■ 成長、緊張、投機が原油価格を100ドルまで押し上げる
2007年11月11日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【AFP】
原油価格が1バレルあたり100ドルに達した。5年間のうちに、中国やインドにおける需要が伸び、原油産出国における地政学的緊張が高まり、投機が増大したために、価格が4倍になったのである。
5年前には、石油輸出国機構(OPEC)が定めた価格の範囲内で原油1バレルあたり22ドルから28ドルの間を行き来していた。
アメリカによるイラク侵攻は、石油関連施設への攻撃が頻繁に行われたため、世界中の原油市場で価格を急上昇させた。最近では、トルコが反乱勢力掃討のためイラク北部に侵攻する可能性があり、状況を悪化させた。
他の原油産出国でも政治的混乱は発生しており、中でも、ベネズエラの原油産出部門で2002年と2003年に起きたストライキ、ナイジェリアでの原油に関するインフラへの相次ぐ攻撃や外国人誘拐事件の発生といったものが、市場に不安を与えている。
「国際エネルギー研究センター」のリオ・ダルラス副所長は、「それに加えて、OPEC諸国における投資が減少し、需要が大きく増大する中で、イラン、ナイジェリア、イラクの生産能力が後退した」と語る。
さらに5年前から、世界各国、特に中国・インドの2大国は大きな経済成長を遂げており、原油消費の大幅増加につながった。
中国は現在、アメリカに次ぐ世界第2位の原油消費国であるが、国際エネルギー機関の推測によれば、2010年にはアメリカを追い抜くと見られる。
世界の製油能力が不十分にもかかわらず、市場への石油供給不足への恐れが再三指摘される中での石油需要の大幅増加は、備蓄量に関する懸念を招いている。
一方、世界の原油供給の40パーセントを占める OPECはより大胆な政策を採用して目標価格帯を停止し、減産によって価格が上昇した。
2006年には、原油価格は1バレルあたり50ドルに達し、OPECは日量120万バレルまで減産を行った。
ダルラス副所長は、「2月から実行された第2次減産措置は、正当化され得るものではない」と表明した。
原油消費国は国際エネルギー機関を通してOPECに対し、日量180万バレル程の増産を要求した。OPECは現在日量2720万バレルを生産しており、今年9月には日量50万バレルの増産を表明している。
しかし、2ヶ月間で20ドルもの価格の急上昇を防ぐには、今回の措置は十分ではなかった。ダルラス副所長は、「サウジアラビアは増産を行ったが、きわめて緩慢であった」と付け加えた。
OPEC側は、価格上昇は製油所の問題と投機熱に起因すると明言している。
(後略)
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:12535 )