エジプト独占禁止監視局、セメント・鉄鋼業界の独占状況に捜査のメス
2007年10月07日付 Al-Ahram 紙

■ 鉄鋼業界の独占状況の調査結果、12月に発表
■ 競争保護法の違反者に対する刑事訴追の発動権は大臣に
■ 独占禁止監視局のモナ・ヤースィーン局長:「違法な独占的取引への罰金は最高1千万エジプト・ポンド」
■ 独占を告発する権利は個人や会社に

2007年10月07日付アハラーム紙(エジプト)HP1面

 独占禁止監視局はエジプトの鉄鋼市場の状況に関し、競争の自由に反する独占状態が存在しているか否かについての調査結果を12月中に公表する予定である。

 独占禁止監視局は、ラシード・ムハンマド・ラシード通商・産業相から2006年7月16日付けで、セメントと鉄鋼の価格が不自然に上昇していることに鑑み、競争保護と独占禁止の法令に照らして両業界に競争を阻害する協定や慣行が存在しているか否かを調査するよう、要請を受けていた。

 独占禁止監視局は、ポルトランド・セメント市場で複数回にわたって全面調査を実施し、セメント製造企業の間で法律に違反する慣行が存在することを確認した。さらに価格の吊り上げに関する協定が存在することも確認されたが、これは競争保護法第6条に違反している。この件はさっそく通商・産業相に報告され、競争保護法第21条により違反者に対する刑事訴追の発動を要請する権限を与えられている同相によって、検察に送致された。

 一方で鉄鋼業界については今尚調査中であるが、年内には結果が公表されると予想されている。ちなみに世界各国での同様の事例では調査に10ヶ月から3年を要している。

 独占禁止監視局のムナー・ヤースィーン局長によれば、独占容疑が確定した場合、法律で規定されている懲罰は3万エジプト・ポンド以上1千万エジプト・ポンド以下の罰金であり、加えてこの違法行為から生じた損害の民事責任が負わせられる。最終判決は官報と日刊紙2紙で報じられ、その費用は判決を受けた側が支払う。また違反した法人の実質的な経営責任者は、違反行為であると認識していたことが確かな場合には、同じ懲罰を課される。

法人(会社)は、自社の従業員によって、あるいは自社の利益のために違反が行われた場合、判決が下された罰金や補償金の支払履行に連帯責任を負う。また競争保護法は、独占禁止監視局の職員に司法取締権限を与えている。

 ヤースィーン局長は、「独占禁止監視局の職務は監督にあり、個人や会社、政府から受理した申し立てを通じて、競争の自由を阻害する行為を監視する。同局は競争する個人や会社それ自体の保護を目的としているのではなく、市場そのものを保護することを目的としている。特定の市場の競合他社間の水平的協定であろうと、個人が出資者あるいは従業員と結ぶ垂直的協定であろうと、市場の支配を目的として競争を阻害する行為から市場を保護することが目的なのだ」と述べた。

 なお独占禁止監視局への申し立ては、直接あるいはインターネット・サイト(www.eca.org.eg)を通じて行うことが出来る。

 独占禁止監視局は昨年1月に設立された行政機関であり、同局の人材育成努力についてヤースィーン局長は、「同局の職員への継続的な訓練計画は局の設立初日から設けられており、この分野で先んじている数カ国との協力体制もある。そうした国々の経験を得て、国外研修や専門家の招聘を実施している」と述べた。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:12128 )