(www.diyanet.gov.tr)には、2巻のイルミハール(イスラムの教えを記した本)の全文が掲載されている。
さらにホームページでは、各国の断食時間も記されている。

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( 翻訳者:田林玲 )
( 記事ID:11929 )