独立系の調査会社Pewが広範囲の被験者を対象に実施したアンケートにより、トルコで世俗主義への支持が深刻なかたちで減少しているという結果が出た。
2002年に「宗教と国事は分離されるべき」と答えたトルコ人の割合は73%だったが、今年はこの割合が55%に低下した。パキスタンでは世俗主義への支持が、同じ時期に15ポイント上昇して48%となった。
ワシントンに本部を置く独立系の調査会社Pewが、「世界的な諸傾向に関するプロジェクト」の一環で、42カ国で実施した調査の結果が一昨日(4日)、公表された。「世界の人々はグローバル・ビジネスを肯定的に見ているが、移民は望んでいない」という題名の報告書のもっとも興味深い章のひとつが、トルコと世俗主義に関するアンケート結果である。パレスチナを含めた47カ国、45,239人に調査の枠組みで質問がなされる一方、トルコでも春の数ヶ月のあいだに971人の成人を対象に対面式でアンケート調査が行われた。
■パキスタンは世俗化した
宗教と国事が混同されないかたちで世界の大半が世俗主義を支持しているとはいえ、もっとも目を引く変化はトルコで起こっていることが示された。2002年のアンケートでは、「宗教は個人の信仰の問題であり、政治から分離されるべき」という意見の支持率はトルコで73% だったが、今年は55%に低下した。同じ設問で20%の低下を記録したインドに次いで、トルコは世俗主義への支持がこれほどまでに急落した第2の国となった。パキスタンでは、世俗主義への支持が5年で33%から48%に上昇したことが注目を引いている。報告書は、これら2カ国ともにアメリカの重要な同盟国であると述べ、トルコでは最近、公正発展党(AKP)が政権につき、パキスタンでは急進的な宗教主義者たちと政府の間で衝突が起こっていると指摘している。
■イスラーム風スカーフは女性の選択
イスラーム世界の大半の人々は、急進派を支持する層と、国の近代化を望む層とのあいだに衝突があると考えている。これについてトルコ国民は52%の割合で、レバノン(58%)に次いで最も決定的な世論を形成している。
エチオピアを除くすべてのイスラーム国家、そして特にトルコとインドネシアでは大多数が「ベールや長衣などで自身を覆うか否かは女性の選択である」という。この問題ではトルコが93%ともっとも高い割合を示し、インドネシアは91%であった。アンケートにあった「あなたの生活様式は外国の影響の脅威下にあると思いますか?」という質問に対して、トルコ人の88%が「はい」と答え、伝統の保護を望んでいる。同じ質問に対して、たとえばスウェーデンでは29%に留まった。
「あなたは男女が職場で一緒に働くことに制限が設けられることを望みますか?」という問いに「はい」と答えた人の割合は、トルコで24%であった。この割合は、他のイスラーム諸国の平均と較べてまだ低いが、5年前は37%であった。マレーシアでは国民の80%が職場で男性用、女性用というように部屋を分けることを支持している。
■民主主義への支持が低下
Pewの調査によれば、「民主主義はわが国でも機能しうる」と答えた人の割合は、全イスラーム世界の中でトルコが最も低かった。トルコ国民の31%のみがトルコでも民主主義が機能しうると考えているが、50%が「民主主義とは、ものごとを西洋人のように進めるスタイルである」と述べている。しかし4年前、民主主義がトルコでも機能しうると信じていた人の割合は50%を越えていた。
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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:12104 )