ガザ地区・エジプトの国境管理に関してハマースがエジプトと協力を表明
2008年02月03日付 Al-Nahar 紙

■ ハマースがガザ地区国境の段階的な管理強化に関してエジプトとの協力を明言

2008年02月03日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター】

 イスラーム抵抗運動「ハマース」は昨日、カイロでの協議を終えた代表団が帰国した後、ガザ地区・エジプト間の国境の段階的な管理強化について、エジプトの治安当局と協力することを明言した。国境では、パレスチナ人がラファハ通行所を通ってエジプト領内に流入する事態が2週間目に入ってもつづいている。

 ハマースの有力幹部であるマフムード・アル=ザッハール氏は、ハマース代表団がエジプト政府高官との対談を終え、通行所を通ってパレスチナ側に到着した時に記者らに対して、「我々はエジプトとの国境の統制に努める。...明日日曜日までに段階的に実行されなければならない」と語り、「我々とエジプトの同胞たちの間で、それぞれの検問所と国境での連絡の経路を確保することに合意した。これは明日、(解任されたイスマーイール・ハニーヤ首相率いる)政府と会談する際に実施する」と続けた。そして、「我々はエジプトの同胞たちとの協力によって、国境が統一され、通行所が我々の内政問題への介入がなされるることなく開放されるよう試みる」と明言した。また、国境の開放は「我々の殉教者を包む布もなく、病人たちが亡くなり、400名の病人が腎臓の機能不全により死に晒されている中での、大衆の怒りの行動だった」との見解を表明し、昨年6月にハマースがガザ地区を掌握した以降閉鎖されていたラファハ通行所において、エジプトがパレスチナ人の国境通過を許可したことに言及して、「血と抑圧がアラブ諸国にもあのような立場をとらしめた」と強調した。さらに、ハマース代表団のエジプト訪問は「あらゆる点で成功した。我々は回答を得てはいないが、即座に回答を得ることはできない。数日の間に多くのことが明らかになるだろう。我々の目的が実現し、人民の苦難が解決されるよう願っている」と語り、「明日(日曜日)にも、疑問の多くに対して答えが得られるだろう」と続けた。

 そしてザッハール氏は、一部のパレスチナ人の国境地帯における行動に「謝罪」を表明し、「国境に武装した者が存在することは許されない」と述べたが、「エジプトをはじめとするいかなるアラブ国家と我々が同意しようと相違しようと、我々がその国の安全に対する脅威となったことはなかったし、今後もない」と語った。

 ハマース政治局員であるムハンマド・ナスル氏は金曜日、カイロでの協議を終えた後で、「我々はラファハ通行所問題についての相互理解を進めたが、さらなる協議が必要であり、未だ合意には至っていない」と述べ、協議では、2005年にイスラエルとパレスチナ自治政府の間で締結された通行所に関する合意についても言及された。これはパレスチナ自治政府がラファハ通行所の治安を掌握し、ヨーロッパの監視団が通行所への出入りを監視するというものである。ザッハール氏は、「ハマース代表団はエジプト政府高官に対して、この合意に反対であるとの立場を伝えた」と語った。

■ 自治政府

 一方で、パレスチナのマフムード・アッバース大統領の有力な補佐官は、「エジプト政府はラファハ国境通行所の再開に関しては明確な立場で、それは従来からの手続きに従って行われることになるだろう」と述べ、「エジプト側はアッバース大統領に対して、2005年の合意に基づく手続きを支持すると伝えた。将来ハマースが通行所において果たす役割などについては何も語らなかった」と続けた。

 監視計画に参加している欧州連合(EU)高官は、「EUはアッバース大統領、エジプト、イスラエルとの調整の枠組の中で、ラファハに再び監視員を送ることのみを検討している」と明言し、「EUは、武装闘争の放棄を拒否しているため合衆国やイスラエルと同様に『テロ組織』と認定しているハマースと協力することはない」と述べた。

■ 座り込み

 そうしたなか、ハマース支持者の女性数百人が昨日ラファハ通行所で座り込みを行い、包囲の解除と通行所の再開を要求した。彼女たちは「鎖を断ち切れ、ハマースよ立ち上がれ」というスローガンを繰り返し、「ガザを救え」「通行所はエジプトとパレスチナのものだ」などと書かれたプラカードを掲げた。

 特派員が伝えたところによると、2週間目に入ってもパレスチナ人数百人が、殆どの店が品切れのため閉店していても、なおエジプトのラファハ市になだれ込み続けている。

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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:13119 )