見慣れた犠牲祭の光景、今年も(Milliyet紙)
2007年01月01日付 Milliyet 紙
犠牲祭(クルバン・バイラム)の初日、国内各地でクルバン(犠牲獣)を切る際に怪我をした1700人の人々が病院を訪れた。カイセリでは2人が極度の興奮で心臓発作を起こし、命を落とした。
アンカラでは県からのお知らせがあったにも関わらず、許可されていない空き地や不衛生な場所で屠殺が行われた。市民のほとんどがクルバン(犠牲獣)から切り取った毛皮を屠殺用地に控えているトルコ航空協会(THK)の職員に渡している一方で、毛皮を渡したがらない一部の人々と航空協会の職員との間で口論が起こった。
イズミトでは多くの人がクルバンを空き地で、専門家の警告があったのにも関わらず子どもの目の前で屠殺した。これをよく思わない人々に対して、とあるクルバン購入者からは「将来は子どもたちもクルバンを切るだろう。今から見て覚えてもらいたい。」という答えが返ってきた。
カイセリのコジャスィナンではメフメト・ナリンさん(59)が、アルグンジュク地区ではメムドゥフ・シャユクさん(59)がクルバンを切る際、極度に興奮して心臓発作を起こした。2人とも救命されることとはならなかった。
■クルバンが頭上に落ちてきた
スィヴァスのスルタン・イッゼッティン・カイカウース1世国立病院には怪我をした50人の人々が訪れた。このうち、イッゼット・ウルマンさんは頭上に切ったクルバンが落下してきて左脚を骨折し、ドアン・デミルバシュさんは切ったクルバンの角がのどに刺さったという。
ヨズガトでは、大型の家畜を地面に寝かせるのに手間取った市民が、後ろ足の一本に縄を結んだ犠牲獣をグラブで宙に浮かせてから切った。
コンヤでは犠牲獣の足に繋げた鎖をトラクターの後方にあるクレーンの補助で宙に浮かせ、切った。こうしてのどを切られた犠牲獣は、鎖から放され地面に置かれると立ち上がり、周囲の者に一時的に恐怖をもたらした。
■清潔な通りもある
2年間禁止に従ったエルズィンジャン住民は、今年もこれに従った。アルダハンでも大通りや通りは清潔に保たれた。ヴァンでは昔からの慣わし通り子どもたちの目の前で屠殺が行われた一方、アダナでは以前と比べ屠殺に関する取り決めがよく守られた。マニサではクルバンの行事が見境なく、子どもたちの目の前で屠殺が行われた。チャナッカレでは自治体が指定したジュマー市場で、望ましくない光景が繰り広げられた。サムスンでは、ムフティーのオスマン・シャーヒンさんが、大量に一カ所で屠殺しないようにと警告したにもかかわらず、クルバンを並べて屠殺していた。
■邸宅街がクルバンの街に
イスタンブルでは自治体が禁止措置を取ったにもかかわらず、通りや住宅の前でクルバンを切る人が今年も目立った。ファーティフやエユプ地区では一部の人々がクルバンの屠殺の後、犠牲獣の残った部分を道端に無責任に捨てた。
クルバン用の動物は細かく切られた後、再び広場に運ばれた。ゼイティンブルヌ地区ではクルバンを木々に吊るして(切り)、テントの中で切った人もいた。サルイェル地区では不法に(建設され)、20年間取り壊されなかったウユム・ヴィッララルがクルバンの販売・屠殺の場となった。
イスタンブル広域都市生活監督局は、バイラムの初日にイスタンブルで、合法的なクルバンの屠殺を行わなかった8人に対し各々54リラ(4563円)の罰金を課した。同局筋は、街の大抵のところではクルバンの屠殺の件での良くない事件は起こっておらず、以前ほどのひどさは今年はない、と語った。
■墓地で多宗教共存
メルスィンではクルバン・バイラムのために市管理墓地を訪問したユダヤ教、キリスト教、そしてイスラームの宗教関係者が「第6回伝統的祈りの儀式」で共に祈りを捧げた。メルスィンのイタリア・カトリック教会のロベルト・フェッラリ司教はトルコ国民とイスラーム世界のクルバン・バイラムを、そして新しい年を心の底から祝福すると述べた。墓地ではユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の各教徒の墓が共存していると語るフェッラリ司教は「宗教間の連帯の一番重要な例を、複数の信徒が混在する街であるメルスィンで我々が実現している」と述べた。
■バイラムの説教に取調べ
アンタリヤのデムレ郡で、あるモスクのイマームが、(クルバンの毛皮を)トルコ航空協会(THK)とトルコ軍遺族・傷病者支援財団とに対する非難と取れる表現により、郡長の命令で調査が開始された。何人かの市民が、アリ・チャトラク・モスクのイマーム、アフメト・キョプルジュが犠牲祭の礼拝の前に行った説教中にTHKと遺族・傷病者支援財団を非難する表現を用いたと主張して、THKのムスタファ・バイラクチュ支部長に知らせた。バイラクチュ支部長はこの件を郡長に報告した。デムレ郡のムスタファ・ギュルダル郡長は、イマームに関連して行政上の調査を開始させ、この件は検察庁に引き継がれる、と述べた。
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( 翻訳者:及川治香 )
( 記事ID:4267 )