コラム:「タバッロジ」と冬の服装
2007年12月15日付 E'temad-e Melli 紙
ネエマト・アフマディー(一級弁護士)
ある学生に「タバッロジ」(tabarroj)という語の意味を訊かれて、答えに窮した。学生には別の機会に回答するといって、辞書を参照してみることにした。〔代表的な6巻本の辞書である〕『モイーン』を見てみた。「タバッロジ」という語は載っていなかった。そこで次に〔大辞典である〕『デホダー』を繙いた。すると、アラビア文字のアルファベット「te」の巻、国民議会出版社刊のこの辞典の第38分冊補遺の309ページには、次のようにあった。
「タバッロジ」:自らを飾ること、〔‥‥〕女性のタバッロジ:自らの飾りを男たちに見せること、自らの飾りや美を男たちに示すこと
この辞書にはまた、クルアーン第33章の次のような高貴なる節が引用されている。「以前の無知時代のように、目立つ飾りをしてはならない」〔33:33〕。故デホダー先生がさまざまな辞書から引いているさまざまな意味に注意すると、「タバッロジ」ということばは、実際には人々の日常会話ではあまり用いられず、むしろ辞書や文献の中に見られることばであるように思われる。
ラーダーン司令官は冬の服装のあり方への警察の対応に関して語る際、このことばを用いたそうだ。彼は取り締まりの対象となる冬用の服装を「タバッロジ」(顕飾)と名付け、それをバッドヘジャービーと同じように取り締まる姿勢を示したのである。しかし、〔バッドヘジャービーとは違い〕今回取り締まりの対象となる服装は全身を覆うタイプのものである。
ズボンの上を覆う女性用のブーツが「タバッロジ」の一例だとのことだが、ブーツが「タバッロジ」とどう結びつくのか、困惑せざるを得ない。
もう一度『デホダー』を見てみる。デホダー先生はベイハギー著の『タージョル・マサーデル』を引用し、「タバッロジ」とは自らを飾ることだと説明している。さて、足の部分の長いブーツを履けば、必ずズボンの上を覆うことにならざるを得ない。なぜならば、ブーツを中に入れるほど裾の広いズボンを見つけることなどできないからだ。ブーツとは本質的に、足の部分が長い靴の種類のことであり、ズボンの下に入ってしまうようなものはもはや「ブーツ」とは言えない。では、どうしたらブーツから「自らを飾るもの」という意味を想起できるのだろうか。
『モンタハー・アル・アルブ』という辞書によれば、「タバッロジ」とは「自らの飾りを男たちに見せること」という意味だそうだが、果たしてブーツは一種の「飾り」なのか、それとも飾りとは別の「冬用の靴」なのか、私にはよく理解できなかった。「飾り」(ズィーナト)ということばの意味についても、『デホダー』で調べてみよう。それによると、「ズィーナト」とは「臆病な」とか、「香木」とかの意味があって、最後に「表面がきれいで飾られていること」といった意味が掲載されている。
恐らくラーダーン司令官は、聞き手が「タバッロジ」ということばには極めて悪い意味があると思いこむことを狙って、この〔耳慣れぬ〕ことばを用いたのであろう。そして「タバッロジ」ということばの力を借りて、女性の冬の服装のあり方に難癖を付けようとしたのであろう。
しかしそれでも、ラーダーン司令官が「タバッロジ」と名付けた冬の服装のあり方への警察の対応からイスラーム刑法第638条の内容に至るまで、学生たちにどう説明するべきか、私はいまだ困惑している。イスラーム刑法第638条には次のようにある。
公然と公共の場所や通りでイスラーム法上禁じられたハラームな行為を為す者は、10日間から2ヶ月間の禁錮刑、あるいは74回以下のむち打ち刑に処せられる。また行為そのものは処罰の対象でなくとも公共道徳を傷つける行為を為した者は、10日間から2ヶ月間の禁錮刑、あるいは74回以下のむち打ち刑に処せられる。
補足:聖法が定めるヘジャーブを身につけることなく通りや公共の面前に現れ出る女性は、10日間から2ヶ月間の禁錮刑、あるいは5万リヤールから50万リヤール〔約600円から約6千円〕の罰金刑に処せられる。
刑法全体を見渡しても、〔服装に関する〕条文はこれ以外に見あたらなかった。また「タバッロジ」をこの条項の内容と対照させようとしたが、法学的観点からは不可能であった。服装を着た女性を、「聖法が定めるヘジャーブを身につけ」ない存在と見なすことは、服を着ている以上できないからだ。
さて、ブーツやズボン、その他あらゆる種類の服装は、治安維持軍にとってどのような規準で「タバッロジ」の範疇に入れられてしまうのだろうか。ラーダーン司令官に訊いてみなくてはならないだろう。
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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:12695 )