米政府がパレスチナ・イスラエル問題に関するフォローアップ委員会設置を提案
2007年11月25日付 Al-Nahar 紙

■ ハマースがアナポリス会議後の攻撃を警告、ワシントンは共同のフォローアップ委員会設置を提案

2007年11月25日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ、各国首都:諸通信社】

 アナポリスでの中東和平国際会議開催を2日後に控えて、この会合を通してパレスチナ・トラックあるいはシリア・トラックにおいて前向きな結果を確実に生み出すために、国際社会の各方面間、国際社会とアラブ諸国間、国際社会とイスラエル間の連絡が密に行われた。

 パレスチナのマフムード・アッバース大統領は昨日、聖都エルサレムの宗教・文化・建築遺産保護を目的としてイスラーム諸国会議機構によって設置されたエルサレム委員会の委員長である、モロッコ国王ムハンマド6世と会談した後、アナポリス会議に参加するためにフェズを出発してアメリカ合衆国に向かった。

 マグレブ・アラブ通信社が伝えるところによると、ムハンマド6世は「モロッコ王国はパレスチナの大義と、パレスチナ人が聖なるエルサレムを首都とする独立国家を樹立する権利を常に支援する。全ての構成員があらゆるレベルで、平和と安全と調和が支配する空気の中でイスラエルと隣り合って生きていくことのできる国家である」と改めて表明した。

 一方でアッバース大統領はムハンマド6世に対して、「アナポリス会議開催を控えてのパレスチナ問題の最近の進展について報告し、パレスチナ問題の様々な点に関する真剣な交渉と責任ある協議に達することが期待されている今回の会議の一連の流れと求められる結果について言及」した。

■ ハマースの警告

 ところがイスラーム抵抗運動「ハマース」は、アナポリス会議後に攻撃を激化させることを確約した。ハマースのムーサー・アブー・マルズーク副政治局長は、「アナポリス会議の次に来る段階では、ヨルダン川西岸地区とガザ地区において、イスラエルの占領に反対するあらゆる形や方法による抵抗作戦が激化するだろう。というのも、アナポリス会議の結果によって、妥協的な方法の軽率さと、国民の大義に対するその破壊的な冒険性が明らかになるからである」と述べた。続けて、「アナポリス会議の構想は、2つの根本的な目的のために提起された。1つ目は、(2006年の夏に)レバノン南部で敗北したイスラエルのエフード・オルメルト首相を支援することだ。2つ目は、対イラン戦争の準備に関するアメリカの計画を隠蔽することである」と語った。

 ハマース系の「パレスチナ・メディア・センター」は、あらゆる場所にいるパレスチナ人に対して、「アナポリス会議を拒否し、国民としての揺るがぬ権利の固守を明らかにするために、大規模なデモを実行し、集会や活動を組織するよう」呼びかけた。

■ フォローアップ委員会

 リヤドにいるアラブの外交筋が明らかにしたところによると、アメリカ合衆国はアナポリス会議に参加する予定のアラブ諸国に対して、パレスチナ・イスラエル問題に関するフォローアップ委員会を設立し、来年1月にモスクワでシリア・レバノン・パレスチナの各トラックに関する会議を開催することを提案した。同筋によれば、提案された段取りには、「パレスチナ・イスラエル間の交渉を継続するために、中東和平カルテット、アラブ連盟のフォローアップ委員会の参加国を含むフォローアップ委員会を設立すること」が含まれている。同筋は、「この委員会の委員には、中東和平カルテット(アメリカ合衆国、国連、ロシア、EU)と、サウジアラビアがアラブ連盟のベイルート・サミットで提案し、リヤド・サミットで再提案された、アラブ和平イニシアティブを進めるフォローアップ委員会の参加国の中から代表が選ばれる」と明らかにした。

 このアラブ外交筋は、歴史的にアラブ数ヶ国の体制に近いロシアに重要な役割を担わせることを通してアラブ諸国を安心させることを特に目的とするアメリカのこれらの提案については意見を示さなかったが、「アメリカ合衆国は現在までに、ゴラン高原とシャバア農場の問題がアナポリス会議で提起されることに口頭で合意した」と指摘し、「アラブ側はこの約束を確かなものとする公式書簡を要求した」と語った。また、「アナポリス会議では、ブッシュ大統領が(イスラエルのエフード・)オルメルト首相と(パレスチナのマフムード・)アッバース大統領に宛てた書簡が全ての参加者に公開されるだろう」と明らかにし、この書簡は「ブッシュ大統領がパレスチナ・イスラエル両国家の樹立という原則を明言し、和平プロセスは国際決議、ロードマップ、アラブ和平イニシアティブに依拠することをアメリカが保証する書簡となるだろう」と述べた。そして、「サウジアラビアはワシントンに対して、イスラエル代表団の誰一人とも偶然にであれ事前の準備によってであれ会いたくないと断言したため、各代表団が会議場に別々の扉から入るという会議の段取りで合意が成立した」と語った。また、「多くのアラブ諸国はアナポリス会議がパレスチナ・イスラエル和平において重要な進展を実現することに対して楽観的ではないが、和平を実現するためのあらゆる試みに参加を希望していることを表明するために出席する」と述べた。

■ 諸国間の連絡

 ロシアのウラディミール・プーチン大統領はオルメルト首相から電話連絡を受け、アナポリス会議に向けた準備について協議した。

 またドイツのアンゲラ・メルケル首相は、オルメルト首相がアメリカ合衆国に向かう前に電話会談を行なった。首相府が出した声明によれば、オルメルト首相はメルケル首相に対し、「アナポリス会議の成功に向けて多大な努力を行っている」と伝えた。

 他方でメルケル首相は、中東における紛争の出口を探るために、EUが提案した行動プランを強調した。

■ アラブ諸国間の連絡

 ヨルダンのアブドゥッラー2世国王とオルメルト首相は電話会談にて、「現在アナポリス会議に開催に向けて進められている準備」について協議した。ヨルダン王室が出した声明によれば、アブドゥッラー2世は会談の中で、「今回の会議によって得られる、包括的で明確な方針による交渉プロセスを開始する機会を基礎として将来を築いてゆき、アラブ・イスラエル紛争の様々な局面に対処し、パレスチナの土地にパレスチナ独立国家を建設する必要性」を表明した。また、「今回の会議によって得られる和平実現の機会を活かし、次の段階において交渉を成功させるためパレスチナ・イスラエル間の信頼の情勢に努め、中東地域における公正で包括的な平和を実現する重要性」を強調した。

 アブドゥッラー2世は、サウジアラビアを訪問して同国のアブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ国王とアナポリス会議について協議するために、今日リヤドに到着する。

■ アサド大統領への書簡

 それに加えて、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、カタールのハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニー首長から中東における最近の情勢とアナポリス会議に関する書簡を受け取った。シリア大統領府声明によれば、カタールのハマド・ビン・ジャースィム・ビン・ジャブル・アール・サーニー首相兼外相が、昨日午後シリアのワリード・アル=ムアッリム外相が同席する中、アサド大統領と会談した際に、書簡を手渡した。また声明の中で、会合では金曜日にカイロで行われたアラブ外相級会合における成果とレバノン情勢が協議され、占領されたアラブの土地がその持ち主へと返還されることを保証する公正で包括的な和平に到達するために、国際決議が履行される必要性が確認された、と明らかにされた。また、「両兄弟国の利益と、アラブ民族共同体の利益のために、両国が協議と調整を継続することが確認された」と付け加えた。

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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:12584 )