「人に利用されやすい、問題のある少年」― ディンク暗殺事件17歳容疑者の横顔
2007年01月21日付 Zaman 紙

アゴス紙総発行人のフラント・ディンク氏を殺害した容疑者であるオギュン・サマストを知る人は、攻撃的な面があったと話した。オギュン・サマスト容疑者が起こした行動が世界中に波紋を広げる一方、彼が一時期所属していたサッカーチーム、ペリトリスポル・クラブも事件からショックを受けている。

サマストがユニホームを着ていたペリトリスポルのハイリ・クク監督は、オギュンのことをとてもよく知っており、彼を社会復帰させるためにできることは何でもしたと語った。オギュンが容易にだまされやすい性格であったと話すククは、こういう行動を起こしても不思議ではない人間ではあるといっても、独りで計画して実行できるとは思えないと述べた。

ククはクラブとして、高い能力を持ち成功を収めた子どもとともに、サッカーを途中でやめたり嫌気が差した子ども、サッカーから離れてしまった子どもも受け入れ、彼らの社会性を育み、悪い習慣を断たせ、彼らをスポーツを通して社会復帰させることを目的としていると説明した。サマストのことを攻撃的な面があり、怒りっぽい、精神的に問題のある人間と表現したクク監督は、「事件のことを聞いてとても悲しかった。能力はあるが、攻撃的な性格で、怒りを抑えられない子どもだった。負けたことに耐えられず、それを認められないところのある、とても活発な子どもだった」と語った。

オギュン・サマストは精神的な問題も抱えていたとするククは、「彼の父親が私に何と言ったかお伝えしよう:『監督、必ずやスポーツ活動を通じてこの子をおとなしくさせましょう。この子は私のことも家族も尊敬していないんです』と言っていた。彼はイスタンブルからここに引っ越してきたと聞いている。イスタンブルでは(周りの人は)欲しいものは何でも与えており、つまり少々気楽で自由な生活をしていたらしい。自分のやりたい事だけやるというところがあった。活発すぎて器に収まりきらない子どもだった。ここは彼には少し窮屈だったようだ。サッカー以外では、聞いたところでは中学校を無理矢理卒業したらしい。最後には先生がさじを投げたそうだ。先生とも問題を起こしたので学校も手を焼いたらしい」と話した。

彼の周りにいた人間はサマストの性格を違った形で利用しようとしていたと言うククは、「周りの人間や友達と『ぶらぶらしよう、あれこれやろう』(と集まり)、チンピラのようなグループを作って他のグループとけんかをしていた」と語った。

「彼には今回の事件を起こすような、リーダーシップをとるような面があった」と話すククは、ときどき練習のときに前に出てきて“チームのエースはおれだ”というような態度を見せることがあったが、監督としてそれを許可しなかったと述べた。サマストはこの数カ月、練習にちゃんと来ていなかったと言い、「私がサッカーをやめさせたわけではない。ただ2、3カ月前のシーズン開幕のとき、彼に『サッカーを好きでやるのなら君には将来がある。でも努力しないのなら成功するチャンスはない。チームに参加して(サッカーを)続けるなら、うちは君にやってもらう用意がある。しかし彼は続けなかった。練習を休みがちだった。いくつかの練習に出てはその後いなくなる状態だった。何日か経ってからまた来ていた。どこにいたのか聞いても適当にいろいろな言い訳をして繕っていた』と話した。

ククは、サマストがチームの中でもときどき暴力的な面を見せることがあったが、自分たちがそれを許さなかったことを強調した。「彼のいくつかの素行の悪さを知っていたが、我々は粘り強く彼を社会復帰させようと努めた。そうでなければ彼がサッカー選手になろうとなるまいと私にとっては大した問題ではなかった」と述べた。

■「誰かが彼を利用したに違いない」

オギュン・サマスト容疑者がだまされやすい子どもであったと話すクク監督は、「容易にだまされやすく、簡単に操ることができそうな子だった。子どもにチョコレートを渡して『さあおいで、これをあげるから』と言うでしょう、そんな感じでたやすく操ることができるような子どもだった。勉強せず、中学校をやっとのことで卒業した、教養のない子だった。自分独りで今回のようなことができるとは私は思わない。これを自分で計画してやるなんて信じられない。きっと誰かが彼を利用したに違いない」と語った。

チームで一緒だったセルハット・チェプニは、オギュンが感じのいい、冗談好きなチームメイトだったと言い、「テレビで犯人の写真を見たとき彼だと分かり、とても悲しかった。とても信じられず、ショックを受けた」と話した。

学校でもチームでも一緒だったムハッレム・ケレシュは、チェプニとは逆にオギュンが街中では攻撃的でけんかっ早い人間だったと述べた。

一方、ジュムフリイェト通りにあるオギュンの父親の家は静けさに包まれている。家には家族の誰もいない一方、同じ建物の一階に住むオギュン・サマストのおばも記者の取材を避けるため他の親戚のもとに身を寄せたことが分かった。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:4414 )