イランとシリア、レバノン情勢をめぐって協議

　ここ数日、地域諸国の当局者たちはレバノンの〔大統領〕選出に関連する諸問題について、さまざまな場で検討を行っている。国際社会や地域のさまざまな人々が、大統領選出をめぐる危機からベイルートを救い出すための方法を見つけようと努力をしており、レバノンへの要人の往来も頻繁になっている。

　このような努力にもかかわらず、協議のために残された時間はあと48時間〔※11月21日水曜日までに国会が大統領を選出することになっていることを指す。その後選出は金曜日まで延期となった。レバノン新大統領の選出が延期されたのはこれで4回目〕となってもいまだ、レバノンの国内政治各派のスタンスには実質的な進展は何ら見られず、問題解決への扉は閉まったままだ。

　イラン・イスラーム共和国もこの問題と無関係ではない。イランはレバノン情勢に影響力を有する重要な国の一つとして、問題解決への糸口を見出そうと、幅広い活動を行っている。

　我が国の外交当局は昨日、シリアのワリード・ムアッリム外相をイランに迎えた。これより前、マヌーチェフル・モッタキー外相はこの問題についてシリアとともに〔三者で〕協議することを目的に、フランス外相をイランに招いたとの報道が流れたが、結局この重要問題はイランを訪問したムアッリム・シリア外相のみと検討することになった。

　マヌーチェフル・モッタキー外相はシリア外相との協議後、〔記者会見で〕レバノンやイラク、パレスチナをめぐる地域の諸問題について突っ込んだ話し合いを行ったとした上で、「ご存知のように、レバノンは敏感な時期を迎えている。当初よりイランとシリア両国は、レバノンが抱える問題の解決のためには、レバノン人自身が解決方法を見出す必要があると強調してきた。今回の話し合いでも、この点が強調された」と語った。

　同外相はさらに、「レバノンの意志決定に外国人が介入することがあってはならない。レバノンが〔国民的な〕団結と意思の統一を実現し、発展と安定へ向けた新たな一歩を踏み出すことを保証することができるのは、国民各層による憲法を基本としたコンセンサスと対話だけだ。すなわち、次期大統領の選出については、コンセンサスに基づいたものでなければならない」と続けた。

　シリアのワリード・ムアッリム外相もまた、モッタキー外相との会談後の記者会見で、レバノンに関する両者の見解は同一であるとの見方を示した上で、次のように述べた。「両者はともに、レバノンの我が同胞たちが大統領の選出に関してコンセンサスを手に入れることが必要だと考えている。レバノン統一の源である大統領は、憲法が定めた規定・条項に基づいて選出されるべきである」。

　同外相はまた、イラン外相にはこの目的を達成するためにシリアとフランスが行っている協力について説明したとした上で、さらに「〔パレスチナ〕占領地問題について言えば、これまで何度も強調してきたように、ゴラン高原の問題が議題にのぼらないのであれば、シリアはアナポリス会議〔アメリカの主催で11月27日に行われる予定の国際中東和平会議〕には参加しない」とも述べた。

　ベルナール・クシュネル仏外相は、レバノン国会の「アル・ムスタクバル会派」のサアド・ハリーリー会長との会談後、「私は誰がレバノン人の間の合意を邪魔しようとしているのか、新大統領が決まらない問題の責任者は誰なのか、知りたいと思う。フランスは全世界に対して、この問題の責任者を公表することになるだろう」と述べ、次のように警告している。「われわれは、レバノンの危機の解決を邪魔している者の正体を暴くつもりだ」。

　シリア外相に対してこの点について質問が飛んだ。レバノン問題の解決へ向けた協力の破壊を試みる者として、フランスはイランを非難しようとしているのかとの記者の質問に対して、シリア外相は「クシュネル外相の発言の意図は、イランやシリアではない。イランとシリアはともに、レバノンにコンセンサスを得ることのできる大統領候補者を見つけるために、努力・協力している」と答えた。

　同外相はまた、「スファイル・リスト」〔キリスト教マロン派教会のナスルッラー・ブトゥルス・スファイル総大司教が国内政治各派に提示する、複数の大統領候補者のリストのこと〕を認めるかとの別の記者の質問に対しては、「何度も強調しているように、シリアはリストをめぐるゲームに参加するつもりはない。これはレバノン人の内政問題であり、レバノンの同胞たちが自ら、コンセンサスの得られた次期大統領候補者を選ぶべきである」と答えた。

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（翻訳者:斎藤正道）
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