イスラエルのガザ侵攻を米が「自衛」と擁護、国連人権委員会が緊急会合
2008年01月20日付 Al-Ahram 紙

■ アメリカがガザ地区におけるイスラエルの作戦を自衛行為とみなす
■ 米国務長官:「イスラエルのオルメルト首相はパレスチナ大統領との政治解決に向けて100%献身している」
■ 来週水曜にパレスチナでの状況をめぐり国連人権委員会の緊急会合

2008年1月20日アル=アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ワシントン:ホダー・タウフィーク、アースィム・アブド・ハーリク、ガザ:アシュラフ・アブルホウル、占領下エルサレム:諸通信社】

イスラエル占領軍は昨日に引き続きガザ地区に対する完全な閉鎖、および同地区の出入り口にあたるすべての通行所の閉鎖を継続、限定的な地上侵攻作戦と平行して空爆も強化した。

昨日未明、ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプの一部に侵攻したイスラエル軍を撃退しようとしたハマースの集団が空爆され、ハマースの軍事部門であるカッサーム軍団の戦闘員2人が死亡、ほか3人が負傷した。またガザ市東部を狙って2日前に行われたイスラエルによる空爆で負傷した市民1人が、負傷が元で死亡した。

ワシントンでは、アメリカ政府がガザ地区に対する現在の敵対行為についてイスラエルに対するいかなる批判も拒否し、「イスラエルの行っていることは自衛行為」とみなして、事態の責任はイスラエルの町村にロケット砲を発射するハマースにあるとした。

米国務省のショーン・マコーマック報道官は、「合衆国はイスラエルに提示した助言の中で、イスラエルが自衛のための行動をとる際には無辜の市民の命を奪わないよう、あらゆる事前措置を講じるべきだと伝えた」と述べ、「無実な人命の損失を合衆国以上に悲しむものはいない」と指摘し、「交渉に戻ることがパレスチナとイスラエルの和平を実現する最善の道」と強調した。

イスラエルのエフード・オルメルト首相が現在の事態を「戦争」と表現していることについてマコーマック報道官は、「オルメルト首相が和平問題において義務を果たしていることは皆が理解している。彼はパレスチナ大統領との交渉を通じた政治解決の達成に向けて100%献身している」と述べた。

ニューヨークでは国連のジョン・ホルムズ人道支援担当事務次長が「治安上の脅威」に対抗するイスラエルの権利を擁護しつつも、ガザ地区の出入り口にあたる全通行所の閉鎖決定を見直すようイスラエルに呼びかけ、「ガザ住民に対する集団処罰は適切な手段ではない」と主張した。同氏は「人道の観点から受け入れられることではない」としながら、「これらの通行所の閉鎖の継続は、ガザ地区のパレスチナ住民の悲劇的な状況を増大させることになるだろう」と述べ、ガザ地区とヨルダン川西岸地区における暴力の激化と、両地区における市民の犠牲者数の増加に対する懸念を表明した。

この件に関し、国連の人権委員会が来週水曜に緊急会合を開催することが決定されている。これは複数のアラブ諸国及びイスラーム諸国からの要請に基づき、ガザ地区の通行所閉鎖及び同地区への軍事攻撃によってイスラエルが人権侵害を行っているとの嫌疑を検討することを目的とする。

アラブ諸国及びイスラーム諸国は人権委員会への要請の中で、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区のナブルスにおけるイスラエルの最近の掃討作戦を含む、パレスチナの地でイスラエル軍が行っている侵攻から生じた人権侵害に、何らかの措置を取るよう求めた。

委員会の会合は期間1日で、2006年6月の委員会結成以来、パレスチナ問題を扱うのはこれで3度目となる。

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:12966 )