イラク大統領がトルコ訪問
2008年03月08日付 Al-Nahar 紙

■ タラバーニー大統領、戦略的関係を目指してトルコ訪問開始

2008年03月08日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AP、AFP、ロイター】

 イラクのジャラール・タラバーニー大統領は昨日アンカラにおいて、隣国トルコとの「戦略的かつ確固たる」関係の構築を希望するとの立場を示した。トルコは先月、イラク北部に拠点を置くトルコのクルド人反政府勢力に対して軍事攻撃を開始した。一方、トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は「クルディスタン労働者党(PKK)」に武装放棄を呼びかけた。また、「トルコはテロ行為に関わる者を決して容認しない」と主張した。

 イラク北部に拠点を置く反政府組織PKKに対するトルコ軍の大規模な地上作戦の終了から1週間後、タラバーニー大統領は就任以来初めてのトルコ訪問でアンカラに到着した。この訪問は政治、エネルギー、安全保障の分野におけるトルコとの関係を強化することを目的としている。近年、その関係はPKK問題や、イラク北部においてクルド人が独自の国家を建設しようとする動きへのトルコ政府の不安によって悪化していた。

 多くの閣僚を伴ったタラバーニー大統領は、飛行機から降りた所でトルコのジェミル・チチェキ副首相に迎えられた。タラバーニー大統領は先ず近代のトルコ共和国の創設者ムスタファ・ケマル・アタテュルクの墓を訪問した後、大統領官邸に移動し、二国間関係や様々な分野におけるその発展の方法について、またPKKの活動への対策やキルクーク市をめぐる状況に関して、ギュル大統領と話し合った。

 タラバーニー大統領はギュル大統領との共同記者会見で、「この訪問の目的はトルコとの戦略的かつ確固たる関係の構築である」と述べた。ギュル大統領は反政府組織PKKに対しいかなる容認の立場もとることはないと述べた。「国内のクルド人少数派勢力が政治的手段をとった場合、トルコ政府は彼らの要求に配慮するつもりはあるのか」という記者の質問に対してギュル大統領は、「まず何よりも、トルコ国家は武装している者や、テロ行為に関わる者を決して容認しない。誰であろうとも武器を持っている者は、これを放棄せねばならない。トルコ国家はこの事に関して容認しない」と答えた。

 アメリカ合衆国はトルコ政府と同様に「PKKはテロ組織」との見解を示しており、クルド人反政府勢力に対抗するための情報をトルコ政府に提供している。しかし、トルコ軍が今年2月の最終週にPKK拠点に攻撃を行ったことで、アメリカ政府は同盟国イラクの手前、微妙な立場に立たされた。トルコはジョージ・ブッシュ米大統領の要請を受けて軍事作戦を終了したが、もし必要だと見なしたら再び攻撃する可能性は残すと宣言した。

 イラクのクルド人の独立国家樹立の願望に対してトルコが不安を抱いていることから、両国間の関係はこのところ活発ではなかった。トルコ政府は、トルコ南東部における多数派を形成しているクルド人へ分離独立の動きが伝染することを恐れている。そのため昨年8月に任期を終えたアフメト・ネジデト・セゼル前大統領は、二国間の貿易関係の拡大にもかかわらずタラバーニー大統領にアンカラ訪問の招聘を行うことがなかった。タラバーニー大統領の今回の訪問も「公式」ではなく「実務訪問」という、外交儀礼における最低レベルの訪問であった。タラバーニー大統領は今日、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と昼食会を行う予定である。

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( 翻訳者:梅原春奈 )
( 記事ID:13321 )