ディヤルバクル・テロで死亡の青年のポケットから詩「僕が死ぬ前に戻ってきて・・」
2008年01月10日付 Milliyet 紙

ディヤルバクルでのテロで負傷し、6日間の命の奮闘の末に亡くなったエンギン・タシュカヤの財布から、彼が経験した苦しみを言葉にした涙をそそるメモが出てきた。エンギンは、誰に宛てたか分からないメモに「僕が幸せな人間であった時は一時もなかった。お願いだ、死が僕を迎えに来る前に戻ってきて」と書いていた。

エンギンは15歳のときに父親のアブニ・タシュカヤを交通事故で失った。10月3日に友人に会う為に向かった予備校の前で起こった爆発で頭部を負傷し、彼の父親が亡くなったチグリス医科大学病院の集中治療室で彼の父親と同じ運命をたどった。幼い年で、母親と7人の兄弟の母子家庭となったエンギンは家賃のために、高校生時代、建設現場での仕事と学業を両立していた。父親の死によってもたらされた悲嘆の気持ちをいつも心に秘めていたエンギンの唯一の目標は、医者になり、病を治すことであった。

周囲の人々に、「医者になるんだ。誰も死ぬことは許さないよ。」と言っていたエンギンは去年、大学学生選抜試験でよい成績を修めた。しかし、彼の得点が行きたい学部に十分ではなかったので、どの学校にも入学しなかった。より高い得点をとる為に予備校へ行くことを決めたが、お金がなかった。このため、ギュムシュハーネとアールにある住宅団地管理庁の建設現場で社員として働いた。夢を実現させる為に徹底して勉強したエンギンは、テロで亡くなってしまったのだ。

エンギンの財布の中にあった紙になぐり書きされたメモにあった、「お願いだ、死が僕を迎えに来る前に戻ってきて!」という冒頭の叫びは人々の関心を集めている。エンギンの「僕が幸せな人間であった時は一時もなかった。心の平安をいつも涙の裏側に求めていた。苦しみの止まない場所に僕は生まれた。一人ぼっちで取り残され、崖から突き落とされたような毎日は、まるで墓場だった。戻ってきてほしいという思いをいつも自分の中で紛らしていた。あなたを、そしてあなたと共にした全てのことを、恋しく思う。お願いだ、死が僕を迎えに来る前に戻ってきて!」という叫びが誰に宛てたものなのかを知ることはできなかった。メモが、父親に向けた思いを言葉にしたものなのか、それとも恋人に宛てた、絶望の叫びを言葉にしたものなのかを明らかにすることなく、エンギンは、短い生涯の最も大切な秘密と共に最後の旅路へと出発した。

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( 翻訳者:西丸綾香 )
( 記事ID:12954 )