アナン・プランを4年前に拒否したキプロスのギリシャ系住民が、 「ミスター・NO」のニックネームが付いたタソス・パパドプロス氏の時代ののちに、「共産主義」系で宗教の義務化をもたらす指導者を選択した。
大統領選の第2回目投票に「共産主義」の労働人民進歩党(AKEL)のデミトリス・フリストフィアス総書記長(得票率:53.3%)が、中道右派の民主運動党(DİSİ)で教会関係者の支持を得た前外務大臣イアニキス・カスリディス候補(得票率:46.7%)を破り、大統領に選出された。欧州連合(EU)の中で唯一の「共産主義」系指導者のフリストフィアス氏は、ギリシャ系住民に向け、「キプロス統合のために尽力します」と述べた。
■ カスリディス氏:味方です
50万人の有権者がいるキプロスで、投票が17時に終了すると、19時には万事が終わっていた。ソヴィエトで教育を受けた歴史学教授で、61歳のフリストフィヤス候補は、15分後ニコシアにあるAKELの本部で支持者たちに訴えた時に、「祖国の再統合のために、明日以降仕事に着手します。われわれが目指しているのは統一のキプロスです。キプロス統合、万歳」と述べた。
投票が閉め切られてから90分もしないうちに敗北を認めたカスリディス氏は、フリストフィアス氏に電話で祝福した一方で、「我が国の紛争解決の努力を行うに当たって、私は味方になります」とメッセージを送った。フリストフィアス氏は、2月28日に(大統領としての)5年間の任期を引き継ぐ。
AKEL党首の勝利には、2月17日の第1回目の選挙で退けられたパパドプロス氏が名誉総裁を務める右派の民主党(DİKO)とともに、閣僚の座を約束した、社会主義の社会民主運動党(EDEK)が影響を及ぼした。
しかし、DİKOの支持で選挙に勝利したため、解決策の提案に「賛成」を出すことは容易ではないだろう。フリストフィアス氏は、最近の会議で北キプロス・トルコ共和国のメフメト・アリ・タラト大統領と中間地域で会見を行うと述べ、昨日に投票した後には、キプロス在住トルコ系住民に次のようなメッセージを出している:
「母国の統一に向けて、友好のメッセージを送ります。このように、外国の干渉を受けずに、我々の運命を自らの手にして協力して戦うことができます。」
アテネとニコシアの見解は、キプロス島がフリストフィアス期に統合か分割かである。2004年4月の国民投票で態度保留のちに、「反対」派側に転じたフリストフィアス氏は、北キプロス・トルコ共和国へのアプローチにおいて困難は被らないだろう。(北キプロスの)共和トルコ党CTPとAKELの伝統的な友好関係は、ここでも影響を及ぼすだろう。タラト北キプロス大統領は、昨日、フリストフィアス氏に電話をかけ祝福した。
■ 国連は活動を始める
アテネとニコシアの情報によれば、今後の展開の中で、国連がかつてパパドプロス氏とタラト氏が調印した2006年7月8日の協定を展開させるか否かを調査することになる。設立される国連委員会は、この線でいくかさらに議論の路を開くのかを目的としたこの協定が、機能するのか否を調べることになる。結果が良くなければ、国連は新たなキプロス調停者を任じ、ゼロから開始することになろう。
フリストフィアス氏が選挙前にギリシャ系住民に、「アナン・プランは決して持ち込まない」と約束したが、国連の提案は、このプランとかけ離れたものとはならないとの見解が支配的である。
反対派による「共産主義」に関する批判運動を無に帰したフリストフィアス氏が、イデオロギー的にEUに反対であるために、ヨーロッパの政界も心配している。新たな政府において外務には、欧州委員会メンバーでDİKOメンバーのマリオス・キプリアヌ氏(かつての党首スピロス・キプルアヌ氏の息子)の名前が挙がっている。
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( 翻訳者:山本裕一 )
( 記事ID:13213 )