アフマディーネジャード大統領、司法のムーサヴィヤーン無罪判断に異議
2007年11月29日付 Jam-e Jam 紙
【政治部】大統領ならびに閣僚らは昨日、バスィージ週間を記念してクーフィーヤを身につけてメディアの前に姿を現した。
〔訳注:
クーフィーヤとはアラブ人が身につけるかぶり物のことで、パレスチナ闘争の象徴として用いられる〕
マフムード・アフマディーネジャード大統領は、どうしてクーフィーヤを身につけているのかとの質問に対し、「バスィージ週間はわれわれにとって名誉の祭典である。政府閣僚はこれを首から提げることで、〔パレスチナ〕国民とともにあることを主張しているのだ」と語った。
しかし、昨日記者らが大統領及び情報相の口から聞きたかったのは、ムーサヴィヤーンをめぐる疑惑に対し、司法機関が無罪との判断を下したことへの彼らの反応であった。
大統領はこの問題に関し、「外国人らに提供された情報がいかなるものであったのか、国民が分かるように公表すべきだ。われわれは今後も執拗に、そう主張しつづけるつもりだ」と述べた。
大統領はさらに、「何らかの情報が、われわれとは対極にいる人々の手に渡った。彼らはこの情報を入手したのだ。彼らに提供された情報とはいかなる内容のものだったのか、公表するべきだ。そうすれば、国民もわれわれが何を心配しているのか、いかなる情報がイラン国民以外の他人に提供されたのか、分かるだろう」と続けた。
大統領はその上で、次のように述べた。「ここで問題となっているのは、技術的な問題ではない。政治的な問題なのだ。〔‥‥〕それゆえ、われわれはどんな内容が提供されたのか、公表すべきだと考えている。いずれにせよ、10〜15回、外国人らとの会合が行われ、そこで何らかの話がなされたことは確実だ」。
「われわれは裁判官の仕事に介入するつもりはない。しかし何が起きたのか国民に分かるように、いかなる情報が提供され、いかなる話がなされたのか公表すべきだというのが、われわれの考えである」と大統領は続けた。
モフセニー=エジェイー情報相「情報省は異議を申し立てる予定」
モフセニー=エジェイー情報省もムーサヴィヤーン問題について、次のように語った。「法律によれば、ムーサヴィヤーン問題に関して検察庁から出された判断に対して異議を申し立て、再審を要求することができることになっている。情報省は早急に、司法機関に対して異議を申し立てる予定だ」。
情報省はさらに、「われわれが見るところ、また証拠物件に照らしわれわれが判断するところによれば、ムーサヴィヤーンが保有している文書は機密文書である。しかし裁判官の判断は絶対である。〔司法の〕最終的判断を求めたい」と続けた。
情報相はさらに次のように述べる。「われわれは自らの見方を司法機関に送付し、再審を要求する予定だ。情報省の見解では、ムーサヴィヤーンはイギリス大使館その他一部の外国人に対して、何らかの情報を提供した。司法機関は現在、ムーサヴィヤーンの容疑を国の安全を脅かす反体制的プロパガンダの罪に該当すると考えているが、司法機関のこの判断は絶対である」。
情報相はその上で、「情報省は自らの職務に基づき、国家の安全を脅かすあらゆる情報の阻止と取り締まりを行い、このような〔反国家的な〕活動を行っている集団を司法機関に送検する義務がある」と続けた。
モフセニー=エジェイー情報相はまた、「ムーサヴィヤーンに対して検察庁から出された判断は、彼が〔完全に〕無罪放免となったということを意味するものではない」とも指摘した。
ハッダード=アーデル国会議長「ムーサヴィヤーン問題の担当裁判官に圧力の行使があったことを示す証拠があるのなら、公表すべき」
核スパイ問題の容疑者であったムーサヴィヤーンが無罪となったことに対する記者らの質問は、ハッダード=アーデル国会議長にも向けられた。国会議長はこの問題に関し、次のように語った。「裁判を公開で行うか、そうでないかは、最初の裁判が行われる前に提起されるべき問題だ。すでに裁判は行われ、判決が下されてしまっている。もはやそれ〔公開にするか否か〕について議論する時ではない。裁判は裁判官の判断により非公開で行われた。ムーサヴィヤーン問題はセンシティヴであることから、裁判官は非公開で行うことにしたのである。〔それゆえ、いまさら公開で裁判を行うよう政府が要求するべきではない〕」。
ハッダード=アーデル国会議長はさらに、ムーサヴィヤーン問題をめぐる国民の疑問に対して明確に答える必要があるとして、次のように述べた。「国民の疑問に明確に答えることは、司法への信頼につながる。大統領は裁判官が圧力を受けるようなことがあってはならないと警告したが、この警告に対して司法権長は強い関心を抱いている。それゆえ、もし裁判官に対する圧力があって〔ムーサヴィヤーンを無罪とする〕現在の司法判断が下された、というようなことを示す証拠があるのなら、それを提出して、この問題に対する国民の疑問に答えるべきだろう」。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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