夫の暴力から守ることできず -理由は「内縁」の妻だったから
2007年01月26日付 Milliyet 紙

政府はイマーム・ニキャフ婚(訳注:イスラム導師の承認のみによる非合法の婚姻)上での夫、ディキジ容疑者に殺害された5児の母アイシェギュル・アルパスランさんを、二人の間に公式な婚姻関係がなかったために保護することが出来なかった。検察庁へ嘆願書を提出した若い女性のために家族保護の措置は取られなかった。

 アイシェギュル・アルパスランさんはイマーム・ニキャフ婚上での夫、アブドゥラザック・ディキジ容疑者の暴力をディヤルバクルの共和国検察庁に告訴したが、その後同容疑者に殺害された。アイシェギュル・アルパスランさんが提出した嘆願書によって、二人の間に公式な婚姻関係がなかったために如何なる措置も取られなかったことが明らかとなった。
ディヤルバクル検察庁が準備した起訴状には、アルパスランさんと夫との間に公式な婚姻関係がなかったため、本件は家族保護法の範疇だと見なされなかったと記されていた。5児の母であるアルパスランさん(35)は、麻薬を使用して自身に暴力を振るったとしてディキジ容疑者(37)を警察に訴えた。

■翌日、自由の身に

 警察はディキジ容疑者の自宅で260gの大麻を発見し、同容疑者を逮捕したが、翌日検察庁により釈放された。ディキジ容疑者は1月5日に自身を告訴したアルパスランさんを銃弾で4発打ち、殺害した。ディヤルバクル検察庁はディキジ容疑者についてまとめた起訴状で、より重い終身刑を要求した。起訴状の内容は以下の通り:

「最後に、この若い女性は2006年6月5日に、夫に暴力を振るわれた事を記した健康診断書を入手した後チェルミッキ区検察庁へ申し立てを行い、書類はディヤルバクル検察庁に送られた。しかしながら二人が公式な婚姻関係でなかったことから、裁判所より家族保護の措置を要求出来なかった。世論を反映する形で現存する法の改正について、トルコ大国民議会法務委員会で出された改正案においても、正式な婚姻関係以外の関係が保護されていない件については見解の一致がなされた。被告人は妻のアイシェギュルさんへ暴力を振るっただけではなく、麻薬の影響により幻覚を感じ、妻が家に誰かを数名呼んで性交渉を行ったと思い込んだのであった。」

■殺害予告をしていた

 起訴状によると、ディキジ容疑者は釈放された後、兄のメフメト・ディキジさんに妻を殺害すると予告し、さらに自分が留置所に入ることを予想して子供たちの面倒を見て欲しいと話していたという。一方兄は、そのようなことを決して行わないよう求めたことも起訴状に記載されていた。

■トルコ大国民議会の分裂

 トルコ大国民議会法務委員会で1月10日に行われた家族保護関連法の改正案に関する会議では、「宗教的な婚約関係にしかない妻、あるいは愛人、正妻以外の妻」への暴力について論議が行われた。アルトヴィン県の共和党ユクセル・チョルバジュオール議員は「トルコにおける現実」があると主張し、イマーム・ニキャフ婚上での妻や正妻以外の妻らが家庭内暴力から保護されるよう要求した。「家族の概念は憲法できちんと定義されている」と反発したニメト・チュブクチュ家族担当大臣は、この提案の否決を支持した。続く論争では国会議員たちのそれぞれの見解も明らかにされた。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:4456 )