最高裁判所、パムク発言をまた追及へ
2008年01月23日付 Radikal 紙

ノーベル賞受賞者であるオルハン・パムクの、スイスの雑誌で掲載された「我々は3万人のクルド人と100万人のアルメニア人を殺しました」という発言が原因となり開かれた賠償訴訟で無罪とした地裁の判決は、最高裁判所で覆された。地裁は、パムクが述べたとされるこの発言を理由に裁判を起こした原告6人が「ただトルコ国民の一員であるという理由で、自身らの個人的権利の侵害にはあたらない」という判決を下した。しかし最高裁判所は、トルコ国民の一員であることはこの発言を理由に裁判を起こすのに十分(な資格)となると判断した。

原告トゥルグト・コバザと戦死者の親族5人は、スイスで出版されたこの雑誌に掲載された発言で、パムクは「我々は3万人のクルド人と100万人のアルメニア人を殺しました。トルコで誰もこのことを口にする勇気がありません。だから私が言うのです」と述べたとし、「(彼は)トルコ国民全体を告発した」と意見書で主張した。原告はパムク相手に賠償裁判を起こした。

裁判が行われたシシュリ第3下級裁判所は、「原告が単にトルコ国民の一員であるという理由で、(発言の)反響による個人の権利の侵害には値しない」として請求を却下した。控訴のため資料を調査した最高裁判所第4法廷は、地裁が下した判決を覆した。


■裁判資格あり

法廷の判決では以下のようなことが述べられた。

「(判決では)個人的な価値は(社会的な)尊厳と名誉、自由、心身の一致と健全、人種、宗教、国籍などと結びついていると判断された。個人の名誉や尊厳などが結びついており、憲法で枠組みが定められたある国民に属する感情という点で、上記のことが斟酌された結果、(その請求は)個人的な価値の範疇にあたり、法的に守られるべきものである。」

判決では、パムクの発言が「原告たちが国民として属するトルコ国民に向けての発言である場合、原告らが積極的に裁判を起こす資格がある」ことを強調し、その点を認めた上で、裁判の本源を調査し判決が下される必要があると述べられた。この判決ゆえに、トルコ国民なら誰でもパムクに対し賠償訴訟を起こすことができる。

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:12964 )