エルゲネコンとはこんな組織 ススルルクはじめ様々な事件に関与
2008年01月25日付 Radikal 紙

■グロック銃と、爆発物を用いた暗殺による、クーデターへの環境づくり

 エルゲネコンについての調査において、メディアに掲載された論評によると、この組織はクルド系実業家、政治家、高級官僚や著名人の暗殺を企て、爆発物を用いて実行に移すとのことである。これによりトルコを襲うであろう大混乱は、クーデターの下地となるはずであった。

 民族主義戦線における著名な人物が保護観察下に置かれる一方、報道が禁止されているにもかかわらず各紙は、諸処の要素が互いに矛盾していても様々な論評を展開した。それらによるとエルゲネコンは、ノーベル賞受賞作家オルハン・パムク氏を殺害するため、実行武装組織が使用するグロック社製の拳銃と200万新トルコリラ(約1億8226万円)の調達を行っていたようだ。武装組織は著名な人物の暗殺を試み、トルコをクーデターの環境へと引きずり込もうと望んでいた。クーデターが予定されたのは、2009年であった。アンカラのスヒエ駐車場にて発見された、700キログラムの爆発物が積まれたミニバスもこの武装組織の所為だった。また同組織はパニック状態を生み出すため、3個の爆発物が積まれたミニバスがイスタンブルを走行中であるという噂を広めた。未だに確証されていない彼らの主張は、武装組織がどれほど深層にまで及んでいるかを示している。

■パムクと200万新トルコリラ

 ヒュッリイェト紙は、警察の専門調査によるとエルゲネコンが、ノーベル賞受賞作家のオルハン・パムク氏の暗殺のために200万新トルコリラの資金を調達しているという記事を掲載した。ミッリイェト氏も同様の論評を行う一方で、ヒュッリイェト紙とは異なり、彼らがグロック社製の武器、そして殺し屋の調達に成功し、殺し屋への報酬である200万新トルコリラをも確保したとした。

■クーデターへの下地

 イェニ・シャファク紙は、武装組織がクーデターの準備を行っているとし、重大な論評を掲載した。
「エルゲネコンは爆発物によるテロ、暗殺によってトルコを大混乱へと陥れ、軍事クーデターへの環境を整えようと計画していた。彼らが、クルド系実業家、政治家、高級官僚、そして著名な人物の暗殺を企て、爆発物を用いて実行することで大混乱を引き起こし、2009年の軍事クーデターに向け下地を作ろうと計画していることが明らかとなった。アンカラのある駐車場にて発見された、700キログラムのトリニトロトルエンを積んだミニバスも、エルゲネコンの武装組織による暗殺のために用意されたものであることが判明した。また、イスタンブルで先週警察の厳戒態勢を余儀なくさせた、3個の爆発物を積載した車両が走行中であるという通報、そしてレジェプ・タイイプ・エルドアン首相が通過する道路にも爆発物を積んだ車両が待機しているという声明も彼らの仕業であった。ムザッフェル・テキン氏は、これらの爆発物に関して数ページにも渡る情報を公開し、ほかの容疑者との関係も一つ一つ説明を行った」

■容疑をPKKへと逸らした

 サバフ紙では、「脅迫を行うため、スヒエの高層駐車場に『爆発物を積んだ』車両を残し、不安を煽るため『3個の爆発物を積載したミニバスが走行中である』という噂を広めた。ディヤルバクルにおいては、武器を用いて愛国軍同盟運動の総裁を襲撃し、これをPKK(クルド労働者党)の所業だとした。保護観察下に置かれているある人物の車から発見された書類には暗号が記載されており、標的となっている人物は『ウサギ』、殺し屋は『農家』と暗号化されていた。この人物を調べ上げたところ、7枚の見取り図が発見された」という記事が掲載された。

■新たな暗殺の主張

 各紙における別の論評によると、フェトフッラー・ギュレンと近接な関係をもつ、元大佐の退役軍人が標的になっていたようだ。ペンディッキにおいて2007年1月10日、無許可で拳銃と81発の弾丸を所持していたとして逮捕され現在保護観察下に置かれている国民武力協会のムラト・チャーラル副会長が、ギュレン派と関係を持っていたと考えられた元大佐の殺害を望んだとされている。

■ハブレミトオールとの繋がり

 ある記事によるとエルゲネコンは、2002年12月19日に殺害され、犯人が未だに不明となっているネジップ・ハブレミトオール助教授とも関係を持っていたようである。記事によるとイブラヒム・チフッチという名の人物が検察局に出頭し、ネジップ・ハブレミトオール助教授の殺害を行ったと述べたが、検察局は彼の主張を信憑性なしとした。イズミルのアルサンジャック地区でカフェを営むイブラヒム・チフッチ氏の職場には、2006年10月に2発の手榴弾が投げ込まれ、チフッチ氏は死亡した。彼の葬儀にはススルルクの容疑者とされているサミ・ホシュタン、ヤシャル・アクテュルク、ネジュデト・ウルジャンといった人物が参加していた。

■ススルルクからウムラニエまで、エルゲネコンというテロ組織

 警察が「テロ組織エルゲネコン」と記録に残しているこの組織に属する人物達は、ススルルクから行政裁判所の襲撃まで、そしてフラント・ディンクの殺害から刑法第301条により裁判にかけられたある作家に対する脅迫まで、数多くの事件においてその姿を見せた。
 「愛国」、「民族」、「国民」といった名の下で組織化される大小さまざまの組織の総体であるエルゲネコンは、最近の取り締まりで大きな損害を被ったと考えられている。だが明らかとなった彼らの関係図にもかかわらず、それが全貌ではないと信じる者達もいる。

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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:12974 )