トルコを悲しみに突き落としたウスパルタの飛行機墜落事故の原因が明らかになりはじめた。事故調査委員会の最初の報告によると、57人の死亡に繋がった悲劇の原因はパイロットのミスによるものである。
わずか4、5分を短縮しようとしたパイロットは、航空路からはずれて山に激突した。飛行機が墜落したトゥルベテペを調査した6人の調査員は、安全な着陸をするためのVOR装置が使用されなったことも確認した。パイロットは、管制塔との通信の後、VOR装置に気づかなかった。VOR装置が働かないまま、手動で着陸しようとしたことが事故の引き金となった。
民間航空局アリ・アルドゥル局長と6人の専門家から成る事故調査団は、ウスパルタで調査を続けている。調査結果レポートは明日、運輸相ビナル・ユルドゥルムに提出される。最初の検分は、何が起こったのかを明らかにするためのものである。調査団のレポートは、「飛行機に乗った人間が一人も助からなかったのは何故か?」という謎にも答えている。これによると死亡の原因になったのは追突ではなく、気圧の急激な変化によるものだった。まず飛行機の尾翼が山に激突し、そのショックで胴体が分解した。その時に起きた急激な気圧の変化が乗客の死亡の原因となった。
遺体を調べた関係者の一人は、「乗客の一部には傷ひとつない者もいた。」と明らかにした。
トルコの最も重要な核物理学者らが乗客として乗っていたことから、誰かが故意に破壊活動をおこなったのではということが話題になったが、これは事実ではないことが分かった。調査団によると、飛行機に危害が加えられた可能性は全く無いという。携帯電話が事故の原因であったかどうかという点も調査された。現場検証では、乗客の持っていた携帯電話の電源がオンになっていた事実は確認できなかった。5人のチームとともに調査に加わったウスパルタ県公安委員長のセダット・ガゾズジュ氏は、自身が初めの段階では事故現場の外にいたのに対し、その後事故現場に入ったという情報を伝えた。ガゾズジュ氏は「私は電話の音を聞かなかった。調査団にも聞いた者はいなかった。いれば私に言うはずだ。なぜなら、こういった状況もレポートに記述されるからだ。」 と話した。
飛行機の点検や修復に関して問題が無かったことを明らかにした民間航空局の関係者は、「アトラスジェット社の使っているMD型の航空機の点検期限は2008年1月30日で終了する。」と述べた。調査団は、パイロットがエイルディル湖を滑走路と勘違いして誤った方向に舵をとったという疑問についても真実味が無いとした。月の光が反射した湖と、特別に照明されている滑走路を取り違えるようなことは有り得ないことだとされた。
■機長パイロットは辞職するつもりだった
イスタンブルーウスパルタ間を飛行中に墜落したワールド・フォーカス航空会社の機長パイロットのセルハット・オズデミルは給料が下がったことを理由に先月辞職を考えていたことが明らかとなった。ワールド・フォーカス社の匿名希望のとあるパイロットは、セルハット・オズデミルが、給料が下がったことをしばしばこぼしていたこと、そして辞職を考えていたことを話した。さらに、同じような問題に直面していた2人のパイロットが他社に、より高給で引き抜かれたことを述べ、会社との関係で何のトラブルもなかったオズデミルは辞職をあきらめたことを説明した。
■飛行機の着陸装置のスイッチが入っていなかった。
事故の起こったトゥルベテペで調査をすすめている事故調査団は、興味深い確証を得た。これによると、航空機があと1.5メートル高く飛んでいれば悲劇は起こらなかったのだ。山頂を越えて飛行機は普段通り着陸できたはずだった。しかし、着陸装置のスイッチを入れておかなかったパイロットは、全く予測していなかった困難な地理条件を目の前にして山頂に激突することになってしまった。
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( 翻訳者:田林玲 )
( 記事ID:12580 )