欧州人権裁判所、マイノリティー・ワクフ問題でトルコ政府に返却命令(Radikal紙)
2007年01月11日付 Radikal 紙

「トルコはマイノリティー所有のワクフの権利証書を返還するか、その相当金額を払わなければならない」

欧州人権裁判所はトルコに対し、剥奪したマイノリティー・ワクフ運営組織所有の固定資産証書の返還、またはそれに相当する金額の支払いを命じた。
同裁判所は、フェネルギリシャ男子高校・ワクフ運営組織がトルコ政府を訴えた、所有権と差別に関する訴訟において、1996年にトルコの裁判所の決定により剥奪された2つの権利証書の返還を決めた。権利証書がワクフ運営組織名義で再登録されなければ、トルコ政府は原告のワクフ運営組織に89万ユーロ(約160万トルコリラ/1億4000万円)の賠償金を支払うことになる。訴訟の費用と合わせて、この賠償金は91万ユーロ(172万トルコリラ/1億4400万円)にのぼる。
原告のワクフ運営組織は1997年に欧州人権裁判所に提訴、寄進によって手にしたベイオールとカドゥキョイの二つの固定資産に対し、1952年と1958年にそれぞれイスタンブル県によって与えられた権利証書が、トルコ財務省の介入で、1996年裁判所の決定により剥奪されたことに対し抗議していた。
ワクフ運営組織は、自分たちは40年間以上前述の固定資産の合法的所有者であり、またこの資産のために税金を払っていたにも関わらず、トルコの裁判所がこの判決を下したことは、欧州人権条約の所有権と差別に関する条項に違反すると主張していた。トルコの裁判所は権利証書剥奪の理由として、1974年に最高裁判所の下した判決を示していた。

■所有権の侵害

欧州人権裁判所は昨日、判決とともにその理由を明らかにし、1950年代に権利証書がワクフ運営組織名義で登録される際、いかなる公的機関もこれに反対しなかったこと、そして登録手続きが当時のトルコの法に沿って行われたことが説明された。同裁判所の判決では、トルコが所有権を侵害していると述べられている。
同裁判所は、原告のワクフ運営組織が差別を受けたとする訴えは認めなかった。この判決は同裁判所において、イスラム教徒でない宗教的マイノリティーのワクフ運営組織が、トルコ政府に対し起こした初めての訴訟の判決である。この点から重要性があり、類似した他の訴訟にとっての先例となる。同様の多くの訴訟が、同裁判所によって判決が下されるのを待っている。
トルコ政府が同裁判所とEUの批判を考慮しワクフ法改正を行わない場合、トルコには最低2500万ユーロ(39億5000万円)の罰金が科される。政府に対し以前この件で注意を喚起していた外務省は、セゼル大統領が拒否権を行使したワクフ法案の改正を望んでいる。
フェネルギリシャ男子高校・ワクフ運営組織が欧州人権裁判所において起こした訴訟の結果、トルコがワクフの所有権を侵害したという判決が下されたことを前向きに評価するよう求める外務省は、「セゼル大統領が拒否した法案が再び議論され、第三者に渡ったワクフ運営組織の資産の返還が保障されなければ、トルコがワクフ運営組織に何兆ユーロも払うことは避けられない。」と述べた。トルコ大国民議会は、セゼル大統領が「憲法違反」の理由で拒否したワクフ法案の再審を、まだ議題として扱ってはいない。


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( 翻訳者:上田悠里 )
( 記事ID:4330 )