イスタンブル・ビエンナーレでケマリズム論争勃発
2007年09月26日付 Milliyet 紙

第10回イスタンブル・ビエンナーレの今年のキュレーター、ホウ・ハンルー(侯瀚如)氏がケマリストの近代化モデルについてビエンナーレのカタログで「上からの圧力」という言葉を使ったことに対し、反発の声が上がっている。マルマラ大学の美術学部長ナザン・エルクメン教授は、131人の教員を代表して批判メッセージを発表した。

「不可能ではなくむしろ必要:グローバル戦争時代の楽観主義」というテーマのもと、9月8日から第10回国際イスタンブル・ビエンナーレが開催されている。しかし今年のキュレーター、ホウ・ハンルー氏がビエンナーレのカタログに書いた文章がマルマラ大学美術学部の強い反発を買ってしまった。同学部長のナザン・エルクメン教授が署名した「ビエンナーレへの批判」と題する文書は、学部に所属する131人の教員を代表して作成された。この文書には、ハンルー氏が寄稿した文章がビエンナーレに影を落としていると書かれている。

■「ケマリズムにおける矛盾」!
 ハンルー氏は、ビエンナーレのカタログに掲載した文章で次のように述べている。
「ケマリストの一連の政策によって推進された近代化モデルはまた、システムに内在するいくつかの解決しがたい矛盾やジレンマを抱える『上からの圧力』だった。諸々の改革は、一つ一つは革命の手段として必要だったにもかかわらず、半ば軍事政権のような形で押しつけられた。これは民主主義の原則に反している。ナショナリズムのイデオロギーが普遍的ヒューマニズムが指向するところとは反対の方向で機能し、エリートの社会的リーダーシップの下での経済的発展は社会的分裂を生み出した。ポピュリスト的な政治・宗教諸勢力は、彼らの要求を社会の底辺で新たに作り上げ、方向付け、そしてその要求を自らの利益に沿うような形へ転換することに成功した。」

■「注意深くあるべきだった」
 ケマリズムに関するハンルー氏のこの言葉に目を見張ったのがマルマラ大学美術学部長のナザン・エルクメン教授である。彼女は学部を代表して次のような声明を発表した。
「ケマリストの一連の政策を『上からの圧力』などと呼び、ムスタファ・ケマル・アタテュルクを『反ヒューマニスト』呼ばわりして断罪したことは、この発言が無知というよりは意図的な発言だということを示している。トルコは現在極めて微妙な時期にあるのだから、イスタンブル・ビエンナーレのキュレーターはこうした問題にもっと注意深くあるべきだ。アタテュルクの言葉で『芸術家とは、長い精進努力の末に、社会の中ではじめてその目に光を感じることのできる人間のことである』というものがある。この言葉が示すとおり、こうした注意力を持つ人だけが『芸術家』の名にふさわしいと改めて言いたい。」

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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:12013 )