アブドゥッラー・ギュル大統領は、任期を終えたエルドアン・テジチ教授の高等教育機構理事長のポストに中東工科大学出身のユスフ・ズィヤ・オズジャン教授を任命した。ギュル大統領のこの人事は、教育界で驚きとして評された。
高等教育機構テジチ理事長の任期が終る少し前には同職候補者には多くの名前が挙がっていた。ビルケント大学学長のアリー・ドーラマジュ教授、公正発展党の高等教育機構メンバーのイッゼット・オズゲンチ教授、ハリス・アイハン教授とエンヴェル・ハサンオール教授の名前が挙がっていた。
これらの名前とともにトルコ科学技術研究機構会長ニュズヘト・イェティッシュ教授とサバンジュ大学学長トスン・テルズィオール、高等教育機構メンバーのビュレント・ズルフィキャルも理事長候補の一人だった。しかしこれらの名前からは誰一人選ばれなかったことは、ギュル大統領が驚きの人事を行なう期待をかもし出していた。舞台裏で名前も出ていないオズジャン教授をギュル大統領が任命したことは教育界を非常に驚かせた。
■ オズジャン教授はどんな人か?
オズジャン氏は1951年にアンカラのポラトル郡で生まれた。1973年にアンカラ大学言語地理歴史学部の社会学科を卒業した同氏は、1973年から1975年まで同大学で助手として働いた。国費で留学したシカゴ大学で1978年に『トルコにおける経済発展と都市化』というタイトルの論文で修士を取得したオズジャン氏は、同大学で『トルコにおける社会階層化と社会活動』というテーマの論文で博士を取得した。
アメリカから戻り1981年に中東工科大学の社会学科の講師として働き始めたオズジャン氏は、1989年に准教授になった。2003年から中東工科大学で教授として働いている。
教育職とともに管理職も歴任しているオズジャン氏は、1982-1983年と中東工科大学社会学科の副学科長、1988-1992年には学科長も務めた。1990年-1992年まで中東工科大学の社会科学研究所の副所長を務めたオズジャン氏は、2003-2004年には再び中東工科大学の社会学科長になった。2004年からトルコ科学技術研究協機構で社会・人間科学調査班の事務役を務めた。
■ 国際的な職歴
オズジャ教授はたくさんの国際機関でも働いてきた。EUのデータバンクとして機能している『生活・労働条件改善委員会』で研究員とデータ分析官を務め、EU科学委員会の科学研究基金をまかなっている欧州科学技術研究協力機構(COST)というユニットで技術委員会のメンバーを務めた。さらに、欧州委員会研究基金の欧州人文社会資源展望所(EROHS)で専門家として働いた。
オズジャン氏は、研究生活の間、中東工科大学の規律委員会、コンピューターネット委員会、定期教育センター、研究基金プロジェクト、高等教育委員会、トルコ戦略計画委員会と南東アナトリア・プロジェクトに携わった。これらの職務のほかに、1998-1989年まで運輸省で大臣の諮問役をしていた。
1992-1994年には、マレーシア国際イスラム大学の客員教授として働いたオズジャン氏は、2004年からトルコ・フルブライト委員会で副委員長を務めている。オズジャンはトルコ科学技術研究機構での仕事の間北大西洋条約機構(NATO)の『人と社会の活動部門』でトルコの代表者であった。
オズジャン氏は、学問的・科学的な活動とともにトルコで多くの職業的・社会的な活動を行なう団体の発起人あるいはメンバーとして活動している。これらの中には、社会学協会の創設メンバー、水泳協会クルト水泳クラブ運営委員会のメンバーなどがある。
1998年に、シカゴ大学のスターアンドスタッフェルアワード、1990年に世界銀行の中東賞(MEAwards)を獲得したオズジャン氏は、1997年にトルコレポート作成に当たり国際労働機関の主催したコンテストも獲った。
多くの国内・国際的な雑誌の発行委員でもあるオズジャン氏は、既婚で3人の子供の父親である。オズジャンの妻クヴルジュム・メティン・オズジャン准教授もビルケント大学の経済経営学部の経済学科に勤めており、スカーフは着用していない。
■ 中東工科大学に警察を入れた
オズジャン教授は、学生運動の舞台にたびたびなってきた中東工科大学でテロ対策を含む様々な問題に警察と協力するという決定を下すうえで影響があった。また、中東工科大学のキャンパスに置かれた『国際的安全保障と人権調査センター』の活動に警察の公安情報関係者とともにセンター長を務めた。
■ スカーフについてどう考えているか
サバフ紙で9月10日に「スカーフを禁止しなかったら、大学でスカーフを着用しない人はいなくなるだろう」と述べたタルハン・エルデムの分析について、ユスフ・ズィヤ・オズジャン教授は、スカーフに関する見解を次のように述べた。
「まったくそうは思わない。また自由な環境になるのでスカーフを着用している人の一部は着用をやめるだろう。スカーフをしていない人は不要な恐怖を抱いている。自由ならば、さらにリベラルな民主主義になる。その際、この問題は議論されなくなるだろう。周りからの圧力はまったくなくなるだろう。女性たちは当初等しく扱われるかという点で損失を受けるかもしれない。男性はスカーフをしていない女性に興味を示し、異なる振る舞いをするかもしれない。こんなことにならないことを祈っている。」
■ ニュズヘト・イェティシュ「おめでとう」
トルコ科学技術研究機構会長のニュズヘト・イェティシュはアンカ通信に行った声明で、ユスフ・ズィヤ・オズジャン教授が、中東工科大学の社会学科で学科長を務める一方、実行委員会の事務局の仕事を受け入れて、トルコ科学技術研究機構で働き始めたことを述べた。「とても偉大な知識人だ。国のためにがんばってほしい。」
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:12637 )