【社会部】社会問題の専門家や評論家によると、イランにおける社会的病理の発生件数は年間15%から20%の割合で増えているという。そのような中、家出をした少女の平均年齢は低下傾向にあり、重要な社会問題の一つとなっている。
福祉庁社会的弱者問題局のセイエド・ハサン・ムーサヴィー=チェラク総局長によれば、家出をした少女の年齢は平均で15歳から20歳で、福祉庁の各センターに収容された家出少女のうちもっとも多かった年齢層を調べた結果、この事実が判明したという。
ムーサヴィー=チェラク総局長は本紙記者とのインタビューの中で、福祉庁が家出少女の数について提示しているデータは、同庁の巡回チームが発見、あるいは自ら福祉庁社会緊急センターに出向いた少女から得られたものにすぎないと強調する。
同氏によれば、我が国に限らず、世界のどの国でも、家出をした子供や若者について正確な統計を示すことは不可能だという。というのも、いかなる理由であれ家出をした少年・少女全体を把握することはできないからであり、特にこれまで複数回にわたり家出を繰り返してきた少年・少女は、何とかして警官や福祉庁社会緊急センターの巡回チームの目から逃れようとする傾向にあるからである。
今年度最初の6ヶ月間で800人の家出少女
ムーサヴィー=チェラク総局長によれば、福祉庁の各センターに移送された家出少女の数は、昨年度一年間で1481名、今年度最初の6ヶ月間で878名にのぼるという。
同総局長はまた、現在家出少女を見つけ補導することをその任務の一つとしている福祉庁巡回チームは、テヘランやその他各州の福祉庁センターで計12チームが活動していると述べ、この数では到底十分とは言えないと指摘している。同氏によれば、必要とされる予算が付くならば、今年度末〔3月19日〕あるいは来年度初頭までに、社会緊急センター巡回チーム用に車両100台が購入され、各州のセンターに配備される予定だとのことである。
社会問題の専門家である
マジード・アブハリー氏は家出少女の数が増加している主な原因として、インターネットを通じた〔男女の〕出会いや街中でのナンパ、〔結婚へと〕結実することのない偽りの愛、両親と子供たちの間に距離が生まれ、家族間で緊張や不和が生じていることなどを挙げ、さらに次のように指摘している。「調査によれば、家出少女の70%以上が家出をした理由として、家族環境の悪化、家庭が一人親であること、両親の離婚、家族の成員が多すぎること、不適切な友人・交際相手の存在、両親が麻薬中毒であること、貧困や失業、大人としての10代の若者への無関心、継父・継母の存在、といった要因を挙げている」。
アブハリー氏はその上で、次のように述べる。「治安機関や司法機関はさまざまな施策を講じ、努力をしている。しかし教育や社会問題の予防に責任をもつべき機関や組織の数・種類が多く、そこに十分な統一性がないために、社会問題は増加するばかりだ」。
ホームレスの子供たちは、犯罪の予防や教育に責任をもつ機関が統一性をもって彼らに対処しなければ、若者による犯罪の温床となりうる。同様に家出少女についても、もし彼女たちの実態把握や調査などがタイムリーな形で組織的に行われなければ、彼女たちが将来、〔売春などの〕社会的病理の底なし沼に陥るであろうことは確実だ。アブハリー氏はこのように強調する。
犯罪まで72時間
アブハリー氏はさらに、次のように警鐘を鳴らす。「調査によれば、何らかの理由で家を飛び出した少女たちは、適切な時期に〔警察や福祉機関などの〕保護下に置かれなければ、行く当てもなくさまよい歩き、食べるものにも寝るところにも困り果てることになる。そうなれば、彼女たちが犯罪行為に走り、社会の病理に陥るまでに、72時間とかからないだろう」。
家出少女の多くは、それまでに1回以上家出をした経験がある。家に戻った少女を受け容れる用意が家族にできていない、少女の受け入れを拒む、あるいは少女が家出をした原因が解決されていない、などがその主な要因として挙げることができるかも知れない。
〔後略〕
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:13034 )